──現代において
現代社会の今において尚、南海の島々には第二次世界大戦当時の日本兵が幽霊となって現れる。
現地の人間たちは、気味の悪いものだとか、あるいは彼らのことを、悪さはしないのだから今も共存する一つの人の形だとかと捉えていた。
現地の人間がいくら祈祷を行おうが、呪いをかけようが、一向に立ち退く気配がない。
どのような術式でも全く効果が見られないが、しかし悪さもしないので、八割型あきらめつつもあった。
それをとある日本人が小耳に挟む。どうにもどこかその日本兵の動作が妙だ。
と言うのも、どこかに戦うこともなく、大きい一つの補給物資を両手に持ち、それを腰か胸の高さで持って、一列になってさまよっている。
これはもしやと、その日本兵の名前と、何をやっていたかを調べ上げた。
現地に坊さんと向かう。
そして帰りの船はその人数分だけ客室を予約する。
現地に行くとその日本兵がいる。幽霊だが持っている荷物でさえはっきり見える。
ここでその荷物を受け取るふりだけし、それを台の上に積み上げていく。
「ありがとうございます! これでこの土地の人間も、本国の日本人も助かります! 」
と誰にも分かる形で喜び、坊さんが「〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん・・・〇〇さんは帰国の準備ができています。所要済まされましたらどうぞこちらに」と言う。
荷物を渡した日本兵は、やっと本願成し得たりと目的を果たした顔で、帰国の途につく。
全員から荷物を受け取り、それを現地で感謝の手紙と共に供養した。
船便で一週間ほどかけて帰国し、そのまま靖国神社に行く。
この日本兵らは、その命令が現地社会への物資補給であり、その理念が八紘一宇のために、どの土地も皆物資が満ち繁栄していくことであった。
彼らは命令の遂行において本懐を為しえない無念さと、幽霊という身にあってさえも帰国したいと言う情念が絡み合ってできた、人間の魂たちであったのだ。
現代社会の今において尚、南海の島々には第二次世界大戦当時の日本兵が幽霊となって現れる。
現地の人間たちは、気味の悪いものだとか、あるいは彼らのことを、悪さはしないのだから今も共存する一つの人の形だとかと捉えていた。
現地の人間がいくら祈祷を行おうが、呪いをかけようが、一向に立ち退く気配がない。
どのような術式でも全く効果が見られないが、しかし悪さもしないので、八割型あきらめつつもあった。
それをとある日本人が小耳に挟む。どうにもどこかその日本兵の動作が妙だ。
と言うのも、どこかに戦うこともなく、大きい一つの補給物資を両手に持ち、それを腰か胸の高さで持って、一列になってさまよっている。
これはもしやと、その日本兵の名前と、何をやっていたかを調べ上げた。
現地に坊さんと向かう。
そして帰りの船はその人数分だけ客室を予約する。
現地に行くとその日本兵がいる。幽霊だが持っている荷物でさえはっきり見える。
ここでその荷物を受け取るふりだけし、それを台の上に積み上げていく。
「ありがとうございます! これでこの土地の人間も、本国の日本人も助かります! 」
と誰にも分かる形で喜び、坊さんが「〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん・・・〇〇さんは帰国の準備ができています。所要済まされましたらどうぞこちらに」と言う。
荷物を渡した日本兵は、やっと本願成し得たりと目的を果たした顔で、帰国の途につく。
全員から荷物を受け取り、それを現地で感謝の手紙と共に供養した。
船便で一週間ほどかけて帰国し、そのまま靖国神社に行く。
この日本兵らは、その命令が現地社会への物資補給であり、その理念が八紘一宇のために、どの土地も皆物資が満ち繁栄していくことであった。
彼らは命令の遂行において本懐を為しえない無念さと、幽霊という身にあってさえも帰国したいと言う情念が絡み合ってできた、人間の魂たちであったのだ。