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白夜の炎

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特定秘密保護法批判 1

2013-12-05 15:53:27 | 政治
「基本的人権を侵害する憲法違反の悪法と批判の声が上がっている特定秘密保護法案について、自民、公明両党の幹事長・国対委員長は12月4日午前、東京都内で会談し、12月6日の参院本会議で強行可決・成立させる方針を確認したと報道されている。法案のトンデモなさを多角的に浮き彫りにした対談を緊急配信する。

軍機保護法と国防保安法の現代版

福島みずほ/参議院議員。前社民党党首。
佐藤 いま、日本社会は非常に危機的な状況に直面していると思います。しかし、国民に危機感が十分に共有されていない。特定秘密保護法案の問題点については、二〇一三年一一月一三日の『朝日新聞』〈天声人語〉がよかった。

福島 興味深い内容でしたね。

佐藤 防衛省が秘密を取り扱う職員をチェック(適性評価)する時、どういう項目を作っているのかについて書いています。〈天声人語〉の一部を紹介します。
〈本紙が入手し、きのう報じた「身上明細書」という書類がある。防衛秘密をあつかう自衛隊員について、任務に適格かどうかを調べるため本人に書かせるものである。(略)会社を自己都合で退社、という職歴の記入例はだめとされる。給与面の不満とか具体的に理由を書け、とある。交友関係も飲み友だち、交際相手などと細かく書かせ、その住所まで記入させる。住所を把握して何に使うのか▼隊員の上司が書くと思われる「調査票」という書類もある。隊員は正直か、異性関係はだいじょうぶか、借金の取りたてはないか、特定の外国をしばしば訪れていないか、虚言癖や特異な趣味嗜好はないか。いずれも本人に確認せずに記入する〉
 これは、もう本当に一人ひとりの個人情報を調べているということですよね。離婚しているなら元の配偶者はどういう背景を持つ人だったのか、会社はどういう理由で辞めたのかを具体的に書かせる。自己都合退職とかはだめだという。こういった情報を集めないといけない。しかし、裏返して言えば、自主申告に頼らないと調査できないような態勢だということなんですよね。

福島 特定秘密保護法案の適性評価は、公務員もさることながら民間の取引先にも及びます。実施主体はどこかと言えば行政で、実質的には警察となっています。

佐藤 そこが問題なんです。

福島 民間企業のなかに警察の手が入るけれど、秘密裏にやることになるだろうから、尾行などをする。しかも法案のなかには、「飲酒の節度」などという調査項目が入っています。では、個室で飲んでいるのをどうやって外から調査するのでしょうか。
 とてもおかしい。たとえば民間会社のチームが特定秘密に関することを扱うことになったとします。業種は、かりにコンピュータ関連でもいいし軍需産業でもいい。そうしたらその会社の幹部は、そのチームが特定秘密を請け負っているということを知らないわけにはいかない。しかし、先日、政府の担当者に聞いたら、会社の社長が「進捗状況はどうかね」と聞けないと言うんですよ。だから会社の幹部も仕事の内容を把握できない。


佐藤優/作家。元外務省主任分析官。
佐藤 歴史の先例に照らすとわかります。特定秘密保護法案は、まるで軍機保護法(一九三七年に制定)や一九四一年に制定された国防保安法なんですよね。
 これらの法律があった時代、たとえば戦艦武蔵を作っている造船所のチームがどうだったかを考えてみます。武蔵の建造にかんしては、その会社の社長も聞けないのです。なんとなく雰囲気はわかっても、個別のことにかんしては聞けない。
 吉村昭さんの小説『戦艦武蔵』(新潮文庫)を読むとよくわかります。そのなかで、ある設計図を技師が隠してしまう場面があります。そして、特別高等警察(特高。社会運動や言論、思想取り締まりのために設置された警察機構)がどういう拷問を加えて秘密情報が漏れたのかを調べるかが描かれます。
 特定秘密保護法案は、実は、軍機保護法・国防保安法と同じ構成ですよ。
 私は元外交官でしたから、一般論として秘密の保全は必要だと思います。その理由はこういうことです。外務省の局長ぐらいの幹部が、外国情報機関から得た情報を、首相官邸に持っていかないで、与党の特定政治家に流すことがあります。自己の栄達のためです。そういう状況下では、インテリジェンスの情報交換はできないわけです。

福島 情報を持っていることがまさに力であり、官僚たちがそれを私利私欲のためにこれまでも使ってきた。公僕としての意識がまったくありませんね。

官僚の独善的な支配をもたらす
佐藤 そうです。ただ、秘密保全は必要だという前提に立ったとしても、いまの特定秘密保護法案にはいくつもの問題点があります。まず、事実上、警察が適性評価をする体制になっていることが問題です。人事院とか中立的な機関に調査部門を設けるなら話は別です。しかし、警察は、外務省や防衛省と権限の拡大をめぐって争っているわけですよね。

福島 省庁間の縄張り争いはなかなか激しいですからね。

佐藤 警察から外務省への出向者や、海外に出張で来る警察官でも、たとえばモスクワに来ても賭博場やいかがわしい曖昧宿みたいなところに行っている人もいます。日本の官僚機構はとても腐敗しています。国家公務員倫理法では、五〇〇〇円以上の接待を受けたら報告する義務がありますが、すべてを正直に申告している官僚はほとんどいないわけです。つまり、適性評価をすると、ほぼ全員が違反している状態になると思いますよ。
 省庁間の権限争議のなかで、「防衛省のこいつは適性評価に引っかからないことにしてやろう。外務省のこいつは気に食わないから×にしよう」と恣意的な運用がされるのは目に見えてます。

福島 おそらくそうなるでしょうね。

佐藤 それから、まだ問題があります。政治家は適性評価の対象になっていません。

福島 確かに政治家は適性評価の対象外です。

佐藤 情報機関の間ではどういう約束をして情報を送ると思いますか。「適性評価を受けていない人間には情報を回さないでね」という約束になります。
 そうすると、機微に触れる情報のほとんどが官僚のなかで独占されることになります。その結果、政治家が政治判断をできないわけですよ。要するに官僚の元締めの人間が「先生、こうなってます」と説明する。極端な例をいえば、「総理、イラクが大量破壊兵器を持っています」と説明する。首相が「具体的な情報を見せてくれ」と言っても、官僚が「適性評価を受けていないからお見せできません」ということになります。

福島 大臣と副大臣、政務官の政務三役も適性評価しないわけですからね。

佐藤 そうです。だから適性評価を受けていない人間は、もう情報を受け取れる身分ではなくなるわけですよ。そこのところを本当はすごく議論しなきゃいけない。いずれにせよ、国家に秘密を認めるとか、認めないとか以前の問題として、こんな粗雑な法案が国会に上程されていること自体が、日本国家の恥ですね。

