「中国重慶市の共産党委員会書記だった薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)の妻で、英国人男性を殺害した疑いで拘束された谷開来(クー・カイライ)容疑者(53)が、党当局の調べに対し、殺人容疑を認める供述をしていることがわかった。
谷容疑者は当時、海外への不正送金疑惑で当局の調査を受けており、送金にかかわった英国人を口封じのために殺した、と説明しているという。
胡錦濤(フー・チンタオ)党総書記の秘書室にあたる党中央弁公庁がこのほど、捜査の中間報告書をまとめ、幹部らに通達。
これを読んだ複数の党関係者によると、当局は自供を受け、谷容疑者を起訴する方針を固めた。同時に、薄氏が谷容疑者の行為を把握していたかどうかなどについても調べを始めたという。
党関係者によると、谷容疑者は中国北部の政府関連施設に拘留され、調べを受けている。英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(当時41)の殺害について、「精神的に追いつめられて犯行に及んだ」と供述し、具体的な殺害の状況についても説明しているという。
また、当局の調べで、谷容疑者は1990年代前半から最近までの間、関係企業から収入を得ながら、当局に届け出ていなかった疑いがある。こうした不正蓄財を隠すため、60億ドルを米国や英国などの親戚や知人名義の口座に送金。ヘイウッド氏が、送金先の口座開設や両替などを手伝っていたとみられている。
谷容疑者はこうした疑いについても、薄氏の地位を利用して複数の企業から現金を受け取ったなどと、収賄や海外への不正送金の容疑を認める供述を始めているという。
当局は捜査の対象を谷容疑者だけでなく、薄氏にまで広げ、遼寧省大連市長時代の側近幹部や秘書のほか、運転手ら数十人を拘束し、集中的に取り調べている。さらに薄氏と会ったことがある会社役員や芸能人ら数百人を聴取し、裏付け捜査を進めている。
6月中旬には、夫妻と親交があったとされるフランス人建築家パトリック・ドゥビレール氏(52)がカンボジアで警察当局に逮捕された。同氏は、谷容疑者らの不正送金にかかわっていたとの情報があり、中国政府はカンボジア政府に身柄の引き渡しを求めている。これに対し、フランス政府も同氏の身柄引き渡しを求めており、新たな外交問題が生じつつある。
ヘイウッド氏が重慶市内のホテルで死亡しているのが見つかったのは昨年11月。薄氏がトップを務めていた同市当局は死因を過度のアルコール摂取と断定し、火葬した。しかし、党中央は今年2月、死因に不審な点があるとし、専門調査チームを設けて再捜査に踏み切っていた。
4月、党当局は、谷容疑者が薄家で働いていた使用人、張暁軍容疑者とともにヘイウッド氏を殺害したとの疑いで拘束したと公表。薄氏に対しても「重大な規律違反があった」として、党政治局員の職務を停止する措置をとった。(北京=峯村健司)」
(http://www.asahi.com/international/gallery_e/view_photo.html?international-pg/0622/TKY201206210786.jpg)
谷容疑者は当時、海外への不正送金疑惑で当局の調査を受けており、送金にかかわった英国人を口封じのために殺した、と説明しているという。
胡錦濤(フー・チンタオ)党総書記の秘書室にあたる党中央弁公庁がこのほど、捜査の中間報告書をまとめ、幹部らに通達。
これを読んだ複数の党関係者によると、当局は自供を受け、谷容疑者を起訴する方針を固めた。同時に、薄氏が谷容疑者の行為を把握していたかどうかなどについても調べを始めたという。
党関係者によると、谷容疑者は中国北部の政府関連施設に拘留され、調べを受けている。英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(当時41)の殺害について、「精神的に追いつめられて犯行に及んだ」と供述し、具体的な殺害の状況についても説明しているという。
また、当局の調べで、谷容疑者は1990年代前半から最近までの間、関係企業から収入を得ながら、当局に届け出ていなかった疑いがある。こうした不正蓄財を隠すため、60億ドルを米国や英国などの親戚や知人名義の口座に送金。ヘイウッド氏が、送金先の口座開設や両替などを手伝っていたとみられている。
谷容疑者はこうした疑いについても、薄氏の地位を利用して複数の企業から現金を受け取ったなどと、収賄や海外への不正送金の容疑を認める供述を始めているという。
当局は捜査の対象を谷容疑者だけでなく、薄氏にまで広げ、遼寧省大連市長時代の側近幹部や秘書のほか、運転手ら数十人を拘束し、集中的に取り調べている。さらに薄氏と会ったことがある会社役員や芸能人ら数百人を聴取し、裏付け捜査を進めている。
6月中旬には、夫妻と親交があったとされるフランス人建築家パトリック・ドゥビレール氏(52)がカンボジアで警察当局に逮捕された。同氏は、谷容疑者らの不正送金にかかわっていたとの情報があり、中国政府はカンボジア政府に身柄の引き渡しを求めている。これに対し、フランス政府も同氏の身柄引き渡しを求めており、新たな外交問題が生じつつある。
ヘイウッド氏が重慶市内のホテルで死亡しているのが見つかったのは昨年11月。薄氏がトップを務めていた同市当局は死因を過度のアルコール摂取と断定し、火葬した。しかし、党中央は今年2月、死因に不審な点があるとし、専門調査チームを設けて再捜査に踏み切っていた。
4月、党当局は、谷容疑者が薄家で働いていた使用人、張暁軍容疑者とともにヘイウッド氏を殺害したとの疑いで拘束したと公表。薄氏に対しても「重大な規律違反があった」として、党政治局員の職務を停止する措置をとった。(北京=峯村健司)」
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