net news 新潟県知事選で勝敗を分けた最後の有効打はあの応援議員のメンツだった!? 新潟県知事戦・戦略分析 (HARBOR BUSINESS Online 2018/06/29)〜この記事の意図は、何だろう。偏向的なマスメディアで営業活動するライターかな?
新潟県知事選で勝敗を分けた最後の有効打はあの応援議員のメンツだった!? 新潟県知事戦・戦略分析
ご存知の方も多いかと思いますが、翁長知事は膵臓がんが見つかり、現在は抗がん剤なども用いて治療をしている最中です。そんな人に向かって、ヅラだの、ハゲだの、からかって笑えるメンタル。こうした自称保守、いわゆるネトウヨ層の人間性を象徴するような話ですが、これは大分1区選出で自民党の衆議院議員・穴見陽一さんが肺がん患者に「いい加減にしろ」とヤジを飛ばしたメンタルにもつながっていると思います。
しかし、最近ではこうしたヘイトを撒き散らすまとめサイトや議員の存在が、選挙に大きな影響をもたらすようになっています。
先に行われた新潟県知事選では10~50代では自民・公明党を支持する人が多く、60~80代では野党共闘の候補を支持する人が多かったというデータがあります。なぜ若い人たちは自民・公明を支持するのでしょうか。
さまざまな問題が考えられますが、野党側の候補の政策、もっと言うと、候補の存在そのものが若い有権者に「届いていない」ということが大きいと考えられます。自民党側には若者に届けるチャンネルがあるけれど、野党側には若者に届けるチャンネルがないということが大きく影響しています。
与党側の「若者に届ける」チャンネル」とはなんでしょうか? その手がかりになるのは、自民党が新潟県知事選の応援に送り込んできた国会議員の顔ぶれです。
杉田水脈さん、和田政宗さん、丸川珠代さん、青山繁晴さん、小野田紀美さんという、普段からヘイト系まとめサイトなどのリンクを拡散したり、あるいは自身が発信源になるようなラインナップでした。小泉進次郎さんや石破茂さんといったテレビでお馴染みの有名議員ではなく、あえて一部のネトウヨ層から絶大な支持を得ている議員たちを応援に集めたのは、もちろん、戦略があってのこと。あまりに接戦すぎるため、情勢を伝える新聞や通信社が最後の最後まで「どちらが勝つか分からない」と言っていた花角英世さんと池田千賀子さんとの間に約3万7000票という差がついたのは、最終日にこれらの議員を送り込んだことが有効に機能したことも一つの要因ではないかと思います。
実は、同じ日に行われた中野区長選でも、元在特会のメンバーで、今でもTwitter上で差別発言を繰り返している吉田康一郎さんが立候補し、無視できないほどの得票数を獲得しており、日本のネトウヨ化は深刻で、選挙にも大きく影響し始めているのです。
改めて分析してみると、杉田水脈さんや和田政宗さんは若いネトウヨから絶大な支持を得ており、「若者に訴える力を持っている」というのは無視できません。ネトウヨの若者たちが杉田水脈さんや和田政宗さんをフォローしており、その発言を積極的にチェックしているのです。野党側の国会議員で若者から積極的に言動をチェックされている議員が存在するでしょうか。杉田水脈さんや和田政宗さんは、国会議員としての資質が問われる問題発言を繰り返しながらも、若者たちに情報を届ける圧倒的な力を持っているのです。困ったことに、その情報の多くが事実誤認や「印象操作のためのデマ」だったりするのですが、届ける力を持つ議員がほとんどいない中で、これは「パワー」なのです。そして、これらの議員がなぜ若者に届けるパワーを持っているのか。それは「正義」を掲げているからではないかと思います。
若者がさまざまな理不尽を突きつけられている世の中で、その「正義」が間違っていたとしても、自身を正当化してくれる「正義」を振りかざしてまっすぐ進んでいく人は心強いのだと思います。だから、「日本を守る」とか「日本を愛している」という言葉を「正義」として掲げ、それを前面に押し出す。もし反論してくる人がいれば、それは「日本を守る人を攻撃する人」「日本を愛する人を攻撃する人」ということで、いわゆる「反日」と定義されるようになるのです。国家が危うい方向に行ってたら批判する側こそ国を憂う存在なのに、それを「反日パヨク」と表現するのは、こういったところにあるのではないでしょうか。