福島 おっしゃるとおり、特定秘密保護法案はいろいろな点できわめて変です。
 現状でもこういうことがありました。中井洽さん(民主党顧問)が拉致担当大臣だったとき、「拉致問題についての議事録を出してくれ」と外務省に言ったら「出せない」と断られたそうです。彼は拉致担当大臣だから、本来なら知らないと仕事にならないのに、外務官僚は出しませんでした。
 現状でも官僚が情報をにぎっています。特定秘密保護法案が成立すればもっとひどくなります。官僚の官僚による官僚のための独善的な支配をもたらす法律なのです。三権分立がぶっ壊れる。国民主権が壊れるばかりか、国権の最高機関である国会が、政府を追及したり情報を得たりすることができなくなる。国会論戦のなかでも正式に出てこなくなるんですよ。まして、いまの政治状況では、コロコロと短い期間で替わる大臣に官僚は情報を出さないと思うんですよ。

佐藤 国家運営の基本哲学に大問題が生じてきているわけです。「情報は誰のものか」っていうことなんです。

福島 そうです。情報は国民のものです。

ナチスの手口に学んでいる
佐藤 国会で働く職員は「参事」であるとか、ようするに役職に「官」がつかないですよね。その理由は、国会議員は民の代表だからです。。それに対して裁判所は官がつきます。たとえば裁判官とか書記官とか。もちろん役人には事務官や技官と「官」がつきます。

福島 ああ、確かにそうですね。

佐藤 「官」がついていないということが実は重い意味を持っています。国民の代表である国会の側が情報を持っている必要があります。国会が情報統制から完全に外れ、結果として情報が入ってこなくなるのはおかしい。
 さらに言えば、安倍晋三政権は、麻生太郎副総理がいみじくも発言したように、ナチスの手口に学んでるんじゃないかと思います。ドイツ・ミュンヘン大学の教授だったオットー・ケルロイター(国法学者、一八八三~一九七二年)はこう言っています。「成文憲法の改正はしなくていい。ワイマール憲法と矛盾する一般法をいくつも立てていけばいい。ヒトラー政権になってから成立した一般法の総体を、ナチス憲法とみればいいんだ」。このナチスの手口に本気で学んでるんじゃないか、と感じる法案です。

福島 それはまったくその通りですね。私は、安倍総理の頭のなかには工程表があると思っています。たとえば、(1)今年中に国家安全保障会議(NSC)設置法と特定秘密保護法をワンパッケージで成立させる。(2)その後、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長は柳井俊二元駐米大使)で集団的自衛権の行使を抜本的に認める。(3)来年の通常国会には国家安全保障基本法案を出す。国家安全保障基本法案のなかで、交戦権の行使も集団的自衛権の行使も、つまり武力行使を認める――石破茂さん(自民党幹事長)はかつて、国家安全保障基本法案は議員立法で出すと言っていたんです。閣法、つまり政府提案立法では出せないからです。なぜならば……。

佐藤 法案が内閣法制局を通らないですからね。

福島 そうです。内閣法制局は、集団的自衛権の行使は憲法上認められないという立場を一貫して取ってきました。私は今年(二〇一三年)の五月一四日、参議院の予算委員会でこの問題を山本庸幸内閣法制局長官(当時)に聞いたんですね。私が「集団的自衛権の行使について、日本国憲法で認められるか」と聞いたら、山本長官は「行使は憲法九条の観点で許されない」とハッキリ言いました。

佐藤 私も議事録を読みました。

福島 安倍総理は山本長官のクビを切って、小松一郎元外務省国際法局長を内閣法制局長官にしました。安倍総理は、ある意味プライドが高い人だから、議員立法なんかで国家安全保障基本法案を出したくないと考えています。閣法として閣議決定をして出すと。つまり、内閣法制局に「合憲」と言わせて、議員立法じゃなく政府提案立法で出したい。
 国家安全保障基本法案は、ご存知のとおり、特定秘密保護法案を条文のなかに組み込んでいます。国家安全保障基本法を成立させてから、憲法改正の発議に必要な各議院での賛成を三分の二以上から二分の一以上に緩和する九六条改憲を狙う。そして、「戦争の放棄」を定めた九条を改憲する。まさにナチスの手口による解釈改憲から明文改憲へと進むのですよね。

佐藤 私も解釈改憲に行くとみています。  ただ、本当に工程表があるということならば、それをおかしいと言って潰していく、あるいは修正させることが可能なんです。しかし、実は工程表はないのではないかと感じます。なんとなく空気で動いている、つまり集合的無意識で動いているとすると、この動きをとどめるのはなかなか難しい。
 国会議員は今回、秘密が得られるという自らの権利を特定秘密保護法に賛成することで投げ捨てているわけですよね。「官僚さまにお任せします」と。民主党の相当部分も集合的無意識にとらわれています。「国難だ、国家の危機だ」という意識に流され、ネズミが集団で川に向かうように、変な方向に進んでいるっていうことじゃないかと思うんですよ。

福島 そうだとすると、大問題ですね。

「必要は法律を知らない」
佐藤 そして、外務省の動向に注意するべきだと思います。私は外交官だったからよくわかるんですけれども、外交官の法律感覚って、法曹資格を持っている人と違うんですよ。日常的に国際法をいじってますからね。国際法の運用では、条文に反しているだけでは義務違反になりません。相手国から文句を言ってこない限り、義務違反にならないのです。それから、最終的には力による解決がありうると考えています。戦争は違法化の傾向にあってもまだ違法ではありません。外交官は発想自体が暴力的なんですよ。

福島 うーん、それは問題じゃないですか。

佐藤 それで国際法の解釈は今までどおり外務省の国際法局長が行なう。そして、国内法は外務省出身の内閣法制局長官が解釈するとなると……。

福島 小松一郎さん。つまり外務省の解釈なんですよね。

佐藤 いま、日本にとって経済の焦眉の国際経済の問題はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)ですよね。首席交渉官は外務省の鶴岡公二さん。国家安全保障局長には、外務省出身の谷内正太郎さん(内閣官房参与)が就任を打診されています。安倍首相の周辺が全員、外務省の人で固まってるんですよ。その外務省の文化は、いま言ったように暴力的な文化なんです。

福島 どのぐらい暴力的なのでしょうか。

佐藤 第一次世界大戦が始まった時、ベルギーの中立をドイツが侵犯したと国際非難が高まりました。それに対して、ドイツ皇帝だったウィルヘルム二世は「必要は法律を知らない」という中世の格言を持ってきて説明しました。この感覚が、外交官たちが主観的に「いまは国難だ」っていう感情があるところで動き出していると思います。

福島 本当に国難があるんでしょうか。でもおっしゃるとおり、安倍首相の周りを固めているのは外務省関係者ですよね。外務省のなかのヒエラルキーで言えば、対米追従というか米国に向かってやるというところはないですか。

佐藤 対米追従の流れとは少し違うと思います。谷内さんは対米追従派ではありません。独自外交路線で、むしろ若泉敬さん(一九三〇~九六年、沖縄返還交渉において、佐藤栄作首相の密使として重要な役割を果たしたとされる国際政治学者)の流れを引く、右翼的な潮流の人です。

福島 安倍内閣はTPPなどさまざまな点で対米追従であると同時に、村山談話や河野官房長官談話を見直したくて仕方がない。近隣諸国との摩擦拡大を恐れる米国の考えとずれているところもあるわけですね。

