豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

「ガチで考える道迷い遭難」 第7回

2015年03月12日 | ガチで考える道迷い遭難
登山道の様子を覚えておくことは、道迷い遭難の防止だけではなく緊急時の行動判断にも役立ちます。



◆登山道を記憶しておく

八方尾根から唐松岳に登頂し、そのまま往路を戻るつもりで五竜方面へ縦走してしまう人が何人もいるという話をブログで何度も書いていますが、登山道を多少なりとも覚えていればすぐに間違いだとわかるはずなんです。なぜなら、八方尾根には簡単で短い鎖場が2ヶ所あるのみです。一方、五竜方向へ向かうと鎖場がこれでもか!ってなぐらいに出てきます。また八方尾根を下山する場合、登り返しはほとんどありません。が、五竜方面だと顕著な登りが3~4ヶ所あります。つまり、登山道の様相が全然違うのです。

間違いを起こした登山者に質問してみると、多少は「変だな」と思いながら歩いているようです。が、結局、絶対に違うという確信が無いのでそのまま進んでしまうのでしょう。ここで多少なりとも登山道の様相を覚えていたら、ミスしていることにすぐ気がつくはずです。

自分の場合、パトロールの担当になったエリアの登山道は隅から隅まで記憶しています。そうでないと仕事にならないのですが、どこにどんな岩があって、鎖場ハシゴ場があって、コマクサが生えているのか、ほぼ覚えています。何十回と歩いていれば自然と覚えますけど、初めて歩くコースであってもしっかりと登山道を見て、可能な限り頭に叩き込むようにしています。もちろん、完璧に覚える必要はありませんが、覚えようと意識しておくのと、ただ漫然と歩いているのとでは大きく違ってくるはずです。

さて登山道を覚える方法ですけど、これまた繰り返しになりますが、まずは前方および周囲をよく見ながら歩くことです。足下ばかり見ていたら、通ってきた登山道のことなど記憶に残っているはずがありません。

そしてもうひとつ。後ろを振り返りながら歩くことも大切です。なぜなら、同じ登山道であっても登りと下りとでは見え方が違うからです。頻繁に後ろを振り返るのは大変なように思えるかもしれませんが、慣れてくればそれほどでもありません。得てして登山道は大なり小なりジグザグにつけられています。ですから、必ずしも180度振り返らなくても後方が見えるものです。つづら折れの登山道を思い出してください。首を少し曲げるだけで、ここまで登ってきた道が見えるはずです。実際にはほんのちょっと首を曲げてチラッと見るぐらいで大丈夫です。また特徴的なもの、大きくて目立つ岩や大木、道標などがあったら、通過後に振り返って見ておきましょう。


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