このネトウヨを利用する自民党の戦略に対抗するにはどうしたらいいのでしょうか。やはり野党側も「大々的な正義を掲げる」ということではないかと思います。時代にもよるのかもしれませんが、今は「正義を持っていること」が重視されています。
実際に成果を挙げているかどうかは関係ないようで、とにかく勇ましいことを言ってくれる人が求められているのです。このトレンドに乗るためには、野党側も強いキャッチフレーズを打ち出し、正義を語る必要があると思います。自民党はこれまで「美しい日本を取り戻す」や「日本を守る」などのキャッチフレーズで「強さ」や「期待感」をアピールしてきました。一方、野党側はどんなことをアピールしてきたのかを考えてみると、まったく思い出せませんし、ほとんどアピールできていないのではないかと思います。最近になって立憲民主党が「右からでも左からでもなく、上からのトップダウンの政治を下からの草の根の政治に変える」と言うようになりましたが、これもキャッチフレーズとしては、いまいち「強さ」を感じません。意外と野党側のキャッチコピーが効いていないという点を考え直さなければならないのかもしれません。
◆選挙プランナーは戦略的にネトウヨを利用している
今回の新潟県知事選のような大きな選挙には「選挙プランナー」と呼ばれる職業の方が陣営に入って、選挙戦略を組み立てます。不思議なことに、選挙に勝たなければならないはずの野党側には「選挙プランナー」のような人が存在しないのですが、「選挙プランナー」はどうすれば選挙に勝てるのかを考え、アドバイスすることを仕事にしています。例えば、花角英世さんの娘さんを選挙に利用しているのも、演説で何度も「新潟の問題は原発だけではない」と語るのも、すべて「選挙プランナー」がアドバイスをしているからです。テレビで例えるなら、まさに「放送作家」のような役割をしているのが「選挙プランナー」なのですが、緻密に情勢調査の結果を参考にしながら、どこで何をするかを決め、票を積み重ねていくのです。
例えば、杉田水脈さんに応援に入ってもらい、感謝のツイートをするのも戦略です。今回の新潟県知事選では、池田千賀子陣営が5ポイント以上離されたところから猛追したわけですが、それを振り切るための手段が、ネトウヨ議員の集結でした。ジャーナリストの田中龍作さんが杉田水脈さんを直撃し、「(花角)陣営からの依頼」で新潟に来たという話を聞き出していましたが、杉田水脈さんは花角英世さんと特別なつながりがあったわけではないのに、わざわざ最終日に招かれて街頭演説をしているのです。もちろん、これは単なる偶然ではありません。
いつどこで誰に街頭演説をさせるのかというのは非常に重要な戦略であり、「ノーアイディアだったけど、偶然、杉田水脈さんが来ただけ」なんて無能なことはありません。敏腕な「選挙プランナー」がコーディネートしているのですから、当然、戦略に基づいて杉田水脈さんが招集されているのです。しかも、「呼んでおけばどうにかなるだろう」なんていう漠然とした戦略であるはずがなく、どれくらい票を上積みできるかという想定の計算があってのことで、杉田水脈さんにしろ、和田政宗さんにしろ、最終日に投入したら効果的であるという戦略ができているのです。つまり、日頃からネトウヨ議員のことを見て「アホや!」と思っている人は多いかもしれませんが、こうしたネトウヨ議員の影響力や拡散力は無視できたものではないと言えます。日頃からネトウヨを対策しておかなければ、このままどんどん増殖して取り返しのつかないことになってしまうという危機感を持つべきだと思います。
◆選挙ウォッチャーの分析&考察
ネット右翼層の頭の中では「安倍政権は愛国」で、それ以外は「反日」という構図になっています。彼らの正義はシンプルに「日本を愛している」であり、何をしても「愛国無罪」になってしまいます。ネトウヨが自民党を支持している絶対的な正義が「愛国」なのだから、立憲民主党や共産党も「愛」を語ったらいいのだと思います。
安倍政権がお友達の経団連のために何でもやってしまうから、さまざまな日本のシステムが壊されたあげく、経済的に立ち直れない国になろうとしていることは火を見るより明らかですが、それでもなぜ野党が支持されないかと言えば、単純に「愛の表現がうまくないから」なのかもしれません。安倍政権さえ大きな愛で包み込んでしまう勢いで、「安倍晋三より日本のことが好きだし、安倍晋三より日本の経済を良くするためのアイディアに溢れているけど、それでも安倍政権を支持しますか?」というテンションで挑んでいきたいものです。