白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

藤井治夫氏逝去

2013-04-10 17:48:48 | 歴史
「訃報

 9条連共同代表のお一人である藤井治夫さんが、3月1日の朝、脳出血で突然倒れ、3月2日午前0時30分逝去されました。享年84歳でした。

 藤井さんは1960年代に軍事問題の研究をはじめ、多くの著作を発表しました。

 『密約――日米安保大改悪の陰謀』(2000年創史社)、『トップシークレット 日米共同作戦の徹底研究』(1992年光人社)、『戦争がやってくる』(1991年筑摩書房)、『国家秘密法体制』(1989年日本評論社)などがあります。

 『密約』のエピローグで藤井治夫さんは、イギリスの歴史家トインビー博士の講演を引用して、「原子力時代のデモクラシー」について鋭い指摘をしています。

「原子力時代に生きている私たちは、毎日、洪水のような情報に埋もれ、……核時代あっては、暗やみをもってではなく、眼がくらむほどに明るい光線をもって真実がかくされる。代議士たちはどんな質問を本当にすべきかを知ることが、ほとんど不可能になった。なんでも分かっているようで、じつは強烈なライトで眼がくらみ、いちばん大切なことが見えなくなっていないのか」 と。

 軍事問題評論家として、多忙な毎日の中で、私たちに多くの示唆を与えて下さった藤井治夫さん。いつも暖かい眼差しで、9条連結成当時から一緒に歩んで下さった藤井治夫さん。毎月の事務局会議に熱心に足を運んで下さった藤井さんの社会変革への情熱に、あらためて敬意を表します。そして深く感謝します。
 安らかにお眠りください。

    (『世界へ未来へ 9条連ニュース』 No.207 2012年3月20日号より)」

http://www.jca.apc.org/beheiren/621FujiiHaruosannSeikyo.htm

小沢氏の見毎日新聞から

2013-04-10 16:31:02 | 政治
「政権交代の実現に政治生活の半生をかけてきた小沢一郎・生活の党代表(70)。昨年の衆院選では再び自民党に政権を奪われ、自身の資金管理団体を巡る事件もあり、一からの出直しを迫られている。参院選が近づく中、どんな思いを抱いているのか。松田喬和専門編集委員が聞いた。【構成・小林祥晃】

 --1993年に55年体制が崩壊し、自民党が下野してから20年。当時思い描いた理想と今の状況はだいぶ違っていますか。

 小沢氏 与党がいい政治をしなければ対立政党に政権を奪われる、という選挙制度改革の目的からすれば狙い通りになった。ただし、自民党は生まれ変わり、民主党も切磋琢磨(せっさたくま)してより良くなっていく。そんな理想を思い描いていたので、ようやくつくり上げた民主党政権が改革どころか旧体制にのみ込まれてしまったのは非常に残念ですね。

 --野党時代、小沢さんが志向した「大連立」の理由に挙げていた「力不足」が的中した。

 小沢氏 「このままじゃいけない、変えよう」と掲げた理念や主張がまるきりなくなっちゃった。民主党の人たちが理解していなかったのか、最初から信じていなかったのか。官僚支配を打ち破り政治主導へ、中央集権から地方分権へ、という考えがあらゆる政策の土台だったのに、それが欠落した。

 --陸山会事件がなく、民主党が小沢体制だったら、違う展開になっていた?

 小沢氏 マニフェストに掲げた政治主導やあらゆる改革は、僕がトップの立場にいれば前進させることができた。僕のことはおくとしても、一歩でも二歩でも努力していれば国民の民主党への期待は続いていた。昨年末の総選挙でも自民党を積極的に支持する票は増えていません。所得は下がり続け、年金問題は解決せず、雇用も不安定。国民の中にある「何とかしてほしい」という意識は民主党が失敗した後も生きていますよ。

 --自身の事件も含め、司法の現状への考えは。

 小沢氏 日本の司法は非常に「弱い」と思いますね。行政官僚である検察によって支配されている。最高裁は歴史的に検察との結びつきが深く、刑事裁判は9割以上が有罪。僕の場合は総選挙の半年前に、政権交代が有力視されていた野党第1党の党首を何の証拠もなく強制捜査した。独裁国家のやり方ですよ。

