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人は真に大地と交わることができるか?・・ホピの予言「この惑星を救う生き方」研究(8・終)

2010-08-12 | ホピの予言と文明の危機
ホピ族の長老ダン・エヴェヘマと、彼が招へいした白人著述家トーマス・E・マイルズの共著「ホピ・神との契約・この惑星を救うテックワ・イカチという生き方」という本を読んでみました。続きです。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。

この本の原題は「ホピ・サバイバルキット」といいます。

“生き残るためのホピの知恵”といった意味ではないかと思います。

それで、著者マイルズ氏は、“生き残るためにはどうすればいいか”を簡潔にまとめて、読者に提示しています。


*****

(引用ここから)

「霊的箱舟」の生活について、これまで得てきた情報を要約しよう。

預言の指摘するわざわいを逃れるには、次の事項が出発点になる。


1・マサウと契約をする

2・マサウ自身がそうだったように質素な生活をする

3・克己の実践

4・自給の実践

5・優先順位の変更

6・わたしたちを救うことが創造主の願いであり、ホピとともに世界を救えることを心に刻む


創造主とマサウがわたしたちに告げているのは、世界人類が命と環境への態度を完全に変化させなければならないということである。

ホピの伝統派がしているように、生まれてから死ぬまで母なる大地に浸る、ということである。

簡単に言えば、わたしたちは命を祝えるように、大地と交わる必要がある。


思えば単純なことである。

だが、わたし達はそれをしてこなかったのだ。


大地と交わるべき理由は多くある。

教えに従い、新しい思いと行いを新しい生活に応用してゆくにつれ、この世の変化を生き抜いてきた長老の性質がわたしたちのものになる。

母なる大地との交わり、それは自分自身に交わることでもある。

その結果としてわたしたちはより穏やかになる。

より静かになり、議論好きな性格は減り、より落ち着いた性格になる。

世界がどんな展開になろうとも他との一体感がいっそう深まるようになる。


自分のありのままを知り、自分がなにに忠実であるかを知る。

正しい選択が容易になり、誘惑は問題ではなくなる。


この種の態度が培われてくると、他の被造物への畏敬の念が深まってくる。

地球を救う意味では、するべき事が自動的に出来るようになる。

命への態度が改められた結果、そうなるのである。

他を利用、誤用するために地球に君臨する存在としてではなく、活ける全体の一部として自分を見るようになる。



創造主の求めをすべて行う中で、生き残りに必要な・・特に大変動が預言されている第4周期末期を生き残るのに必要な・・知恵と強さと確信が得られてくる。

今、わたしたちがあらゆるものに向けてその態度を変えなければ、預言どおりになり、それと共にわたしたちの一部も犠牲者になるだろう。

だがわたしたちが生きている限りは、今後の世界を子子孫孫のために最善のものにするよう働きかけるのである。

ホピの長老たちのようになり、正しい選択をすることによって、私たちは世界が崩れるペース、変動の度合いに影響を与え、第4周期の終わり方をかたどることができるのである。


これが信じられないとすれば、それがどれほど単純かつ易しくできるかということを認識するに至っていないからである。


わたしたちの選択はこうである。

教示に従い、新しい態度で私たちが結束すれば、世界全体の空気が私たちとともに変化する。

表立ったことをしなくても、目に見えないところで変化がおきる。

最初は起きていることにさえ気づかないかもしれない。

だが、同じ問題が繰り返される中で、以前存在した問題が消えていることに気づくに十分な結果が、各所で見えてくる。

そのように混とんの最中にも希望と勇気づけがある(であろう)。

ホピの予言そのものは、「新しい日の出があり得る」と告げている。


伝統派が年ごとに行っていることを見習うにつれて、わたしたちもその態度と感覚を培うようになる。

長老たちは12月を、冬の家に来た太陽が夏の家に帰る支度をする時、と表現する。

だから12月には太陽がうまく帰れるための敬意と楽しさが必要になる。

そこで人々は朗らかで健全な言葉を交わすよう心がける。

健全な言葉とは、隣人、特に何か辛いことを経験している人を明るくするような言葉である。

そのような言葉が好まれる。

そのような言葉は温かい人間関係を築く。


自分で始めたことだけが大事だと考え、強力な心理学的変化だけが世界の諸問題を解決できると信じる者たちがいる。

彼らは、精神の拡大と意識の変成ばかりを問題にする。

このような人は本書に書かれているような単純な教えを馬鹿にするだろう。

だが彼らの方法を試しても何一つ人間的に温かな関係を作り出せなかった人は非常に多いのである。

教育がしばしば信仰の邪魔になることも御存じだろう。

創造者はオライビにおいて、虚偽も謀略も知らない真に謙虚な民を選んだのだ。


(引用ここまで)


