とめどもないことをつらつらと

日々の雑感などを書いて行こうと思います。
草稿に近く、人に読まれる事を前提としていません。
引用OKす。

グレンラガン英語版全くだめだめ

2015-02-03 21:21:55 | 文章・日本語・言葉
私は英語が読めない、書けない、話せない。
頑張って翻訳する時もあるが、しかしそれだけだ。

そんな中、製作者には大変申し訳ないとは思いつつもグレンラガン英語版をYoutubeで見た。(ちなみに日本語での本編はニコニコの一挙で見ましたので、私的には悪いことはしてないつもり。。。英語版は・・・悪いことしてます! すみません! )

この英語版が全くダメダメ。
声優がダメ、という訳なのではなく、台詞回しにテンポがないのである。
あのぐいんぐいん来る中島節が無いわけだ。これではグレンラガンの面白さが半減してしまう。

ちょっと比較してみよう。

日本語
「因果の輪廻に囚われようと!」
「残した思いが扉を開く! 」
「無限の宇宙が阻もうと!」
「この血のたぎりが定めを決める!」
「天も次元も突破して!」
「『掴んで見せるぜ己の道を!」』
「天元突破グレンラガン!!!」
「『俺達を誰だと思ってやがる!!!!』」

英語

Nia: Even when trapped by karma's cycle...
Yoko: The dreams we left behind will open the door!
Leeron: Even if the universe stands in our way!
Viral: Our seething blood will determine what we'll be!
Simon: We'll break through time and space!
Team Dai-Gurren: And defy all who would stop us, to grab hold of our path!
Simon: Tengen Toppa Gurren Lagann!
Team Dai-Gurren: JUST WHO THE HELL DO YOU THINK WE ARE?! (Episode 27)

いろいろと指摘したい。
1.
まず聞き比べてみると英語版のテンポが圧倒的に悪いのである。
正直に翻訳してしまったが為にこのような文章になってしまったのだと思うのだが、もっとラップのように韻を踏むなりなんなりと改訳した方がいい。

それと同時に、日本語版は歌舞伎のセリフ回しのようにテンポがいい。
これはおおよそ3から7文字で構成される言葉を続けて書いているからである。


「因果の(いんがの:4文字)輪廻に(りんねに:4文字)囚われようと(とらわれようと:7文字)!」
「残した(4)思いが(4)扉を開く(7)! 」
「無限の(4)宇宙が(4)阻もうと(5)!」
「この血の(4)たぎりが(4)定めを決める(7)!」
「天も(3)次元も(4)突破して(5)!」
「『掴んで(4)見せるぜ(4)己の道を(7)!」』
「天元突破グレンラガン!!!」←フリー
「『俺達を誰だと思ってやがる!!!!』」←フリー

この3/4/5/7の文字数というのは圧倒的にテンポがいい。
「夜の/とばりの/まんなかに」とか
「街の/はずれの/一軒家」だとか
まあ簡単に出るだけでもかなりテンポが良くなる。
カミナやシモン、ヴィラルの口上も大体こんな感じだ。

英語には、こうしたテンポを持つ口上が無いかというとそうでもない。

Naughty By Nature - Hip Hop Hooray *HQ*
https://www.youtube.com/watch?v=qA2_-eQ26tY


本来であればこうしたリズムを意識して翻訳すべきだったと思うのだが、どうにも英語でセリフの口上を述べている時には、声の役者さんが全員急いでいるように聞こえるのである。

英語版は改訳すべし。私が言いたいのはまずこの一点である。

2.
次に、正確に訳したからこうなっちゃったのね、という部分があるかと思ったが、いかんせんそうでもない。

「天も次元も突破して!」という最重要なセリフの訳には、
Simon: We'll break through time and space!
という訳が当てられてしまっている。つまり時間も空間(宇宙)も突破して・・・と。

天に適用できる概念が英語圏に無いのかと思うのだが、天と次元という奥の意味がこれでは伝わらない。
ここで言う「天と次元」というのは「time and space」即ち時間と空間のことではない。
天は直訳でskyだが、この場合には東洋思想の天が背後に存在する。

東洋思想の天とは、宇宙が決めた大運命、というようなものであって、天命と言えば運命が決めたその人の定めだったり、あるいは、天から授かった、というのは決して神様から授かった、という理由だけでなく、個人が運命的に授けられた、という意味合いも含むはずだ。
どちらかというと、天はthe Universeが近いだろうが、そうしたどうあろうとも絶対に変わらない宇宙的な法則、絶対不動で動かせない運命的な流れやそのさまを総合し、これを一言で言って「天」と称する。
また、次元とは直訳で「dimension」だが、日本語であまりにもレベルが違いすぎて勝負にならないことを「次元が違う」と表現する。住んでいる世界が違う、枠組みが違うのだ、と勝負をあきらめてしまうシーンに使用されることが多い。
ここでシモンのセリフに戻ってみよう。
このセリフは様々な解釈ができるだろうが、そのうちの一つに、シモンは一番の最大級に定められているCosmic lowの天、そして相手のレベルがどんなに自分よりも大きくても、そして世界の枠組みがどうであれ、それさえも突破してみせる、と言ったわけである。

それで
「天も次元も突破して!」
「『掴んで見せるぜ己の道を!」』
と繋がるわけだが、
これが
Simon: We'll break through time and space!
Team Dai-Gurren: And defy all who would stop us, to grab hold of our path!
だと本編日本語での意味が英語版では伝わらない。

全くもって残念という他無い。

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