 --安倍晋三政権が高い支持率を維持しています。

 小沢氏 安倍人気というのは民主党政権に対する失望の裏返し。政策は何もない。金融緩和をしても、金融機関は本当にお金が必要な中小零細企業には貸さない。円安だって輸入原材料は何でも値上がりで、庶民には決していいことではない。何となく「景気が良くなるんじゃないか」という雰囲気になっているだけで非常にもろいと思う。安倍さんはいい人だが、その主張は思想・理念に基づくというより、頭にインプットされたものが情緒的に語られている。それは言葉遊び。外交の場面でそれが出ると危険です。

 --尖閣諸島や竹島の問題が行き詰まっています。

 小沢氏 中国と韓国の政府、あるいは両国民との信頼関係が全くないということに尽きるんじゃないか。野田佳彦首相の時、「尖閣の国有化だけはやめてくれ」と、中国に直接頼まれた直後に国有化した。ものすごく信義に反する。自民党も「領土を守り抜く」と強硬姿勢をとっているが、強がりを言っているだけ。何の解決にもならないですよ。

 --昔の自民党政権時なら政府間折衝がうまくいかなくても多くのパイプがあった。

 小沢氏 日韓間、日米間だって同じ。今はちゃんと話ができる人がいない。

 --安倍首相は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加を表明しました。自民党時代、日米構造協議などの最前線に立った経験からどう評価しますか。

 小沢氏 米国にとってTPPは構造協議の延長であり、「俺たちのルールに合わせろ」という話なんです。農業ばかりか医療、郵政、知的所有権などいろんな分野で日本にとって不利な規制撤廃を求められる。でも、米国と対等に議論できる力は日本にはありません。既に他の参加国は交渉を始めており、協定の中身は固まりつつある。今から変えることは不可能なのに、どうやって交渉しようというのか。参加には反対です。

 --憲法改正にも安倍首相は意欲的です。

 小沢氏 自民党の改正草案を読んだけれど、大きく変えたいのは国防軍の規定などを盛り込んだ9条だけで、他は付け足しの印象だ。きちんとした新国家像があって変えたいというのではないと思う。

 --まず、憲法改正発議に衆参両院3分の2以上の賛成が必要と定めた96条の改正を急ごうとしています。

 小沢氏 96条がなぜ3分の2以上の賛成を求めているか。憲法の理念・原則を安易に変えてはいけないからです。それを緩めるのは本末転倒。内閣が代わるたびに憲法を変えることにもなりかねない。

 --今夏の参院選では、民主党が野党第1党を維持するのは難しいと言われています。

 小沢氏 自民党と、自民党にすり寄る政党が圧勝しますよ、間違いなく。第三極のイメージは「非自民」とほぼイコールだったのに、段々そうではないと分かってきた。TPP参加や憲法改正を掲げる日本維新の会などを国民が「自民党と一緒」と見れば、投票率が下がるかもしれない。とはいえ非自民の私たちや民主党が勝つ可能性は低いが。

 --民主党との連携は進める考えですか。

 小沢氏 やはり民主党が「非自民」の旗を振らなきゃいけない。彼らが「本来の改革勢力として頑張ろう」というなら僕は何の異存もなく協力するし、他の勢力からも「非自民でいこう」という人が出てくると思う。そうなれば戦えるね。

 --その方向に持っていくためにどう動きますか。

 小沢氏 それを僕が言っちゃだめなんです。政党も小さいし、僕自身、色眼鏡で見られているから。民主党の中から自発的な動きが出てこないといけない。民主党が旗を振り、幅広く非自民の人たちに声をかけていけば、かなりの戦いはできる。少なくともボロ負けということはないね。

 --気力はまだある?

 小沢氏 あります、体力は多少衰えてきたけどね。衆院選の大敗で民主党も僕の仲間もがっかりしているが、国民に「何とかしなくちゃ」という気持ちがあるから、頑張れば次の総選挙でもう一度、政権交代ができると信じています。」

http://mainichi.jp/feature/news/20130410dde012010084000c.html