佐藤 ずれがあります。安倍首相が唱える「戦後レジームからの脱却」とは、戦後の価値観からの脱却です。それを考えている人たちは外務官僚が多いということです。

福島 外務官僚は、戦前との連続意識がやはり強いんですかね。

佐藤 外務官僚の主観的な意識においては、「負ける戦争をした戦争責任は大きい」というところですね。

福島 では、負けない戦争だったら良かったということなのでしょうか。一般の人より外交官のほうが外国を見ているので、違う感覚ではないか、という思いが私にはあるんですよね。

佐藤 いや、私を含めて外交官は、外国を見ているがゆえに、逆に力の論理に非常にとらわれやすいです。外交官の感覚でやっちゃうと、何事もすべて力で決まるというシニシズム(冷笑主義)になってしまう。外交官をギューッと抑えることが政治に期待される役割なんです。

福島 それはそうですね。それから国民主権が当然重要です。情報は国民のものであり、法の支配に則ってやらなければなりません。ですからいま、特定秘密保護法案を通すか通さないかということは、日本の民主主義を守れるかどうかという、ものすごい闘いだと思っています。日本の社会がどうなるのか。国民が情報を持ちながら、主権者としてこの社会にいることができるのかどうかが問われています。

佐藤 その通りだと思います。それがリベラル派、左派のほうからも崩れてしまっている。憲法上、国権に関する権能を有さない方のところに手紙を渡せば世の中は変わるのではないかという意識。こういうような直情的な動きが出ると、錦旗革命、朝敵征伐のときに天皇軍の標章として用いられた錦の御旗を掲げる革命の思想につながりかねません。民主主義の崩壊はあちらこちらで起きていると思うんですよね。
 やっぱり社民党を中心として、本当に今までの蓄積の上に立って、法的に緻密な議論をしたうえで、「今こういう形で国の形が変わるのがいいのか」という根本から議論をしなきゃいけないんですよ。

官僚と記者の同質化現象


佐藤 デンマークの哲学者、キルケゴール(一八一三~五五年)は「非本来的絶望」ということを指摘しました。今、自分が絶望的な状況にあるっていうことに気づいていない。社会の危機が生じると、それが次に国家の危機に行くことはもう明白なんですよ。ところがみんなその危機を感じていません。

福島 感じ始めている人もいます。とりわけ原発などに関わった人たちは内部の情報が出てこないことに関して凄い危機感があります。だから福島県議会は「特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書」を一〇月九日に可決しているんですよね。内容はかなり厳しい文言になっています。
〈今、重要なのは徹底した情報公開を推進することであり、刑罰による秘密保護と情報統制ではない。「特定秘密」の対象が広がることによって、主権者たる国民の知る権利を担保する内部告発や取材活動を委縮させる可能性を内包している本法案は、情報掩蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある。もし制定されれば、民主主義を根底から覆す瑕疵ある議決となることは明白である。〉

佐藤 私もその意見書を読みました。

福島 文言の厳しさは、やはり体験から来ていると思うんです。東京電力福島第一原子力発電所事故の時、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が出なかったため、浪江町民が放射線量の高いところに避難し、不必要な被曝をしていたことが後からわかった。
 また、ご存知のように、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉設置許可処分の無効確認を求めた訴訟で住民側が勝訴(二〇〇三年・名古屋高裁金沢支部で勝訴、二〇〇五年に最高裁で住民側の逆転敗訴が確定)したのは、内部資料を入手することができたからなんですよね。内部の資料が出てこなければ、国会議員も市民も問題点の指摘すらできなくなるんです。これはもう大変なことです。政府の問題点を積極的に追及している私なんか、地雷を毎日踏む人生になるんじゃないかと思います。

佐藤 本当に捕まる可能性がありますよ。日本の国会議員の身分特権は薄いですからね。ロシアですら国会議員の不逮捕特権は国会の会期外も適用されますが、日本国憲法は〈両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない〉(五〇条)としか規定していません。日本では本当に会期外ならいつ捕まってもおかしくないのです。

福島 たとえば、日本政府が違法な盗聴をしているのではないか、核武装の計画があるのではないか、という疑惑をいろいろなところから聞き、そのことが特定秘密に指定されているかもしれないが、追及のために知る必要があると考えて、情報入手を共謀すれば特定秘密保護法違反ですからね。

佐藤 とんでもない話ですよね。

福島 もう一つ強調したいことがあります。一九八七年に自民党の谷垣禎一さんを含む一二人が〈「防衛秘密に係わるスパイ行為等の防止に関する法律案」に対する意見書〉を『中央公論』四月号に載せています。

佐藤 『朝日新聞』一一月九日朝刊にも〈谷垣さん、スパイ防止法反対でしたよね 87年「刑罰で保秘、人は萎縮」今は沈黙〉の見出しで記事が掲載されましたね。

福島 当時の谷垣さんの主張はとてもまともなんです。
〈法案の基本的な思想は、防衛秘密は守らなければならないということである。それが、国民の自由という原則の例外であるという認識は稀薄である。だから防衛秘密を守るためには、本来のスパイ行為のみならず、たまたま手段が相当でなかった情報収集活動や過失による秘密漏示行為まで処罰しようとする。防衛秘密保持に障害となる可能性のある行為を次々と処罰の対象に取り込み、その余の部分にようやく国民の知る権利を認めようということになる。このような発想でつくられた法案が、国家による情報統制法としての色彩を持つことは避けられないのではなかろうか。秘密は例外だから制限しようという発想の稀薄な点に、この法案の致命的な弱点があると考えるのである。〉(「われら自民党議員『スパイ防止法法案』に反対する」、『中央公論』八七年四月号)
 自民党のなかからかつてはこんな意見が出ていたのに、いまの自民党の国会議員は言わなくなった。これは自民党の危機でもあると思います。自民党のなかにも、「特定秘密保護法案は真っ当に考えたら問題だ」と考える国会議員が実はいるが、首相官邸に対して気を遣って黙っている状況なんですよ。

佐藤 国会議員の権力は絶対的には弱くなっていますが、首相官邸に集中していますから、相対的には首相官邸にいる国会議員の力が強くなっています。

福島 だから、与党の議員に「ギャーギャー言って目立つのはやめよう」みたいな雰囲気があります。先ほども紹介した谷垣さんの『中央公論』論文の主旨は最初に集約されています。これが素晴らしい。
〈わが国が自由と民主主義にもとづく国家体制を前提とする限り、国政に関する情報は主権者たる国民に対し基本的に開かれていなければならない。国民が、これにアクセスすることは自由であるのが原則なのだ。そして、この国政に関する情報に、防衛情報が含まれることも論を俟たない〉
 つまり、防衛情報だって国民は知るべきなんだと主張しているんですよ。

佐藤 当たり前のことですね。ところがいま、こうした意見書が『中央公論』に掲載される可能性はなくなりました。経営難から一九九九年に読売グループの傘下となった中央公論新社(小林敬和社長)では、『読売新聞』のオピニオンといささかでも異なるものは出ないのです。

福島 ただ、与党野党が時代によっては入れ替わることもありうるし、どのメディアでも福島の原発事故後に調査報道が活発になっています。特定秘密保護法が成立すると、調査報道が困難になるわけです。逮捕覚悟になる。いくら御用メディアでも、自分の首を絞めることになります。与党の国会議員の首も絞めるし、いろんなメディアの首も絞める。

