新元号「令和(れいわ)」 出典は万葉集 (毎日新聞 2019/04/01)
政府は1日午前、「平成」に代わる新たな元号を「令和(れいわ)」に決定した。各界の有識者による「元号に関する懇談会」のメンバーと衆参両院の正副議長から意見を聴き、全閣僚会議で協議した上で、改元に関する政令を臨時閣議で決定。
出典は万葉集。菅義偉官房長官が記者会見で発表した。
天皇陛下が政令に署名され、同日中に公布される。
新元号は、皇太子さまが新天皇に即位される5月1日午前0時に施行される。4月30日に退位する陛下は「上皇」となる。
今回は、明治以降では初の退位に伴う改元となる。
1979年成立の元号法に基づく改元は2度目。
システム改修など国民生活への影響を考慮し、新元号を事前に公表することになっていた。
安倍晋三首相も記者会見で談話を発表する。
政府は1日午前9時半過ぎから首相官邸で元号に関する懇談会を開催。複数の新元号案を示し、有識者らから意見を聴いた。
その後、午前10時20分ごろから、衆院議長公邸で衆参両院の正副議長から意見を聴取。
続いて首相官邸で全閣僚会議を開き、新元号案について協議したうえで1案を選び、新元号を定める政令を臨時閣議で決定した。
新元号選定手続きは、事前の複数案への絞り込みを含め、平成改元時をほぼ踏襲した。
絞り込みに向けては、まず首相が「若干名」の学識者に考案を委嘱。各学識者に対し、意味や典拠を付けた2~5案の提出を求めた。回収した案は、(1)国民の理想としてふさわしい意味を持つ(2)漢字2字(3)書きやすい(4)読みやすい(5)過去に元号や天皇のおくり名で使用されていない(6)俗用されていない――の6条件に留意して、菅氏が絞り込みの整理を行った。
菅氏は国文学、漢文学、日本史、東洋史を専門とする学識者の中から複数の学識者に3月14日に考案を正式委嘱したことを明らかにしていた。
2016年8月、陛下は退位の意向が強くにじむビデオメッセージを公表。このメッセージを機に政府内や国会で議論が行われ、17年6月に退位を実現する特例法が成立した。同年12月、退位と即位の日程が閣議決定された。
日本の元号は645年の「大化」から始まったとされ、701年の「大宝」以降は1300年以上にわたって途切れることなく続いている。
南北朝時代の並立元号も含めると、新元号は248個目の元号となる。
元号は「国民の理想としてふさわしい意味を持つ」ことが求められ、典拠を確認できるこれまでの元号は、全て漢籍から引用されている。前回改元時には、平成のほか、「正化」「修文」が最終3案に残っていた。【笈田直樹、野間口陽】