ぶうちん村、風わたる。

風の吹くまま、気の向くままなんて、なかなかできませんが、楽しみを見つけながら過ごしたいものです。

教育基本法「改正」に反対します。

2006年04月29日 21時53分48秒 | Weblog
昨日「教育基本法案」が閣議決定され、国会に提出されました。
国の根幹に関わる重要法案を通常国会の終盤になって駆込提出してくる政府の姿勢が問題です。小泉総理は今国会冒頭の施政方針演説で「教育基本法については、国民的な議論を踏まえ、速やかな改正を目指し」とり組むと述べました。しかし、今回の「改正」法案は、政府・与党の密室協議でつくられました。この3年間で70回にのぼるとされる与党検討会は、資料も回収されるなど非公開でした。なぜ改正が必要なのか結論に至る過程が国民に明らかにされないままの法案提出です。国民不在の議論です。
教育基本法は憲法と一体の法律であり、憲法改正に匹敵する徹底した国民的議論が必要だと思います。ほんとうに子どもたちのためというならば、衆参両院に教育基本法調査会を設置して、憲法、子どもの権利条約などをふまえ、慎重に徹底した審議を行うべきです。
しかも、これは憲法「改正」にも直結した問題です。そもそも法は国家の暴走に歯止めをかけ、国民を守るという性質をもっていますが、自民党の憲法改正草案・今回の教育基本法「改正」法案は、国家が国民を統制せんとするものであり、ここに共謀罪が加わってくるとなると、小泉政権が企図しているものが何であるのか浮き彫りになってきます。
今日はメーデー集会が開催され、私も参加しました。しかし、そこで主催者や来賓の口から語られるのは格差拡大の問題が主であり、教育基本法「改正」問題について言及した方が皆無だったことは情勢認識が甘いのではないかと思います。
本日の南日本新聞に教育基本法「改正」についての県民の意見がいくつか紹介されていました。「徴兵制など国家政策への参画にすり替えられる」と指摘した方がいましたが、その通りだと思います。国民が勝ち組・負け組に分かれるのがだめなら、日本国そのものが国際社会の勝ち組にならんとして、「国際社会の平和への貢献」として自衛(軍)を世界中に派遣することにつながっていくと思うのです。
昨年、中国の反日デモのプラカードにあった「愛国無罪」は、いずれの国でも、まさに「愛国」のためなら何をしても許されるという、偏狭なナショナリズムの本質を端的に表現したものです。あの中国国民の「愛国心」の発露を快く思った方、いますか? 少なくとも私(愛国心なるものの自覚はあまりありませんが)は、日本人というだけで自分の店を破壊されたり、ペンキをかけられたりする画像にとても不愉快になりました。あれが「愛国心」です。いったん仕組まれると暴走する要素のとても強い集団心理だと思っています。 
かつて「国のために死ねる人間を育てることだ」と吐露した国会議員がいました。しかし彼は、私利私欲に走り法に触れ逮捕されながらも、議員を辞する見識さえ持ち合わせていません。国民に国を愛することを説教するよりも、国民から愛される国づくりに邁進することこそ、政治家の責務ではないでしょうか。 
「国を愛する」ことが明文化されたら、今後は学校における教育課程に「愛国心」がどのように位置づけられ実践されているのかの点検が始まります。教員は校長から「愛国心」の指導法について評価され、子どもたちは「愛国心」の発露たる言動を評価され、やがて非国民・売国奴・国賊呼ばわりが日常化し、「権力に無批判な国民」づくりへに直結することは、歴史が証明していますし、「国旗・国歌法」がその典型でしょう。しかも家庭教育の充実も盛り込まれていることから、家庭内に国家が介入してくることは必定です。
その意味で教育基本法「改正」には絶対反対です。
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