豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

「ガチで考える道迷い遭難」 第8回

2015年03月14日 | ガチで考える道迷い遭難
◆岩場は遠くから観察&身体を離して登れ

槍ヶ岳山荘で勤務していた当時、槍の穂先の岩場を見ていると時々ルートを外している人を見かけました。夏であれば大勢の人が取り付いているのでルートファインディングなんぞしなくても自動的に山頂へ到着するのですが、人が少ない時だとたまに見かけましたね。北アルプス北部を歩くようになってからも、時々岩場でハマっている人を見かけます。離れた場所から見てると「なにやってんの?」と誰でも思うような状況なのですが、本人は必死になってルートを探しているようで、ずーっときょろきょろしています。

岩場では普通の登山道よりも視野が狭くなりがちです。さらに恐怖で身体が岩に密着しているともっと視野が狭まり、人によってはそれこそ目の前のホールドしか見えない状況に陥ります。そこで目の前に現れるホールドをひたすら追いかけていくうちに、いつのまにかルートを外れてしまうわけです。

北アルプス北部、唐松岳~五竜間にある岩場で、ルートを外れてしまうケースが多発する場所があります。外れるといってもすぐに気がつくのでまず大丈夫なのですが、ここは岩に取り付いてから右斜め上に登ります。遠くから見ればラインが見えますし、ペンキマークもついています。が、ここで左の方に引っ張り込まれる人が多いのです。



青の矢印がルートなのですが、黄色の矢印方向に行ってしまう人を時々見かけます。


岩場でのこのようなミスは、通常であればすぐに行き詰まって間違いに気づきます。ですが、怖いのはそのまま降りられなくなってしまうケースですね。これは岩場に限らず厳しい急斜面でもあります。また岩場でルートをはずし、そのまま明後日の方向へ行ってしまう可能性もあるでしょう。

というわけで岩場に接近したら、まずやるべきことは離れた位置からルートを確認することです。ペンキマークがペタペタ塗ってあるならば、それを目で追ってラインを確認します。そしてなるべく身体を岩から離すように登ることです。また安定した場所にいるのなら、先のルートをしっかり探すことを繰り返しながら進みましょう。

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