豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

「つるぎ」の具合が悪化してるらしい

2011年06月20日 | 山を飛ぶヘリコプター
ここ数年、某周波数の無線を山小屋などでワッチしてますと、富山県警防災ヘリ「とやま」の出動が増えている気がしていました。その理由のひとつは、富山県警ヘリ「つるぎ」の機体が酷使されていて、修理のために稼働できない日が多いことも影響しているようです。


県警ヘリ老朽化にため息
朝日新聞  2011年06月19日



引用
今年2月28日に北アルプス・剱岳の池ノ谷ガリー(標高2750メートル)で県警山岳警備隊が訓練中に雪崩に巻きこまれた事故でも、「つるぎ」は修理で出張中。「肝心な時にいない。県警ヘリなのに、このままでいいんか」。県警内部からもぼやきが出ている。
引用おわり


あの事故で「とやま」が飛んでいるのをニュース映像で見て、「あれ?」と思いましたけど、もはや県警内部からぼやきが出るほど稼働率が下がっているのですね。



引用
「つるぎ」の運用開始は1988年。現在の機体は96年に導入された2代目でイタリア製の小型機だ。2代目は昨年末までの約15年間で529人を救助・搬送するなど活躍してきた。ヘリを1機だけ運用する全国28県警の中で、ナンバー1の成果を上げている。
引用おわり


前にもどこかで書きましたが、「つるぎ」はイタリアのアグスタA109K2という機種です。たぶん、日本ではこの1機だけでしょう。山岳専門といっていい機種であり、高所性能に優れています。

私が初めて「つるぎ」を見たのは10年ほど前ですが、標高2500m前後でも安定してホバリングしていましたし、狭い谷筋にも普通に突っ込んでくるのを目撃して、「さすが山岳専用機」と感心しました。

しかし、強風吹き荒れる稜線で酷使した結果、機体の痛みが相当激しいようです。








で、新型機の導入を検討することになったようですが、県警や防災ヘリはだいたい十数億円ぐらいのお値段になります。


引用
新型機には、気流の変化が激しい標高3000メートル付近でホバリング(空中停止)ができることや、6人以上の搭乗が求められている。関係者によると、小型機「つるぎ」は手狭で、遭難者1人を収容するのがめいっぱい。多数の遭難者がいれば1人ずつ往復輸送せざるを得ないからだ。
引用おわり



後継機には遭難者をもっと収容できるように大型化を希望するみたいです。ただ、どうなんでしょう。あんまり機体が大きいと、今度は山小屋のヘリポートに着陸できないなんて問題が出てくるかもしれませんね。