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Sherlock Holmes THE CASE OF THE RED HEADED LEAGUE

2018年03月02日 | YOU TUBE シャーロック・ホームズ
「赤毛組合」(The Red-Headed League)は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、56ある短編小説のうち2番目に発表された作品である。『ストランド・マガジン』1891年8月号初出。1892年発行の短編集『シャーロック・ホームズの冒険』(The Adventures of Sherlock Holmes) に収録された。
1927年6月、ドイルは『ストランド・マガジン』に発表した自選12編の中で、「プロットに独創性がある」として、「赤毛組合」を第2位に置いている。
日本語版では訳者により、「赤毛連盟」「赤髪組合」「赤髪連盟」「赤毛クラブ」などの邦題も使用される(league=連盟。組合ならunion)。
 
あらすじ
 
1890年10月9日の土曜日、ベーカー街221Bに住む私立諮問探偵のシャーロック・ホームズの住居兼事務所を、医師で伝記作家でもある友人のジョン・H・ワトスンが訪ねた。ホームズは燃えるような赤毛の初老の男性、ジェイベズ・ウィルスンから相談を受けていた。とても奇妙な体験をしたというウィルスンから、ホームズとワトスンは詳しい事情を聞く。
ウィルスンは小さなさびれた質屋の店主で、ヴィンセント・スポールディングという男を雇っている。スポールディングは「通常の半額の給料で構わない」と言ってウィルスンの店に採用された店員で、気が利いてよく働き、店員としては優秀だが、ひとつ欠点がある。彼は写真が趣味で、撮影した写真を現像するために暗室代わりにしている店の地下室へ頻繁に潜り込むのだという。8週間前、そのスポールディングがウィルスンに新聞広告を見せた。その内容は、「赤毛組合」に欠員が出たので組合員を1名募集するというものであった。「赤毛組合」は百万長者だった赤毛の男が創ったもので、自身の遺産を同じく赤毛の人々に分け与えるための組織であるという。組合員は簡単な仕事をするだけで高額の給料が得られ、ロンドンに住む健康な赤毛の成人男性であれば誰でも応募できるらしい。スポールディングから応募を勧められたウィルスンは、指定された日時にスポールディングに案内されて「赤毛組合」の事務所を訪れた。そこには審査を受けるために大勢の赤毛の男たちが集まっていたが、彼らはことごとく審査で不合格にされていた。ところが、審査を行っていた赤毛の小男、ダンカン・ロスはウィルスンをひと目で気に入り、新たな組合員として認めたのである。
 
組合員の仕事というのは、毎日午前10時から午後2時までの4時間、事務所にこもって『大英百科事典』を書写するというものであった。この4時間、ウィルスンはどんな事情があっても絶対に事務所の外へ出てはならず、これに違反した場合は組合員の地位を失うことになると言い渡された。ウィルスンは翌日から店の留守番をスポールディングに任せ、毎日10時から2時まで一人きりの事務所で書写の仕事を行う。給料は週に4ポンドずつロスから支払われ、順調に8週間が過ぎていった。ところが今朝、ウィルスンが事務所へ行くと、入口の扉に鍵が掛かっていて貼り紙がしてある。その貼り紙の内容は、「赤毛組合は解散した」というものであった。驚いたウィルスンはロスを探そうとしたが、事務所の家主は「赤毛組合」のこともロスの名前も知らなかった。家主によると、事務所を借りていた赤毛の男は違う名前を名乗っており、その男はすでに引っ越したという。ウィルスンは家主から聞いた男の引っ越し先を訪ねてみたが、そこにも「赤毛組合」やロスの正体を知る手がかりはなかった。その上、店に戻ってスポールディングに事情を説明しても、スポールディングは「そのうち連絡の手紙が来るかもしれない」などと無責任な返答をするだけで、ウィルスンはどうしても納得がいかないため、思い余ってホームズの住所を訪れたのである。
ウィルスンの話に興味を持って依頼を引き受けることにしたホームズは、スポールディングの特徴について質問した。ウィルスンの説明を聞いたホームズは、何か思い当たる所があったらしい。ウィルスンが帰ると、ホームズとワトスンはウィルスンの質屋に向かった。ホームズは質屋の前の敷石を数回ステッキで叩いてから、質屋のドアをノックする。そして応対に出たスポールディングに道を尋ね、その場を立ち去る。ホームズはワトスンに向かって「あの男はロンドンで4番目に悪賢く、3番目に大胆な男だ」と言い、続いて質屋の裏の大通りへ向かう。そこにはタバコ屋、新聞屋、銀行の支店、馬車製造会社の倉庫などが並んでいた。
 
