「へンくつ日記」

日常や社会全般の時事。
そして個人的思考のアレコレを
笑える話に…なるべく

何が「肝心」?

2012年01月19日 04時49分37秒 | Weblog
 
少し前、石原慎太郎都知事は、産経新聞でのコラムで「日本は
そして地球は滅びる」と断じた。その理由を幾つか挙げていた
が、「肝心が判らなくなっている」というのがあった。慶應大
学教授で文芸評論家の福田和也氏の論文『なぜ日本人はかくも
幼稚になったのか』の「幼稚な人間とはIQが低いとか、常識
がないということではなしに、何が肝心かが分からぬ、そして
肝心なことについて考えようとしない者だ」との文を引き、目
先の利害損得にかまけてばかりで、“肝心”に考えが及ばない日
本人は「恐るべき幼稚」で、そんな民族の行く末に待っている
のは“滅亡”の二字しかない、というのだ

石原氏の「“肝心が判らぬ”ゆえに国が滅びる」という論に反対
しないが、しかし彼の論の根拠は幼稚だ。「何が肝心か」の答え
を、持論の「我欲を滅する」こととしているのだ。だが、欲を
抑えることは目的をなす為の過程の行為でありそれが目的とは
ならない。少なくとも「人間の肝心」は、人生においてもっと
も大事な目指すもの、または究極の目的でなくてはならない
我慢することが人生の目的ならば、人生はただの苦役となって
しまう。そんな念仏思想には同意できないし、それは全く正し
くない。では人生における、また人間における「肝心」とは何
なのだろう


第二次大戦当時、レジスタンスとして戦い、逮捕投獄された経験
を持つ、イタリアの経済学者で実業家の故アウレリオ・ペッチェイ
(1908~1984)は1972年、資源や人口問題、軍備拡張、環境破壊
など全地球的な問題に対処する団体「ローマクラブ」を創設し、2
年後に「成長の限界」という報告書をまとめ上げた

「成長の限界」では、人類がこのまま資源を使い消費生活を続け
更には武力による紛争解決を続けていると、100年以内に破局す
るとの警鐘が鳴らされていた。その内容に世界が震撼した

破局を回避するため、ペッチェイは、従来の経済のあり方を見直
し、世界的な均衡を目指す必要があると主張した。そして、それ
には、人間の意識の変革、一人ひとりの自己改革が必要と考えた
彼は「我慢」するのではなく、自己改革の道を志向した。我慢は
無理が生じ永続的ではないからだ

まず自らの意識を変える。それにより“自然と共存・調和する
自分”に変えるべき、人間の“意識改革=Human revolution”
こそが、再生の鍵と、彼は主張したのだ

自分を変えるのは容易ではない。ただ“我慢”するだけでは自分
は変わらない。どうすれば自分を変えられるか。それを可能にす
る『哲学』こそが“肝心”だと思うのだが、そのことに石原氏も
ましてや政権与党の面々、日本の識者らも考えが及ばないようだ
それこそ『「恐るべき幼稚」で「“肝心が判らぬ”ゆえに国が滅び
る」』原因と思うのだが…
コメント
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