佐藤 残念ながら今の大メディアにそんなに期待はできません。特定秘密保護法に関しては「基本賛成。運用慎重」というのが、私が接している範囲の圧倒的大多数の記者の本音ですね。社論としてそれを掲げているのは『産経新聞』ぐらいですけれども。その意味で、官僚たちと新聞・通信・テレビの記者たちの同質化現象が相当進んでいます。

家事の“強要”までテロにされる


福島 特定秘密保護法案は、条文自身が全然ダメです。「特定秘密」は、勝手に改竄されたり、廃棄されたりしないようにきちんと保全しておく必要があります。それなのに法案には、そのことがまったく書かれていません。
 政府の担当者に廃棄の手続きを聞きました。政府は「三〇年経ったら内閣の同意で開示できる。検証可能だ」と説明しているけれど、「二九年目に廃棄したらどうなるか」と追及したのです。すると、担当の官僚は「廃棄されたら仕方ないですね」と答えているんです。
 さらに、特定秘密の範囲が極端に広いことも大問題です。

佐藤 広いですね。それに「その他」が各所に入っていて、いくらでも拡大できる仕組みです。

福島 三条で特定秘密を次のように規定していますね。
〈別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの〉
 そして「別表」で四類型(防衛・外交・特定有害活動の防止・テロリズムの防止)を定めます。では、テロリズムの定義はどこにあるのか。通常の法案では、二条で定義をするのですが、特定秘密保護法案ではテロリズムの定義が、「適性評価の実施」を定めた一二条にまぎれこんでいます。あえてわかりづらくしているのだと思います。
 テロリズムの規定は次のようになっています。
〈政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう〉
 主義主張に基づいて他人になにかを強要するのがテロリズムなら、なんでもテロリズムになります。官邸前の原発再稼働反対行動どころか、男女平等だからと「主張」して家族に家事の分担を「強要」することも、法解釈上はテロリズムにできるのです。

佐藤 「特定秘密」の件数について、政府はいまどれぐらいの数を想定しているんでしょうか。

福島 国の安全や利益に関わる秘密として二〇〇七年から規定する「特別管理秘密」は約四二万件と安倍首相は答弁しています。

佐藤 特定秘密保護法なんてできたらどうなると思います。

福島 もっと増えていくでしょう。

佐藤 そうです。私は外務省にいたからよくわかるんです。
 官僚に「秘密を増やそう」という意識があるわけではありません。では、どうしてそうなるのか。私がソ連課に赴任した時に一番最初に教えられたのは「我々の課でやってることは基本全部秘密だ。書類にはマル秘無期限の判子を押すのが基本だ」ということです。ところが電報を起案するときに「秘」の電報では、上司や同僚はみんなあまり読まないのです。「秘」指定では、秘密度が低いから大して重要な情報じゃないんだろう、と思われる。そこで「極秘」の判子を押すと読まれる。「極秘」の上の「極秘限定配布」っていう判子を押すと、もっと読まれる。「極秘限定配布」は電報の色も違います。いまですらそんな状態なのに、「特定秘密」なんかできたら官僚たちはみんな自分の取ってきた情報を、重要だとみせるために「特定秘密」にしたがります。「特定秘密」の数はどんどん増えていきますよ。

福島 自分の持っている情報は重要だ、という人間心理が働くので、全部「特定秘密」にするのでしょうね。

佐藤 本当のインテリジェンス教育っていうのは、そういうところから距離を置けるようにする訓練なんです。ところが日本はそういうことをやっていないですからね。みんな秘密をどんどん膨らませる。しかも四二万件あったら政治家のチェックなんて絶対できないですよ。

福島 できないですね。

佐藤 事務次官のチェックもできない、局長のチェックもできない。それではどうなるか。外務省なら入省年次五、六年のひよっこ官僚たちが「特定秘密」を大量生産していくことになります。防衛省でもそれは一緒ですよ。ばかばかしい。

福島 しかも範囲がどこまでも広がる可能性がありますからね。

佐藤 はい。それからもう一つ。役所の中で権力闘争が起きた場合には、「やつが特定秘密を漏らした」というふうに、権力闘争の道具に最大限使われます。官僚は、自分たちの首を絞めるっていうことをわかってないんですよね。そういった意味ではアホな連中なんですよ。偏差値秀才ですけど。

福島 国会でいくら質問しても情報は出てこないだろうし、情報公開法にのっとって情報開示請求をしても、おそらく「これは特定秘密だから開示しません」とは回答しない。単に「開示できません」というふうになると思うんです。

佐藤 「特定秘密」であるかどうかを秘匿しなければならないのか、という議論になってきますね。

福島 そうです。だから国会で私が何かを質問したとしても、その度に「それは答えられません」「それは答えられません」という答弁になるのがみえています。
逮捕された理由がわからない


福島 共謀や教唆、煽動を処罰すると定めているのも大問題なんです。

佐藤 刑法六〇条の共同正犯「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」ではどうしてだめなんでしょう。

福島 刑法では、「犯罪を実行」していないと処罰できません。ところが、特定秘密保護法案では、共謀の段階で処罰、つまり情報がまだなにも漏れていなくても処罰する仕組みです。
「特定秘密」が漏れたとき、「これを漏らしたのは誰だ。誰がコンタクトを取っていたんだ」と、パソコンなどを押収して調べる事態が起きます。新聞やテレビなどのメディア企業も、記者や会社のパソコンを押収された時点でめちゃくちゃになる。取材源情報をすべて警察に握られてしまいます。起訴して有罪にしなくても、記者の情報が入手できれば警察は大満足でしょう。
 もう一つの問題は、たとえば佐藤優さんと私が話をしていたとします。佐藤さんの話を聞いて私が触発され、「これは問題だ。この点で政府を追及しよう」と考えたとします。問題を追及するためには、「特定秘密」を探ることになるかもしれない。「特定秘密」にあたるかもしれないが、国民に事実を伝えるためには構わないって思ったら、もう未必の故意です。つまり特定秘密だとわかりながらそれを暴くんだ、と考えた時点で共謀なんですよ。

佐藤 はい、その通りです。

福島 そして私が逮捕されたとします。でも、私はいったいなんのために逮捕されたのかもわからない仕組みなんです。  ご存知のように、戦前には冤罪「宮澤・レーン事件」がありました。太平洋戦争開戦日の一九四一年一二月八日、北海道大学の宮澤弘幸さんと、北海道大学予科の英語教師ハロルド・レーンさん、妻のポーリンさんの三人が軍機保護法違反などの疑いで逮捕され、それぞれ懲役一二年から一五年の刑を受けた事件です。当時、世界に知られていた根室の海軍飛行場の存在を、宮澤さんがレーン夫妻に話したことが軍事機密の漏洩とされたのですが、当時はなぜ処罰されるのかが裁判を傍聴していてもわからないわけです。弁護士も有効な弁護ができません。結局、宮澤さんは敗戦後の一九四五年一〇月に釈放されましたが、獄中で結核を患い、一年四カ月後に死亡します。  日本国憲法八二条二項は〈政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。〉と定めていますが、法廷で「特定秘密」の内容を説明したら、秘密ではなくなっちゃうんですよ。政府は、インカメラ方式で裁判官が「特定秘密」を見られると言いますが、インカメラで裁判官が見たものは証拠採用できないんですよね。

