尊敬する師匠についていこうと
弟子たちは決意する
しかし…
亡命生活も既に１４年
遂に餓死の危機に見舞われる
弟子の一人、子路はなかば憤りつつ師に尋ねた
「君子も窮することがありますか」
師は毅然として答える
「君子固より窮す、小人窮すれば斯に濫る」
（君子もむろん窮することはある。
しかし小人は窮すると乱れるものだ。
君子は乱れない）
師の言葉を聞いた弟子は己を恥じた
少しばかりの苦難で
動揺してしまったと
このまま飢えて死んでもいい
師と共に絶え抜き生きたことこそ誉れ
世間の栄誉栄達など蜃気楼に過ぎぬ、と
そして弟子たちは再び決意し
師に着いていくのである
結果的に餓死者は出なかった
今から約２５００年前に
孔子と弟子たちの間にあった
実際の話である
この時、餓死を恐れ
情けなくも慌てふためき
師から離れた弟子がいたなら
その汚名は後世まで残っただろう
師と共に生き抜いたからこそ
師弟共にその名は燦々と輝いているのだ
実に興味深い逸話である
