シャクチリソバ・２～開花

　タデ科ソバ属の「シャクチリソバ（赤地利蕎麦）」。チベット原産で、高血圧治療などに使われる　“ルチン”　の含有量が普通のソバよりも多いということで、昭和初期に輸入され栽培されていた。ところがルチンそのものが安く輸入されるようになって、シャクチリソバはお役御免となり、その後、各地で野生化したという。普通のソバは一年草だがシャクチリソバは多年草であり「シュッコンソバ（宿根蕎麦）」とも呼ばれている。花径は7～8ミリで花弁のように見えるものは萼片。雄蕊は8本ありピンク色の葯が可愛らしい。

ヨモギ・２～雄性先熟

　道端で普通に見られる「ヨモギ（蓬）」。キク科ヨモギ属の多年草で、若葉を摘むのは春の風物詩だが、花期は9～10月で花粉症の元凶でもある。セイタカアワダチソウなどと同じように地下茎から他の植物の成長を抑制する物質を出すので（＝アレロパシー）、ヨモギだけが蔓延ることが多い。花は茎の先端に円錐花序を出し、下向きの小さな頭花をたくさん付ける。頭花の長さは3ミリほどのラグビーボール状で、中心部に両性花があり周りに雌花があるが、小さ過ぎて良くわからない。ヨモギは雄性先熟で、まず雄蕊が出てきて花粉を飛ばし、その後雌性期となり雌蕊の柱頭が伸びてくる。写真の花を触ってみると黄色い花粉が少し手のひらに付いたが、雄性期の終盤のようで、雌蕊の柱頭が伸び始めているのが見える。

ナンテンハギ・２～よこやまの道

　“よこやまの道”　の藪に咲いていた「ナンテンハギ（南天萩）」。ハギの名前が付くが、ハギ属ではなくマメ科ソラマメ属の多年草。葉の形がナンテンに似ていてハギのような色の花を咲かせるので名付けられている。花の長さは1.5センチほどで茎の先端に総状に付く。

ノブキ

　キク科ノブキ属の「ノブキ（野蕗）」。フキのように大きく葉を広げることから名付けられている。薄暗い林の中などに生育し夏に花を咲かせる。頭花は中央に両性花が密生し周囲に雌花が付く。両性花は結実せず、雌花が結実して、先端に毛があるこん棒のような姿を見せる。こん棒の長さは6～7ミリで果実の直径は15ミリほど。

サクラタデ・２～雌花

　タデ科イヌタデ属の「サクラタデ（桜蓼）」。花径は7～8ミリで、イヌタデやハナタデより大きい。雌雄異株で雄花の雌蕊は雄蕊より短く（短花柱花）、雌花の雌蕊は雄花より長くなる（長花柱花）。写真は雨に濡れて蕊の様子がわかりにくいが、飛び出しているのは雌蕊の柱頭のように見える。