いまはインターネットの世界。世界で起こったあらゆることが
瞬時に、世界中の一般家庭にまで知れ渡る
アフガニスタンに駐留している米軍兵士が、戦闘で死亡した
タリバン兵の遺体に、あろうことか放尿し、その様子が撮影
されてインターネットに流された。誰より驚いたのは米国政
府で、パネッタ国防長官は問題の行動に対し「米軍の規範を
反映したものではない」とし、「全く嘆かわしく不適切な行
動」で「最大限の言葉で非難する」と声明を出した
確かに彼らの行動は言語道断、あまりに酷い。けれども…だ
もっとも酷く「非人道的」なのは、無差別の大量「殺人」で
あり、それを「命令」する行為ではないのか?
そもそも、前線の兵士に「人道的行為」を望むことは絶望的
に無理なのだ。何故なら、彼らは「敵とはいえ、同胞の人間
を殺害する」という“非人道的野蛮行為”を強制されている
一方で、“一般市民が犯せば重罪になる非道行為”を命令され
同時に、“人道的行為”をせよと言われる。その矛盾を抱え込
んで苦悩する兵士の倫理規範は崩れ、先の行為となってしまう
のは、ベトナム戦争の時も、中東戦争の時も、更に第二次大戦
でも米国政府は経験済みのはずだ。それらの戦争で同胞を殺し
倫理観が崩壊した兵士は、強姦や略奪、麻薬服用などを繰り返
したのだ。米兵のみならず、第二次大戦中のドイツ兵、ロシア
兵は勿論、日本兵も中国で非道を繰り返した。誰がなんと言お
うとそれは歴史の事実なのだ
パネッタ長官は先の兵士たちを調べた後に「責任を取らせる」
と述べた。それは当然のこととして、最も重い責任を問われる
のは、兵士たちをそのように仕向けた国の責任者だ。それは歴
代大統領であり、国防長官ら政府高官だ。彼らを遡って責任を
追求し、「最大限の言葉で非難する」べきだ
二度と若者を戦場に送らない、否、武力で紛争解決しないと決め
ない限り、“非道行為”は繰り返し起こることを、そろそろ気付
いてもいいと思うのだが…