   *****


この提言はありきたりなようですが、よく考えると、驚くべき提言かもしれません。

なぜならこの提言は、ホピの長老自らが共著者となり「ホピの提言する生き残りのすべ」として述べているのですから。

そして彼らは、「人類が生き残るため」に、「ホピの長老のように生きてみよう」、と言っているのですから!

この「生き残る」という言葉は実際には二重に使われているのかもしれません。

「ホピが生き残る」ことと「人類が生き残る」ことが、二重になっているのです。

それは、彼らの言うところの「ホピが地球の番人である」、からなのでしょう。


守護神マサウが、ホピの救済を請け合ったのと同じように、人類と新たなる「契約」を結ぶ気があるかどうかは、わたしには分かりません。

ただ、人類が滅びてもホピは滅びない、という確信を持つホピの長老のまなざしが、なにがしかを語っているような気はします。

彼らは、「わたしたちの土地を放っておいてくれ、」と言っているわけではないのです。

「自分たちは人類全体への責任がある」、ということを決して忘れる時はないのでしょう。


その信念の強さが、ホピを世界レベルの存在としているのではないかと思います。


その信念の強さはどこからくるものなのか。。

ホピ研究家フランク・ウォーターズ氏の言うように、わたしも、

「ホピは特殊な宗教的団体なのではないだろうか?」
と考えておりますが、

彼らの信念と確信は常ならぬ宗教性をはらんでいると感じます。

ニュースレター「テックワ・イカチ」は、そうした彼らの信念と確信(=予言)が、歴史的側面(=現実)と接触する様を、彼ら自らが述べたものとして、貴重な文書であると考えます。

本書はニュースレター「テックワ・イカチ」の発刊者である長老エヴェヘマが、“白人にも分かるような説明的文章”で語ることを許可した、「生存への道すじ」なのだと思います。

(終わり)


写真は石版「小道の石」の表側


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2 コメント

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Unknown (二重瞼の日本人)
2018-02-28 18:16:51
克己:自分に打ち勝つこと。心の中に起こる衝動・欲望を意志の力によっておさえつける
「足るを知る」これを体得できれば、衝動・欲望を押さえ付ける事無く、平穏に生きていけると想うのですが。
自給の実践  生活の程度は、日本の幕末時代や明治時代と同等で問題ないと感じますが、この時代なら
自国の産物で自給自足出来てましたし。
私の家では、未だに五右衛門風呂で、夏は団扇や良くて扇風機、冬はコタツ良くてストーブですが不自由は感じません。
仕事場から帰るときは、10km程度を歩いてます(明治を生きてきた祖父母の頃は当たり前、食べ物に不自由ない私らに出来ない筈はなし)

大地(地球)の寄生獣にはなりたくありませんので、欲張ったり甘えたりしなければ、誰にでも出来ると信じてます。
返信する
コメントありがとうございました (veera)
2018-04-26 05:51:44
二重瞼の日本人 様

コメントが、2か月も遅くなりまして、もうしわけございません。
ご紹介したホピの本を、まっすぐにお読みいただき、ご了解いただき、ほんとうにありがとうございます。

今は、どんな毎日をお過ごしなのでしょう。
おそらく、2か月まえと変わりない毎日を
お過ごしなのでしょう。

平穏に過ごせるって、才能なのだと、、急に申し上げても、お互いに了解しずらいことかもしれませんが、、生まれついて、親の因果か、奇妙な情念の渦や、欲の渦にまきこまれている人もいます。

平安に過ごせる一日が、いかに尊いか、こころから、感謝しながら、日々をすごしております。

あれこれ、いろいろなことも思いつくのですが、それらは、まぼろし、、。

それがわかるまでにどれだけの時間をついやしたことか。。

今日も一日お元気でおすごしください。
わたくしも、そのようにすごしたく、精進したいと思います。ありがとうございます

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