佐藤 そうですよね。

福島 福島みずほの弁護人は「福島みずほはとても大事なことを暴こうとしていた。これは秘密にすべきでない」という論陣を張ろうとするわけですよ。ところがそのためには「何が秘密にされているか」を知らなくちゃいけない。「宮澤・レーン事件」で言えば、「根室の海軍飛行場の存在が秘密だ」とわかれば、「それは既に知られている」と弁護できますが、なにが秘密とされているかをを弁護人が知ろうとすることもまた危険な行為になってしまう。つまり「特定秘密」のドアを叩いただけで犯罪者にされてしまう。だから判決文にも、具体的な犯罪事実が明らかにされない。とんでもない裁判になるんです。

佐藤 外務省の支援委員会から違法に金を引き出した背任などの容疑で逮捕・起訴された私自身の裁判でもこういうことがありました。外務省はロシア情報分析チームという秘密チームを持っていたわけですね。私もそこにいた。そこでの経費に支払いを認めた決裁書があるわけですよ。だから弁護側の反証で、私のかつての部下で非常に信頼できる人に証言させようと考えました。法廷で、「正当な業務行為としてなにをやったのか」と弁護士が尋問をしたら、かつての部下は「秘密に該当するから」と証言を拒否したわけですよ。

福島 なるほど。

佐藤 それで、裁判所が川口順子外相(当時)に秘密かどうか照会すると言って手紙を出した。ところが川口外相も「秘密に該当する」と返答し、結局は尋問できない。特定秘密保護法案が成立すると、こういったことが日常的に起きるわけですよ。

福島 そうなんです。

佐藤 反証段階になったらこっちは一切その件に関して尋問できなくなっちゃう。自分の正当業務行為だって説明しようにも、チームの所在自体を秘匿されてしまうわけです。

福島 特定秘密保護法を先取りした事例が実際にあるわけですね。

佐藤 そうなんです。ですからどういうふうになるか、私は目に浮かびます。ちなみにその時に正当な業務として決裁した人事課長が、先ほども出ましたが、内閣法制局長官に今度就任した小松一郎さんです。

福島 そうなんですね。逮捕・起訴理由とした「特定秘密」を漏らしたか漏らさないかでなくて、別件でも「特定秘密」に関わることについては全部証言を拒否するでしょうね。でもそうすると、その秘密チームで何をやろうとしていたのか、それは正当業務行為だった、ということすら証言できない。また、誰も立証してくれないことになります。

佐藤 その秘密チームの全員は、外務省をその後去ったか、もしくはロシア情報からはいまだに完全にはずされています。非常に有能な連中だけれども、これは私の事件の後遺症です。そのことは「なかったこと」にする。

福島 だからその人たちも証言には来ないし、その人たちがもし佐藤さんのために「これは正当行為だった」というのを裁判所で証言したいと思っても、証言できない。「特定秘密」を持った人間がそれを暴くこと自身、「十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する」(特定秘密保護法案二二条)ですからね。過失でも、「二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」(同二二条四項)ことになる。だから佐藤さんが「君、裁判で言ってくれないか」と言っても、そのことすらできない。

外国人と結婚すると出世できない


佐藤 それが常態化してくると官僚たちはどうなるか。仕事しなくなりますよ。私がこの法律にどうして反対するか、ちょっと違う位相から説明すれば、実質的な秘密を守れなくなるし、実質的な情報活動ができなくなるし、ひいては国家体制を弱くするからです。私はそういう法案だとみているんです。

福島 それが本当にいいかどうかという議論すら省内でできなくなる。これでは硬直的な組織になると思いませんか。民間企業もそうだけれど、人は結婚したり離婚したり、借金を負ったり病気になったり、配転したりする。秘密チームを作ったら秘密の保持のために異動させないんでしょうか。非常に硬直的な変な感じになると思うんですよ。しかも秘密だらけ。

佐藤 立ち往生したまま動いていかないですよね。  それから、外務公務員法にはかつて外国人条項があったんです。機関によっても違いますが、最後の頃は〈配偶者が外国人である場合、二年以内に日本国籍を取得できない配偶者、もしくは外国籍を放棄しない場合においては自動的に身分を失う〉という条項があった。今はその身分条項はなくなっているわけです。

福島 はい、そうですね。

佐藤 いまの日本の政治体制からすると、中国人や韓国人、ロシア人、イラン人などと結婚している外務省員は全員、特定秘密保護法案が定める適性評価に引っかかりますよね。適性評価では、評価対象者の家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍を調べることになっていますから。しかも、配偶者には事実婚が含まれます。
 外務省で秘密を扱っていない部局は、文化交流部とか外務報道官組織とか、そのぐらいのところですよ。どこの部局に行っても、必ず秘密が出てくる。アフリカでもテロの話が出てくる。
 そうすると外務省のなかにおいて、中国人や韓国人、ロシア人、イラン人などと結婚している人たちはもう将来の出世が閉ざされる。

福島 かつては、外国人の配偶者では大使になれないとなっていました。でも最近は、妻が外国人だっていう大使は増えていますよね。

佐藤 ええ。それに昔は配偶者の国には赴任させなかった。たとえばお連れ合いさんがドイツ人の場合はドイツには絶対に赴任させなかった。ある意味、そこが一番人脈もあるわけなのに、ものすごく硬直した戦前の体制みたいなものが残っていました。それがなくなったのはいいことだったと思うんですよ。ところが今度の特定秘密保護法案で逆行する流れになる。事実上、外務省では外国人と結婚すると出世できないってことになります。

福島 大使ですら配偶者が外国人ではダメだとなっていたのをやめたのに、今回の特定秘密保護法案は多くの公務員の「配偶者や家族が外国人かどうか」を調べる。外国人ではダメだとはなっていないけれど、実際は、特定の国の人と結婚している人はバツですよ。

佐藤 私の知っている外務省の職員でも、日本国籍を取得した人がいます。もともと韓国籍だったとかね。親が在日韓国人、在日朝鮮人で日本国籍を取得した人は何人もいますよ。そういう人たちはどうなるのか。こういう人たちの力をきちんと活用しないのか。ようするに公務員というのは日本国民と日本国家に対して忠誠を誓っている人。そういう人が公務員として受け入れられるのに、特定秘密保護法案は、一種の人種条項みたいな使われ方になりますよね。

福島 はっきりとした人種条項ですね。

佐藤 ユダヤ人から公民権を奪ったナチスの「ニュルンベルグ法」(「帝国市民法」と「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」)の現代版じゃないかと思うんですよ。それなのに、この人種差別条項に対して議論が起きない。議論を徹底的に尽くすということすらしないで、勢いで通しちゃうのはよくない。これは権力の弱さですよ。こういうことは弱い権力がやることなんです。

日本版NSCは戦争指導最高会議


福島 特定秘密保護法案と車の両輪にたとえられる国家安全保障会議(日本版NSC)の設置法が、残念ながら一一月二七日に成立してしまいました。

佐藤 私は日本版NSCが本丸だと思っているんです。国家安全保障会議設置法の成立が安倍政権が本当にやりたいことで、特定秘密保護法は実は付属品なんだと見ています。この国家安全保障会議がなにをやるか。日本版NSCは「地震とか災害が起きた時の対応だ」と政府に煙幕を張られてしまって、みんな勘違いしています。

