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たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

バイオエコノミーの今後 <CNF>から<梅酢廃液・木質バイオ発電>と<条例規制の動き>などの寸描

2018-01-26 | 原子力・エネルギー・地球環境

180126 バイオエコノミーの今後 <CNF>から<梅酢廃液・木質バイオ発電>と<条例規制の動き>などの寸描

 

人が生き、生活し、豊かさを求めて活動し、いつかは死を迎えるわけですが、人の存在は社会を含む環境、とりわけ地球環境にマイナスにもなればプラスにもなり得るものでしょうか。ある活動のプラス面だけを強調しているとマイナス面がみえなくなりますね。逆も真理です。新しい動き、新語を生み出し、大きな勢いにもなりますが、プラス・マイナスをうまく塩梅(按配)してやっていくことが人間の叡智として求められているのでしょうね。

 

昨日の毎日に<科学の森軽くて頑丈な「夢の新素材」 セルロースナノファイバー、耐燃性に課題>と斎藤有香記者はCNFを大きく取りあげていました。その歴史は06年と、古いようですが、最近はCNFを使用した商品開発も盛んで、少しずつ事業化に近づいてきたのでしょうか。

 

<軽くて頑丈で手に入りやすい--。植物を原料とするこんな繊維が「夢の新素材」として注目されている。セルロースナノファイバー(CNF)だ。日本の豊富な森林資源を活用できる可能性があり、温暖化対策やリサイクルに役立つと期待されている。>

 

日本の豊かな森林資源を活用する案はたくさんでますが、なかなか事業収支を単独でプラスにできるほど採算性のあるものはまだまだということでしょうか。

 

CNFについて<太さ数ナノメートル(ナノは10億分の1)の繊維。髪の毛の太さの1万分の1程度で、重さは鋼鉄の5分の1程度と軽いが強度は5倍もあり、ゴルフクラブなどに使われている炭素繊維(カーボンファイバー)に匹敵する。磯貝教授は「セルロースは地球で最も豊富に存在する生物資源。自然に優しいので、プラスチックなどの代替材料に使えれば石油に依存した社会からの脱却も期待できる」と話す。>

 

昨年の記事ですが、<セルロースナノファイバー日本主導「世界初」商品 軽くて強い次世代素材>と大手各メーカーが様々な商品を開発していますね。そして<経済産業省は2020年にCNFの製造コストを現在の4分の1から10分の1に下げ、30年に1兆円の市場に育てることを目指している。>とのこと。

 

しかし、上記の記事で指摘されていますが、高コストに油性との相性が悪いなど、当然問題もあるわけですね。とはいえ、なんとかこれらの問題を克服して木質資源をより有効に使ってもらいたい物です。将来、木で作られたEVなんてできたら面白いですね。

 

エネルギー資源の転換と言ったトータルな視点でアプローチしている記事として、<バイオエコノミー資源転換、化石から生物へ 五輪での採用を 東京大の五十嵐圭日子准教授の話>も興味深い物です。

 

<現在の市場では、生物資源を使うと製品が割高になる場合がほとんどだが、地球環境保全の必要経費と考えれば必然の対価と考えられる。また、世界的にカーボンプライシング(炭素の価格付け)が進み、CO2を多量に出す化石資源を使った製品価格が上がって、バイオエコノミー製品が市場で優位になることもあり得る。>と。

 

五十嵐氏が指摘するわが国がもつ<豊富な森林資源と利用のノウハウ>をどう実践的にアピールするような形にできるか、もう2年余しかない中、日々、一人一人が温存している知恵を紡ぎ出すしかないでしょうか。

 

さて、和歌山には豊富なバイオ資源が多種多様です。最近はいろいろな取り組みがなされつつあり、期待したいところです。最近の記事を少し取りあげたいと思います。

 

113日付け毎日記事では<木質バイオマス発電所県内初 町が業者と協定、建設へ 上富田 /和歌山>とあります。

 

同記事によると<間伐材などを燃料に発電する木質バイオマス発電専門の事業者「グリーン・サーマル」(本社・東京都)は12日、上富田町生馬に「紀南発電所」(出力6760キロワット)を建設し、2020年3月から送電を始める計画を明らかにした。木質バイオマス発電所の建設は県内初めて。町は同日、グリーン・サーマルと公害防止協定を締結した。> 

 

期待したいですが、昨年は新宮市でも<バイオマス発電所和歌山・新宮港に立地計画 県内初>とのことで、県内の木材供給がバイオマス発電に移行しつつあるような雰囲気にも見えます。それ自体は多様な木材用との開発として一つの手法と思いますが、ある程度良質の木材がそれにあった用途が見つからず、政府支援のバイオマス発電に流れていないか、それが事業実効性・採算性を担保したものか、注視していきたいですね。