「今夜仕事を手伝って欲しい。来る時には拳銃を忘れずに」とホームズに頼まれたワトスンは、一度家に戻り、夜に再度ベーカー街221Bを訪ねる。部屋にはホームズの他に、知り合いの警察官ピーター・ジョーンズ警部と、銀行の頭取であるというメリーウェザーがいた。ホームズは、この4人でジョン・クレイという犯罪者を捕まえるつもりなのである。クレイはジョーンズが以前から追っているロンドンでも指折りの悪党で、ホームズも1~2度関わりを持ったことがあるという。4人は馬車で質屋の裏の銀行に向かい、地下室へと入った。メリーウェザーによると、この地下室には増資のためのフランス銀行からの借入金であるナポレオン金貨3万枚、額にして60万フランが保管されているという。クレイはそのナポレオン金貨を狙っているに違いないとメリーウェザーは説明した。4人は暗闇の中、黙ってクレイを待ち伏せ続けた。
やがて地下室の敷石の一つが持ち上げられ、中からスポールディングを名乗っていたクレイが姿を現す。クレイが赤毛の仲間アーチー(ダンカン・ロスを演じていた男)を床下から引き上げようとした時、ホームズとジョーンズが飛び出す。ホームズは鞭でクレイの拳銃を叩き落とすが、ジョーンズが捕らえようとしたアーチーは上着だけを残して床下へ逃げ込んで行く。しかし、アーチーが逃げる先には、ジョーンズの指示であらかじめ3人の警察官が配置されており、クレイ一味が逃げ切ることは不可能の状態になっていた。逮捕されたクレイはホームズの手際の良さを賞賛すると、悪びれることもなくジョーンズの手で警察署へ連行されていき、メリーウェザーはクレイ一味の犯行を事前に阻止したホームズに感謝の言葉を述べるのであった。
ベーカー街の住所に戻ったホームズは、ワトスンに事件の種明かしを説明した。そもそも問題の店員が通常の半額の給料でウィルスンの店に雇用を希望したのは、彼がどうしてもウィルスンの店に入らねばならない理由があったためであること、さらに店員が赤毛の仲間と共謀して「赤毛組合」なる架空の団体をでっち上げ、組合員の仕事と称してウィルスンに百科事典の書写をさせていたのは、ウィルスンを毎日数時間ずつ外出させて、その間に店で何らかの作業を行うことが目的であったことを、ホームズは最初から見抜いていたのである。一味がわざわざ高い給料を支払ってまでウィルスンを外出させていた点を考慮すれば、一味がよほど莫大な価値のある物を狙っていたことは明らかであったが、そのような価値の高い物がウィルスンの小さなさびれた質屋にあるとは思えず、一味の真の狙いは店の外にあると考えられた。ウィルスンから聞いた店員の特徴から、店員の正体はクレイであると思われ、彼が頻繁に店の地下室へ潜っているというウィルスンの話を考慮すると、彼は店の地下室からどこかへ続くトンネルを掘っていたに違いない。そのように推理したホームズは、ワトスンと共に質屋を訪ね、店の前の敷石をステッキで叩いて音を聴き、トンネルが店の前ではなく後ろの方に伸びていることを確認した。さらに道を尋ねる振りをしながらクレイの膝を見て、彼のズボンがひどく汚れ擦り切れていたことから、彼が間違いなくトンネル掘りの作業をしていたことを確信したのである。そして、質屋の裏の大通りに銀行の支店があるのを見付け、ここがクレイの目標だと知ったのだった。その上で、ホームズはスコットランドヤードを訪ねてジョーンズの応援を頼み、メリーウェザーに面会して段取りを整え、クレイ一味を逮捕するに至ったのである。ホームズの説明を聞いたワトスンが「それでは、なぜ一味が計画を今夜実行することが分かったのか?」と質問すると、ホームズは次のように答えた。一味が「赤毛組合」の事務所を閉めたのは、トンネルが完成して、ウィルスンを外出させる必要がなくなったためであり、一味としてはトンネルの完成後できるだけ早く計画を実行する必要があった。加えて、土曜日の夜に計画を実行すれば(次の日は日曜日で銀行が休業であり、少なくとも月曜日の朝までは犯行が発覚する恐れはないため)逃げるのに2日の余裕があることから、一味は必ず今夜銀行に現れると確信したのだという。「素晴らしい推理だ」と絶賛するワトスンに対し、「おかげで退屈からまぬがれることができた」と言いながら、ホームズはあくびをしてみせるのだった。