豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

ストックについて暑苦しく語る その4

2008年10月09日 | 山ネタ そのほか
「ストックについて暑苦しく語る」シリーズは初心者のストック利用、特にダブルストックに対して文句を垂れまくっているわけですが、個人的にはストックの利用について「お好きにどうぞ」ではあるんです。マジです。

で、文句垂れまくりだけではあまりにも前向きな人生ではないので、ここらで少しダブルストックを含むストックについて清く正しくエレガントな使い方を語ります。ちなみに本人はほとんどダブルストックを利用したことがありません。シングルでも無いです。通常は手ぶらか、あるいは夏山でもピッケル(長目の)です。いろいろ事情があるもので・・・・

つまり、プロのダブルストックユーザーでは無いことをご了承ください。





その1
ストック利用時と手ぶらの時とで、ムーヴを変えない

手ぶらの時、後ろ向きに降りていた岩場をダブルストックになった途端に前向きで降りるとか、尻もちついて降りていた段差をダブルストック利用で立ったまま降りる、というのは、場合によってヤバい動きです。ストックに無理な加重をしていると、何かの拍子にストックがはずれたりして危険です。ベテランになってからならまだしも、初心者のうちはコレをやらない方がいいですね。

体重は常に自分の足に掛けるモノで、ストックにかければかけるほどリスクが高まります。なんというか、ストックとは体重が自分の足に安定してかかるようにするための道具だ、と考えながら使ってください。

要するに、ストックを使っても使わなくても、同じ歩き方をしてくれ、ということです。


その2
垂直に立った姿勢を崩さない範囲でストックを突く


下りの際、へっぴり腰になって前方遠めにストックを突くのは、岩場でなくても危険な行為です。ストックに体重を預けているわけですから、ストックが滑った途端に転落や滑落事故となります。

下りではストックを長めにして、体を垂直にしたままで届く範囲にストックを突くようにするべきです。


その3
ストックは正確に突く


ストックには大なり小なり体重を掛けるわけですから、確実なポイントに突かなければなりません。万が一体重を掛けているときに滑ったら終わりです。

でもね、これがテキトーな人が多いと思いますよ。突いたストックの先がズルズル動いている人が多いですし、酷い人となると、他人の登山靴にストックを突いている人もいますからね。

安定したポイントに対してストックの先を精密に打ち込むぐらいの配慮が必要ですし、それで時間が掛かってしまうのであれば鍛錬するか、あるいはストックの利用を再考すべきでしょう。


その4
膝がどーのこーのということを考えるより、体をまっすぐに保つためにストックを使う

ストックは重い荷物を背負った時でも体をまっすぐに保ちやすいから、楽なんですよね。重い荷物を背負えば、体が横にぶれた時のリカバリーで体力を消耗しますし、体は自然と前屈みになります。それをカバーしてくれるのが、ストックの本来の役割です。

正直な話、私は現場で背負い搬送になると、遭難パーティからストックを徴発してダブルストック体勢になることがあります。ま、これまでに2回ぐらいですけどね。

膝のカバーばかりに気をとられると、姿勢が悪くなるような気がします。それよりもダブルストック利用でどんな場所でも垂直に立ったまま歩けるように、普段から考えつつ歩くべきです。

よく考えてみてください。へっぴり腰になって下るより、垂直立ちのままスラスラと降りる方がエレガントでしょ?


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