福島 今の体制でも災害時の対応は十分できます。

佐藤 重要なのは今回常設される「四者会合」(首相、官房長官、外相、防衛相)です。これはなにかというと、日本が戦争するかしないかを決める最高意思決定機関です。つまり統帥権(軍隊の最高指揮権。明治憲法下では天皇の大権と規定され、一般の国務から独立するとされた)の発動をするところなんです。
 戦争をする必要があるから、それに付随して戦前の軍機保護法と国防保安法にあたる特定秘密保護法が必要になってくるのです。国際社会も「日本は戦争をできる体制の国にすでになっていて、それを立法で追認している」と見ています。

福島 災害対策では九大臣会合もあります。それだけの数の大臣を集めるのは日程調整が困難だから四者会合が必要だというけれど、調べてみると閣議決定の前に会議をやっているので、人を集めるのは難しくないんですよ。

佐藤 状況によっては持ち回りでやればいいわけですからね。

福島 それから四者会合も実際は行なわれていることもある。わざわざNSCで四人の会議を常設し、国家安全保障局をつくって、人員を置く必要がない。なんのためにこれをやるのか。それはやっぱり、ここで、戦争をするかしないかを決めるっていうことなんでしょう。

佐藤 そう思います。そして、安倍内閣は「積極的平和主義」を掲げています。積極的平和主義と言っても、国際法学者やリベラル派が言う積極的平和主義とは意味が違います。伊藤憲一さんという青山学院大学の元先生がいるんです。もともと外務官僚です。この伊藤さんが『新・戦争論――積極的平和主義への提言』という新潮新書を出しているんです。安倍内閣の「積極的平和主義」は、この発想です。要するに、戦争が違法化されつつある状態においては、米国を中心とした世界的規模での警察活動が積極的平和主義なんだというのです。

福島 ほう。

佐藤 湾岸戦争のようなものに全面協力することが平和を作ることなんだという意味なんです。これ、戦争しろっていう意味なんですよ。『新・戦争論』で伊藤さんは次のように主張しています。
 二〇〇三年三月二〇日に開戦したいわゆる「イラク戦争」で、結果的にイラクに大量破壊兵器が存在しなかったために、米国の行動は越権行為であると世界世論のかなりの部分から批判されることになったが、国連決議を実行するために行動した米国を批判することは大局的判断を見失った大きな誤りである、というのです。(同書一五〇~一五二ページの要旨)

福島 積極的平和主義そのものも根本的に批判しないとダメですね。

佐藤 そうなんです。だから積極的平和主義がなにを指すのかを政府の側に定義させないとダメですね。

福島 なるほど。

佐藤 一一月一、二日に、日露間の2プラス2。防衛相外相会合が行なわれたんですが、そこで岸田文雄外相が積極的平和主義の説明をしています。だから「積極的平和主義ってなんなんですか。伊藤憲一さんの言う積極的平和主義と同じことなんですか」って聞くと非常に面白いと思いますよ。

福島 戦争を開始することに関して言えば、自民党の日本国憲法改正草案には戦争を開始するときの規程がないんですよ。だから宣戦布告をしない。国会の事前承認も必要としていない。これはどうなのかと疑問に思っていましたが、つまり、この日本版NSCの四者会合の構成員である外務大臣と防衛大臣、官房長官、総理大臣で戦争開始を決めるのですね。

佐藤 そういうことです。戦争指導最高会議なんですよ。ここにあるのは統帥権なんです。これまでは戦争しない国だから統帥権はないということになっていた。国家安全保障会議(日本版NSC)の設置法は、統帥権の独立を担保する法律ですよ。そして、特定秘密保護法という技術法のところで起こりうる問題を処理しようとしている。ところが根っこはNSCで、これができることによって国家の構造がガラッといま変わろうとしているのです。

福島 要するに戦争をする国になる。特定秘密保護法とNSC法で原発推進・戦争遂行国家にするということですよね。そして、次に国家安全保障基本法を作ろうとしている。

佐藤 それを一番ハッキリわかっていて、きちんと言っているのが保守派の論客であるキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏(一九五三年~)ですね。彼も外交官出身で安倍首相のブレーンです。」

秘密保護法案 思想への介入を許すな/東京新聞社説

2013-12-02 12:01:46 | 政治
「 特定秘密保護法案は副作用が極めて強い法案だ。「特定有害活動」など意味のあいまいな言葉を用い、公安当局などが活動しやすい状況をつくっている。国民の思想分野まで介入しないか心配だ。

 「国家には秘密がある。だから、秘密を守る法律が必要だ」と、単純に考えてはいけない。現在も秘密を守る法律は存在し、新たな法律をつくらねばならない切迫した事実が存在しないからだ。

 しかも、国民の「知る権利」をより窮屈にし、人権侵害などを引き起こす恐れのある、“欠陥法”をわざわざ制定すべきでない。情報の漏えいを防ぐならば、行政機関が管理を徹底する仕組みを充実させれば済む。国民に権力を向ける法案など不必要なのだ。

 国家は初めから秘密を握っているのではない。米軍などからもたらされたり、外交ルートを通じる秘密もある。この法案は、国内の情報収集を活発化するという性質も帯びている。それを担うのが、公安当局などだ。

 特定有害活動とテロの防止の項目が設けられているのは、そのためだ。前者はスパイ活動を指すと説明されるものの、条文の中には「その他の活動」という文言が入っている。定義を意図的にあいまいにしているのだ。

 テロの定義は、人の殺傷や施設の破壊だけではない。「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」する活動も含まれる。少なくとも、条文の表現はそう読める。日弁連も同じ解釈をしている。

 そうなると、政治的な主張を声高に表明する行為も、テロリズムとなってしまう。国民の思想分野にも国家が介入しうる、異様な法案といえよう。

 公安当局がこの法律のお墨付きを得て、さまざまな市民活動を監視することは十分に考えられる。刑事警察は事件の発生から動き始めるが、公安警察は事件性の予知だけで情報収集をする。

 在日イスラム教徒の日常生活を詳細に調べた文書がインターネット上に流出した事件があった。警視庁が作成したとみられている。「国際テロ関連文書」とされるが、テロリストとは全く無関係の人々の個人情報が丸裸にされていた。こんな情報収集はプライバシー侵害そのものではないか。

 非合法の監視手法を合法化しうる危険性が極めて高い法案だ。「官憲」が強権を振るった、暗い時代を思わず想起する」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013120202000121.html

石破発言について/内田樹

2013-12-01 20:19:09 | 政治
「2013.12.01

石破発言について

毎日新聞にこんな記事が出ていた。

自民党の石破茂幹事長は29日付の自身のブログで、国家機密を漏えいした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案に反対し、国会周辺で行われている市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判した。国会周辺では連日、市民団体が特定秘密保護法案に反対するデモを行っているが、これを「テロ行為」と同列視する内容で反発を招くのは必至だ。石破氏はブログで「今も議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いている。どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはない」と指摘。「主義主張を実現したければ、理解者を一人でも増やし支持の輪を広げるべきだ」と主張した。(毎日新聞12月1日)

