豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

北海道の山岳事故をちょろっと調べてみたら・・・・

2011年06月15日 | 遭難と救助について考える
前回のエントリーにおいて北海道の山岳遭難件数が128件→162件→123件と乱高下していることをネタにしました。で、「なんでこうなるのさ」と思ったので、とりあえず北海道警のサイトを覗いてみたところ、安全登山情報というコーナーがありました。

ここには過去5年間における遭難事故の件数をまとめたファイルがありましたので、早速読んでみたのですが、ここに出てくる数字って、警察庁のまとめに出ている数字と違うんですよね。

とりあえず、5年分の数字を簡単にまとめてみました。↓





警察庁のまとめに出ていたデータだと平成21年に162件の事故があり、遭難者数は224人です。が、安全登山情報ですと49件発生で遭難者は100人です。




うむむ





これは恐らく、北海道警が発表しているデータは山岳遭難の定義をかなり狭くしていて、山菜採りとか渓流釣りの大半が含まれていないのでしょうね。


さて、この5年間の数字を見てみると、発生件数はそれほど乱高下していない印象ですね。ただ、遭難者数は平成20年に39人だったのが平成21年では100人と、ちょっと暴れています。件数は36→49なのに、遭難者数が39→100ですからねえ・・・。

そこで平成21年のまとめ(PDFファイル)を見てみます。ご存じのとおり、この年はトムラウシのアレがあるんですけど、その他にも集団でやっちゃったケースが凄く多いですね。

ちょっと書き出して見ましょう。


○平成21年3月17日
大雪山系黒岳にて外国人6名のパーティが道迷い

○平成21年5月23日
積丹岳でガイド含む12名が道迷い

○平成21年7月2日
塩谷丸山で6人パーティが道迷い


トムラウシと美瑛岳の件を抜いても、集団での遭難がこれだけあります。件数は平成22年も21年と同様49件なのですが、遭難者数は100人から72人へと減っています。





その他、平成18年からのまとめをざっと読んだのですが、ガイド絡みの事故も多いですね。事故もお客さんの転倒とか滑落ならまだわかるんですが、道迷いとか悪天候といった、ガイドが絶対にやってはいけない遭難原因が目立ちます。




4 コメント

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なるほど…。 (ニシノ)
2011-06-15 09:30:05
北海道は、道外から来るガイドのツアーや、旅行会社の登山ツアーも多いと思われ、1件の遭難で人数が増えてしまうのでしょうね。一概に人数だけ見て遭難が多い・少ないという話ではないのですね。
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Unknown (bongo-pete)
2011-06-15 22:54:37
ニシノ様

ツアー登山での事故はどこでもあると思うのですが、そのほとんどはお客さんの1~2人がコケたとかそういうパターンであり、北海道みたいに集団で道迷いしたり気象遭難するのは、他の都道府県だとあまり無いような気がします。
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Unknown (wanderstift)
2011-06-18 19:03:02
あの年の北海道はとにかく夏場に悪天が続きましたから、今までは薄氷みたいなところで何とか成り立っていた諸々が一気に綻んで表に出てきてしまったのかなぁ・・・という気がしています。

あの事故で知り合いを亡くした者として、せめて何かのきっかけになってほしい、そういう思いが未だに拭えないでいます。
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Unknown (bongo-pete)
2011-06-18 22:15:56
wanderstift様

ただ、登山業界が大きく変わったかといえば、期待していたほど変わってないというところでしょうか。あの事故について様々な議論を見てきましたけど、根本からずれている感が否めません。
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