 

もう一つ違ったバイオを取りあげましょう。梅酢や梅加工廃液などを利用したバイオ発電です。これは123日記事で<バイオガス発電所梅(バイ)オ発電 梅干し加工廃液、ウメえ活用 和歌山・田辺>です。

 

<国内トップの梅の産地・和歌山県。味付け梅干しを加工した際に出る残り汁の「調味廃液」を活用しようと、同県田辺市の梅加工食品メーカーがバイオガス発電所の建設に乗り出す。バクテリア処理でメタンガスを発生させて発電する仕組みで、今年3月に着工し、来年1月に稼働予定だ。>

 

この企画はまさに一石三鳥といってもいいのではと思います。<廃液は処理費用が高くメーカーの悩みの種。同業他社からも引き受け、エコロジーと処理コスト軽減の一石二鳥を目指す。>

 

ただし、二兎を追う者は一兎をも得ず、という格言はここでも注意が必要です。

 

計画内容を事業者の中田食品が説明しています。

<バイオガス発電所では、嫌気性のバクテリア「メタン菌」を使い、糖類などから可燃性のメタンガスと二酸化炭素に分解し、取り出したガスでディーゼル発電機を動かす。フル稼働すれば、年間で7000立方メートルの廃液を処理して200万キロワット時(一般家庭400世帯分に相当)を発電し、関西電力に販売して7800万円の収入を見込む。>

 

他方で、梅加工廃液の処理コストがどうなるかですね。<汚泥量は従来の処理方法の7分の1程度で済み、処理コストは2~3割削減できる見通し。>

 

紀南地方の梅農家にとっては長年の課題であった、梅酢・梅加工廃液の浄化処理、そのコストをどう削減するかについて、あかるい未来となればよいのですが、期待したいですね。

 

なお、廃液処理については多様な開発がなされていて、<梅廃液処理プラント>もその一つでしょうか。四半世紀以上前、ある水質浄化処理業者からこの処理施設にかかわる法律問題の相談を受けて以来、少し気にかかっていましたが、当地和歌山に来て、身近に感じるようになりました。

 

ついでに高専の学生もしっかり研究されていて、たとえば<梅産業のゼロエミッションへの取組み 田縁 正幸(和歌山ݗ専 機械工学科)>はなかなかの研究だと思うのです。こういった実務分野で、高専と農家、プラントメーカーとが三位一体に行政支援という形であらたな方向をさらに開拓してもらいたいですね。

 

さて、最後にいいことばかりでなく、たとえばバイオマス発電では、公害防止協定を結びますが、それだけで問題が対応できるか、実際の稼働が始まったら、いろいろな課題が発生するおそれもあります。

 

たおえばちょっと違いますが、風力発電所や太陽光発電施設では、すでに大きな問題となっています。

 

そのうち、後者について、昨日の毎日記事で、和歌山県も実際の規制対応を始めようとしていることを報じています。

太陽光発電建設地元説明義務付け 県が新条例骨子案 /和歌山>では、<県内各地で建設や計画が進む太陽光発電事業について、県は24日、地元説明や県への事業認定申請などの義務付けを柱とする新条例の骨子案を発表した。現行法令では規模や設置場所によって規制対象から外れて住民不安を招いているケースもあるため、よりきめ細かに安全を確保し、環境にも配慮する。県議会2月定例会に条例案を提案し、来年度中の施行を目指す。【阿部弘賢】>

 

骨子案では、太陽光発電開発の必要性を認めつつ、住民への説明義務を事業者に課し、住民からの意見や一定の景観保全・環境保全への配慮を基準に審査して、その事業を認めるか否かを県が決定する制度となっています。県の認定を受けないで事業をした場合に公表や中止勧告による制裁措置を用意するということになっています。

 

国の法令で規制されていない事業について、地方自治体がどの程度のコントロールが行えるか、いつも悩ましい問題ですが、たいていはこの程度の穏便な措置で行われると思います。それでも事業者側にとっては厳しい対応となるでしょう。

 

もうすでに全国では相当数が条例をつくって、規制に乗り出しています。

 

自然エネルギーの活用やバイオマス発電は、地球温暖化対策や脱原発のエネルギー転換を目指す中で、最も有望視される方法ですが、他方で環境や人に対してマイナス影響もあり、適切な開発手法を行政が導いていく必要性が高いでしょう。

 

