ヴァールブルク著「蛇儀礼」のご紹介を続けます。
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(引用ここから)
こうしたまじないの中でも、我々から見てもっとも驚くべきは、生きた「蛇」を使うことです。
「蛇」がくねって稲妻のような形をしていることから、稲妻との魔術的な因果関係があるとされているのです。
階段状の破風屋根の「世界=家」、そして「蛇」の矢のように尖った嘴、および「蛇」そのもの、これらはインディアン達の象徴的なイメージ言語の構成要素なのです。
破風の階段状の模様は、疑いなく「コスモス」の象徴として、アメリカ全土にわたるもので、ひょっとしたら世界中に共通するものかもしれません。
スティーブンソンが撮影した地下礼拝所(キバ)の写真に、捧げものの儀礼の中心となる木彫りの「稲妻祭壇」が見えます。
四方を示す象徴と並んで、稲妻型の「蛇」が映っています。
四方八方からやってくる稲妻のための祭壇です。
また、ホピ族アコマ村の教会に行った時は、その壁には異教の宇宙論的なシンボルが描かれていました。
この絵は、階段状の屋根を持った宇宙を象徴しています。
ギザギザの模様は階段を表わしています。
しかも石を積み重ね、漆喰で止めた階段ではなく、もっと原始的な、つまり、木に切り込みを入れたものです。
プエブロ族ではまだこういうものが使われていたのです。
階段や梯子は、自然の生成や有為転変を視覚的象徴で表わそうとする者にとっては、人類の根源的経験を示しています。
それは空間の中での上昇と下降の関係を闘い取ることの象徴です。
また円環は、くねった「蛇」と同じに、時間のリズムの象徴であります。
4本足で動くことをやめ、垂直歩行を始めた人間は、上方を見て、重力を克服するためには補助手段が必要となり、階段という道具を発明したのです。
それによって、動物より低い能力をより高等なものに変換できたのです。
空を見上げるということこそ、人間の恩寵であり、また呪いでもあるのです。
そしてインディアン達は「世界=家」を、梯子を使って入る階段状の彼らの「家」と同じ形として想定することで、彼らの宇宙論に合理的な要素を生み出したのです。
しかしまたこの「世界=家」を、文化的に安定した宇宙論がそのまま形を成したものと見るには慎重でなければなりません。
というのも、この「世界=家」の主は、あの気持ちの悪い「蛇」という動物なのですから。
プエブロインディアンは農耕民であるとともに狩猟民でもあります。
彼らは生きていくために、トウモロコシ以外に肉を必要としています。
「仮面舞踏」も、魔術的行為を通じて行われる社会全体としての食糧調達の方策と見るべきでしょう。
こういう「仮面舞踏」は、その本質からすると生存闘争のための真剣な戦闘行為なのです。
その起源や意図から見れば、獲物をめぐる、そして生贄をめぐる「舞踏」だったのです。
狩猟民および農耕民である彼らは「仮装」によって、つまり、模倣によって、動物や穀物といった獲物や収穫物に「なる」のです。
この神秘的な「模倣による変身」を通じて、彼らは実際の狩猟と農耕にあたっての、冷静で用心深い働きを通じて得るべく努めているものを、あらかじめ確保できると考えているのです。
(引用ここまで)
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