重要な発言である。
彼の党が今採択しようとしている法案には「特定有害行為」の項で「テロリズム」をこう規定しているからだ。
「テロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう)」(第12条)
森担当相は国会答弁でこの条文の解釈について、最初の「又は」は「かつ」という意味であり、「政治上」から「殺傷し」までを一つ続きで読むという珍妙な答弁を行った。
しかし、この条文の日本語は、誰が読んでも、「強要」と「殺傷」と「破壊」という三つの行為が「テロリズム」に認定されているという以外に解釈のしようがない。
そして、現に幹事長自身、担当相の解釈を退けて、「政治上の主義主張に基づき、国家もしくは他人にこれを強要」しようとしている国会周辺デモは「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と断言しているのである。
幹事長の解釈に従えば、すべての反政府的な言論活動や街頭行動は「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」しようとするものである以上、「テロリズム」と「その本質においてあまり変わらないもの」とされる。
「テロリズム」は処罰されるが、「テロリズムとその本質においてあまり変わらないもの」は「テロリズム」ではないので原理的に処罰の対象にならないと信じるほどナイーブな人は今の日本には(読売新聞の論説委員以外には)たぶんいないはずである。
このブログでの幹事長発言は公人が不特定多数の読者を想定して発信したものである以上、安倍政権が考える「テロリズム」の定義をこれまでになく明瞭にしたものと私は「評価」したい。
石破幹事長によれば、私が今書いているこのような文章も、政府要人のある発言についての解釈を「政治上の主義主張に基づき他人にこれを強要」しようとして書かれているので「テロリズム」であるいう解釈に開かれているということになる。
私自身はこれらの言葉は「強要」ではなく「説得」のつもりでいるが、「強要」か「説得」かを判断するのは私ではなく、「国家若しくは他人」である。
特定秘密保護法案では、秘密の漏洩と開示について議論が集中しているが、このように法案文言に滑り込まされた「普通名詞」の定義のうちにこそこの法案の本質が露呈している。」

http://blog.tatsuru.com/

特定秘密保護法全文

2013-11-13 18:19:22 | 政治
特定秘密保護法案の全文は次の通り。
 第一章 総則
 (目的)
 第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
 (定義)
 第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)
 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの
 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
 六 会計検査院
 第二章 特定秘密の指定等
 (特定秘密の指定)
 第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
 2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第四条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。
 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
 3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
 (指定の有効期間及び解除)
 第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
 2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
 3 行政機関(会計検査院を除く。)の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができる。
 4 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。
 (特定秘密の保護措置)
 第五条 行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。
 2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。
 3 前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
 4 行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。
 5 前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。
 6 第四項の規定により特定秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
 第三章 特定秘密の提供
 (我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)
 第六条 特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
 2 前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。
 3 第一項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
 第七条 警察庁長官は、警察庁が保有する特定秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特定秘密を提供することができる。
 2 前項の規定により都道府県警察に特定秘密を提供する場合については、第五条第三項の規定を準用する。
 3 警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特定秘密で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。
 第八条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
 2 前項の契約については第五条第五項の規定を、前項の規定により特定秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第八条第一項」と、「を保有する」とあるのは「の提供を受ける」と読み替えるものとする。
 3 第五条第四項の規定により適合事業者に特定秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特定秘密の提供を求めることができる。
 第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
 (その他公益上の必要による特定秘密の提供)
 第十条 第四条第三項後段及び第六条から前条までに規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。
 一 特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすることその他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。
 イ 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの
 ロ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの
 二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合
 三 情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
 四 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
 2 警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特定秘密が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特定秘密を提供することができる。
 3 適合事業者は、第八条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特定秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号若しくは第三号に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。
 第四章 特定秘密の取扱者の制限
 第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。
 一 行政機関の長
 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
 三 内閣官房副長官
 四 内閣総理大臣補佐官
 五 副大臣
 六 大臣政務官
 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者
 第五章 適性評価
 (行政機関の長による適性評価の実施)
 第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
 一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
 二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
 三 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
 2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
 一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
 四 薬物の濫用及び影響に関する事項
 五 精神疾患に関する事項
 六 飲酒についての節度に関する事項
 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項
 3 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
 一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
 二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
 三 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨
 4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
 (適性評価の結果等の通知)
 第十三条 行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。
 2 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。
 3 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。
 4 行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。
 (行政機関の長に対する苦情の申出等)
 第十四条 評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。
 2 行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。
 3 評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。
 (警察本部長による適性評価の実施等)
 第十五条 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。
 一 当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十三条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
 二 当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
 三 当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
 2 前三条(第十二条第一項並びに第十三条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十五条第一項第三号」と読み替えるものとする。
 (適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)
 第十六条 行政機関の長及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。
 2 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。
 (権限又は事務の委任)
 第十七条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。
 第六章 雑則
 (特定秘密の指定等の運用基準)
 第十八条 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。
 2 政府は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。
 (関係行政機関の協力)
 第十九条 関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。
 (政令への委任)
 第二十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
 (この法律の解釈適用)
 第二十一条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。
 2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。
 第七章 罰則
 第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
 2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。
 3 前二項の罪の未遂は、罰する。
 4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
 5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
 第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
 2 前項の罪の未遂は、罰する。
 3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。
 第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。
 2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。
 第二十五条 第二十二条第三項若しくは第二十三条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十二条第一項若しくは第二項若しくは第二十三条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
 第二十六条 第二十二条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。
 2 第二十三条及び第二十四条の罪は、刑法第二条の例に従う。
 附則
 (施行期日)
 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 (経過措置)
 第二条 この法律の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間においては、第五条第一項及び第五項(第八条第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第五条第一項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関」とあるのは「当該行政機関」と、同条第五項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の」とあるのは「同項の」とし、第十一条の規定は、適用しない。
 (自衛隊法の一部改正)
 第三条 自衛隊法の一部を次のように改正する。
 目次中「自衛隊の権限等(第八十七条―第九十六条の二)」を「自衛隊の権限(第八十七条―第九十六条)」に、「第百二十六条」を「第百二十五条」に改める。
 第七章の章名を次のように改める。
 第七章 自衛隊の権限
 第九十六条の二を削る。
 第百二十二条を削る。
 第百二十三条第一項中「一に」を「いずれかに」に、「禁こ」を「禁錮」に改め、同項第五号中「めいていして」を「酩酊(めいてい)して」に改め、同条第二項中「ほう助」を「幇(ほう)助」に、「せん動した」を「煽動した」に改め、同条を第百二十二条とする。
 第百二十四条を第百二十三条とし、第百二十五条を第百二十四条とし、第百二十六条を第百二十五条とする。
 別表第四を削る。
 (自衛隊法の一部改正に伴う経過措置)
 第四条 次条後段に規定する場合を除き、この法律の施行の日(以下この条及び次条において「施行日」という。)の前日において前条の規定による改正前の自衛隊法(以下この条及び次条において「旧自衛隊法」という。)第九十六条の二第一項の規定により防衛大臣が防衛秘密として指定していた事項は、施行日において第三条第一項の規定により防衛大臣が特定秘密として指定をした情報と、施行日前に防衛大臣が当該防衛秘密として指定していた事項について旧自衛隊法第九十六条の二第二項第一号の規定により付した標記又は同項第二号の規定によりした通知は、施行日において防衛大臣が当該特定秘密について第三条第二項第一号の規定によりした表示又は同項第二号の規定によりした通知とみなす。この場合において、第四条第一項中「指定をするときは、当該指定の日」とあるのは、「この法律の施行の日以後遅滞なく、同日」とする。
 第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。旧自衛隊法第百二十二条第一項に規定する防衛秘密を取り扱うことを業務とする者であって施行日前に防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなったものが、その業務により知得した当該防衛秘密に関し、施行日以後にした行為についても、同様とする。
 (内閣法の一部改正)
 第六条 内閣法(昭和二十二年法律第五号)の一部を次のように改正する。
 第十七条第二項第一号中「及び内閣広報官」を「並びに内閣広報官及び内閣情報官」に改める。
 第二十条第二項中「助け、」の下に「第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第 号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び」を加える。
 (政令への委任)
 第七条 附則第二条、第四条及び第五条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
 別表(第三条、第五条―第九条関係)
 一 防衛に関する事項
 イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究
 ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究
 ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量
 ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
 ト 防衛の用に供する暗号
 チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
 リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
 ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)
 二 外交に関する事項
 イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの
 ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)
 ハ 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)
 ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号
 三 特定有害活動の防止に関する事項
 イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
 ロ 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号
 四 テロリズムの防止に関する事項
 イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
 ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
 ニ テロリズムの防止の用に供する暗号
 理由
 国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/zenbun.html/東京新聞より