「バイオエコノミー」という言葉に惹かれて、だらだらといろいろな記事をピックアップして見ましたが、適当な摘まみ食い状態ですので、参考になればと思います。ま、今後もまとまって整理した物を書くつもりも意欲もないので、こんな感じで千日千ブログを続けていくことになりそうです。

 

今日はこれにておしまい。また明日。

 


くにたち上原景観基金1万人の会 <市民運動の記録が本に>

2018-01-26 | 景観の多様性と保全のあり方を問う

180126 くにたち上原景観基金1万人の会 <市民運動の記録が本に>

 

先日、ブラタモリで田園調布がテーマになっていました。私もなんどか歩いたことがあります。さすがよく整った緑豊かな分譲地です。でもわが国の都市計画法制のなかで、残念ながら当初の田園都市景観は大きく変貌したように思います。

 

ハワードにより提案された田園都市構想は、イギリスで実際に整備されたレッチワースは、よく考えら得た職住近接で、周囲をグリーンベルト地帯という、今なおイギリスの都市構造の基本となっている原型を生み出したともいえるでしょう。また職住近接という基本的な町の構造は、単に緑豊かな整った環境にとどまらない、機能的な内容でした。加えて、放射線状の中心的こそ、古代ギリシア以来の公共空間を配置して、さまざまな公的なサービス提供の施設整備が基本です。

 

たしかに日本でもこの構想後さほど時間の経過を経ず、20世紀初頭に、都市圏の郊外で実験的な田園都市が生まれたのは、当時の都市計画家・事業者に先見の眼があったことは評価されて良いと思います。ただし、鉄道事業の普及との累積的影響を考慮したものとも言える点は若干差し引いて評価されるかもしれません。

 

一つ、補足として付け加えておきたいことがあります。田園都市構想が世界を席巻した当時、イギリス、日本でも都市計画法が全国レベルで整備していませんでした。ローカルルールで開発に対応できていたのでしょう。

その後、戦後になってイギリスは都市・農村計画法(Town and Country Planning Act)を、わが国はイギリス都市計画法を参考にしつつ、69年にまったく異質の都市計画法を、成立させましたが、ご承知の通り列島改造・経済発展に邁進する時代を背景に、開発優先の法制度となっています。ちなみにイギリスでは環境法の一部ともみなされているのですから、大きな違いですね。


その一つ、立川市と国分寺市の間、ということで名前も国立市(当時は村でしたか)に、堤康次郎氏が一橋大学の学長と掛け合って作った、放射線状の整備された分譲地に学園都市が見事に調和した内容でした。

 

残念ながら、戦後は多難な時代を繰り返し、国立景観訴訟でも、不完全な都市計画法・建築基準法を前提に、国立大学通りの景観を侵害するマンション建設に対し市民からの強い反対運動を受けて市長として断固とした法的に対抗した上原公子さんが、最終的に巨額の損害賠償責任を司法によって認定されました。

 

しかし全国の市民は、この司法判断は、上原さん一人の責任ではない、いや責任を取らすこと自体が誤っているとの立場で、くにたち上原景観基金1万人の会を一年前立ち上げ、全国から参加者が次々と募金に応じたのです。その結果わずかの間に5000万円を超える基金が全国から集まりました。

 

今回、『国立景観裁判・ドキュメント17ー私は「上原公子」ー』がその成果を残す形で出版されることになりました。私は末端の呼びかけ人の人に過ぎませんが、運動に尽力された皆さん、そして上原さんにご苦労様といいたいです。

 

この書籍の一部は、和歌山県立図書館と和歌山弁護士会に寄付しました。関心のある方はぜひ手にとって読んでいたければと思うのです。希望者は私に連絡いただければ事情次第で無償ないしは安価でおわけします。


大畑才蔵 <シンポジウムと歴史ウォーク>のお知らせ

2018-01-26 | 大畑才蔵

180126 大畑才蔵 <シンポジウムと歴史ウォーク>のお知らせ

 

世界かんがい施設遺産登録記念シンポジウム(画像ファイルのパンフ参照)が来る28日、

第2回大畑才蔵歴史ウォークが来る321日、

それぞれ開催されます。関心のある方はぜひ参加お願いします。

 

いずれも私がメンバーになっている<大畑才蔵ネットワーク和歌山>の主催(前者は小田井土地改良区と共催)ですので、内容・手続きのご連絡を事務局にしていただいただければ幸です。

 

前者は参加者には才蔵に関する資料を用意していますのでお楽しみに。

後者のウォークは以前アップした内容とほぼ同じですが、新たにパンフレットを準備中で完成次第アップします。