理由はともかく、離婚が成立して娘が孫とペットを連れてやってきた。成人して結婚・独立。家庭を8年も営んで来た娘は、我が子でありながら、少し違った人間になった。
今も親子には違いないが、(単身とは異なり)子の親権を有して実家に戻ると、娘は別の世帯主として同居の形になる。
老夫婦、すでに食欲も髪の毛も視力も総て落ちていて、それなりの生活バランスでやれて来た。そこへ育ち盛りの孫と、30代そこそこの娘が入ってくると、食費も倍増では済まない様相を呈してくる。
今も親子には相違ない、と書いたのは当然だが、大学生だったり社会人として家から出勤していた時とでは違いは歴然。生活観から子育て観から、私達とは違っている。子育て方針に口を挿むのも一呼吸おいてからだが、食事や就寝を始めとした生活行動は私ら夫婦の目の前で繰り広げられる。いきおい、こちらにも感情的な波立ちが伝わってくるものである。
感情的に、金銭的に、空間的に、健康的に、そして幸福感的に、皆が同時に満足することは簡単なようで簡単ではない。
はたして、再婚するのだろうか？子育て資金・学業資金への備えはどうするのか。
私達が“お大臣”であれば左団扇でいられるのかもしれぬが、そうではない。
それに、お金だけの事ではない。私達のライフサイクルと老後のライフスタイルは、ここへきて修正を余儀なくされる。
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