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シリア戦争はロシア製兵器のショーケース ―兵器商談を進めるロシア―

2016-02-01 12:15:57 | 軍事
「シリア戦争はロシア製兵器のショーケース
―兵器商談を進めるロシア―
ロシア防衛産業の諸企業は、楽観主義にひたりながら2016年を迎えた。契約額は優に500億ドルを越え、シリアにおける軍事作戦は、ロシア製兵器の宣伝にはまさにうってつけである。

先週、評論家サフロノフ(Ivan Safronov)が、ロシアのコメルサント誌(Kommersant-Dengi)で、新しい年の兵器輸出に影響する内外の(経済)ファクターを分析、2016年にロシアから兵器を調達する国と調達額について予想した。

次に紹介するのは、中東を含む各地に売り込まれるロシア製兵器の実態。サフロノフの記事である※1。

S-500ミサイル(Source: Indiandefense.com); スホイSU-27SKM(Source: Airliners.net)

…ロシア連邦軍事技術協力局(MTC)によると※2、過去11年の間にロシア製兵器の輸出は50億ドルから113億ドルに増加した。まさに劇的な増加である。しかしながら、ロシアが60ヶ国ほどと兵器の売買契約を持つとはいえ、主要な取引先は5ないし6ヶ国である。2015年の売上実績は公表されていないが、我々は、12月1日の時点で116億ドル分の軍事機材が輸出されたことを、知っている。これから輸出される契約分は、570億ドルもある。

MTC関連のコメルサント誌(Kommersant-Dengi)資料によると、2015年にロシアの兵器産業は、アメリカとNATOから極めて不公平な輸出競争をいどまれ、政治的意図を以て排除される事態にも直面した。それと同時に、ロシアは厳しい経済的苦境に陥った。MTC筋によると、モスクワはこれまで相手国に多額のローンを与えることができた。例えばベネズエラに対しては、2005年―07年に40億ドルの兵器契約で20億ドルのローンを与えている。しかし現在は、経済的苦境のため、ローンを提供することが極めて難しく なっている。一方、米ドル及びユーロに対するルーブルの交換レートがさがって、輸出上は有利となった…現在ロシアは、いくつかの兵器市場でサービスも提供しており(例えば売却後の保証)、更に顧客のニーズに応じた兵器の体系化も提案している。

サウジアラビアにくい込むロシア

軍事技術分野における対外協力は、随分前から実施されている。ロシア・インド間の協力は、特別のレベルにある。ロシア製兵器の契約の3分の2は、毎年インド側とかわされているのである…今年もインドとの広範囲な軍事分野の契約交渉が続けられる。特に注目すべきものに、最新式C-400地対空ミサイルシステム、ジーゼル発電式潜水艦2隻、軍用輸送ヘリ48機が含まれる。更に別の案件もいくつか交渉が進められている。インドの2隻目の原子力潜水艦(アクラ級、プロジェクト971)のリース契約、スホイSU-30MKI戦爆機の購入契約等がある。ロシアとインドは第5世代戦闘機(FGFA)の共同開発に関しても話合いを続けている。

アルジェリアとの軍事協力も疑いなく続いていく。両国の協力は2000年に始まった。当時のブーテフリカ大統領(`Abd Al-`Aziz Bouteflika)がロシア製兵器の取得を希望し、60億ドル分の契約を結んだのである。…ロシア国防省幹部によると、シリア作戦でSU-34戦闘機の性能が実証され、これがアルジェリアに強いインパクトを与え、同国がロシアとの軍事協力を継続する決断に影響した。MTCに関するプーチン大統領アドバイザー(Vladimir kozhin)は「ロシアの兵器産業に対する関心が各地にひろがりつつある」と述べ、これまでロシアと軍事協力のなかった諸国でも、ロシア製兵器に対する関心を強めている、とつけ加えた。

イランとの軍事協力に関しても、期待が持たれている。5隊分のS-300PMU-1地対空ミサイルシステムの引渡し契約にからむ問題は、解決した…MDT筋によると、イランに対する兵器輸出は大きい潜在力を有する。イラン制裁が解除され、兵器輸出の劇的増加が機体されている。戦闘攻撃機、防空システム、海軍用兵器の需要が極めて高い。イランが境界防衛に力を入れているからである。

ロシア兵器産業界の首脳によると、現在の中東紛争が、ロシア製兵器の劇的需要をひき起す。サウジアラビアは、アメリカ及びNATOとの軍事協力をベースとしている。しかし最近になってサウジは、ロシアのミサイル艇、沿岸警備艦、中距離上陸用舟艇に関心を持つようになった。Kommersant-Dengi筋によると、ロシアは近く訪ロ予定のサルマン国王に100億ドルの兵器取引を提案する。それには航空機材、数タイプの防空システムが含まれる。

2016年、エジプトに対するAntey-2500システム※3の供給(35億ドルの契約)は、主要構成部分の引渡しが完了する。新しくMIG-46戦闘機46機の契約(20億ドル)が調印される。

C-400地対空ミサイルシステム(4隊分、19億ドル)を最初に取得したのは、中国であった。その中国は、2015年に戦闘機24機の契約(20億ドル)をロシアと結んだ。

Rosoboronexport※4に近い筋によると、ロシアはアジア太平洋地域(インドネシアとマレーシア)に重点をおく。支払い能力のあるアフリカ諸国(アンゴラ及びウガンダ)に対する交渉も進める。MTC高官によると、2016年の兵器輸出は、140-150億ドルはくだらない。いくつか交渉がたとい失敗し、内外のネガティブな動きで阻害されても、その程度の額は確保される。

※1 2016年1月26日付 Kommersant.ru

※2 兵器輸出分野における外交政策実施担当の政府機関。

※3 Antey -2500は対弾道ミサイル防空システムAlmaz-antey.ru

※4 Rosoboronexportはロシア技術機構の一部で、兵器及び軍民用機材、技術の輸出入及びサービスを担当するロシア唯一の仲介機関。」

http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP627916


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