なぜ秘密保護法案が問題か?NYタイムズは語る

2013-11-13 10:31:37 | 政治
「ついに日本の「特定秘密保護法案」について、ニューヨーク・タイムズ紙が注目を、いや正確には「警戒」を始めた。しかも、これは特定の個人によるオピニオンではなく、「エディショナル・ボード」による力強い社説だ。同法案については、既に多くの新聞社の社説だけではなく、全国の憲法研究者・メディア法研究者・刑事法研究者や、歴史学者による懸念の声が聞かれている。


■社説の内容

ニューヨーク・タイムズ紙の社説の要約は以下のとおり。全文は、こちらで確認することが出来る。

(1)日本政府は、国民の知る権利を損なう秘密保護法の制定に向けて動いているが、「秘密」のガイドラインは存在しない。定義の欠如は、政府にとって不都合な情報が秘密指定となることを意味している。

(2)政府関係社は、秘密の暴露により懲役10年が科せられる可能性があり、文書を機密扱いにするインセンティブが働くだろう。

(3)すでに「防衛機密」の権限を持つ防衛省は、2006年から2011年に5万5000件の機密指定を行い、3万4000件が破棄。解除されたものはわずか1件にすぎない。

(4)秘密保護期間は無制限に延長でき、政府の説明責任は縮小するだろう。

(5)政府は、ジャーナリストに対する最長5年の懲役刑を脅しとして、より不透明になるだろう。日本の各紙や世論は同法案に懐疑的だが、安倍政権は早期成立を熱望している。

(6)安倍首相はNSCの創設を目指すが、ワシントンは機密情報の共有のため情報管理の強化を求めてきた。提案されている安全保障会議では、6部門のうち1つに、北朝鮮と共に中国が置かれている。これは、中国への対決姿勢とタカ派的な外交政策を反映しており、東アジアにおける日本への不信を拡大させるだろう。

「知る権利」の問題や、「秘密」の定義が曖昧なことなどについては、すでに各紙や専門家のコメントなどで知られているポイントかも知れないが、興味深いのは日本版NSCの創設と絡めながら、中国と北朝鮮を担当する部門の存在が安倍政権のタカ派外交を反映しているという危惧だろう。すでにNSC法案は今国会で成立することが決定したが、秘密保護法と絡めた議論が求められることが示唆されている。


■世論は慎重な審議を求める

共同通信社が先月実施した全国電話世論調査では、特定秘密保護法案に反対する人は50.6%と過半数となっており、賛成は35.9%となっている。慎重な審議を求める声は82.7%となり、自民、公明両党の幹事長が同法案を今国会中に成立させる方針であることとは裏腹に、国民はこの法案が性急に決定されていることに強い不安を覚えている。

果たして、政府は国民の懸念を他所に同法案を可決するのだろうか?疑念の目は、日本のみならず世界へと広がっていくだろう。


(※この記事は11月10日に掲載された「なぜ秘密保護法案が問題か?NYタイムズは語る」より転載しました)」

http://www.huffingtonpost.jp/the-new-classic/ny_b_4252510.html?utm_hp_ref=japan-politics

外国特派員協会秘密保護法反対声明の意味/孫崎亨

2013-11-12 16:12:30 | 政治
「孫崎亨氏11月12日午前8時07分発信

秘密保護法に新しい動きが見えた。


 米国がらみで相反する動きが出て来ている。


ルーシー・バーミンガム特派員協会会長(駐;バーミンガムは米国人ではないようであるが、特派員協会自体には多くの米国人)11日「特定秘密保護法案」を全面的に撤回するか、または将来の日本国の民主主義と報道活動への脅威を無くすよう大幅な改訂を勧告いたします」と発表した。


日本外国特派員協会は、日本に派遣されている外国報道機関の特派員及びジャーナリストのために運営されている社団法人の会員制クラブである。プロフェッショナルなジャーナリストが約300人、その他の会員を合わせると2000名の組織である。


かつて田中角栄首相がロッキード事件で潰されたが、田中降ろしの契機は日本外国特派員協会での田中首相の演説、それに続く記者の金権問題追及であった。


日本外国特派員協会がこうした形の勧告を行うことは極めて異例である。


秘密保護法をめぐり、米国には相異なる2つの動きがある。


一つは軍産複合体、ジャパン・ハンドラーのグループである。


今一つは民主主義を重視するグループである。


秘密保護法(案の国会提出:マチベン注)は米国の圧力によって成立した。


10月3日、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が来日し、岸田外務大臣と小野寺防衛大臣との間で「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」と題する共同発表を行ない、この中で、「情報の保護を確実なものにする目的で、日本側が法的枠組みを作るために真剣な努力をすることを歓迎する」ことを決めた。


米国は自分の戦略のため、自衛隊を海外で使用する方針である。日米が共同軍事行動をするためには米国と同程度の秘密保護基準が必要となる。それが秘密保護法の原点である。


かつて米国は自由主義を守るという旗印の下、サダム・フセイン、マルコス、イランのシャー、朴正煕等国内弾圧者を利用し、用済みになると排除することを繰り返してきた。彼らの視点は利用できるか否かで、相手国が民主的国家であるか否かはどうでもいい。


今一つの民主主義を守るグループは大統領周辺に近い。ニューヨークタイムス紙東京支局長は日米関係を歪んだものにしているのは、日本がジャパン・ハンドラーに牛耳られていることにあると批判してきている。


なんだかんだと言っても米国は民主主義の旗は降ろせない。報道の自由はその基本である。


これまでもオバマ大統領周辺は安倍首相の右傾化に懸念を持っていた。


今回の外国特派員協会の動きは当然米国の識者の知る所になる。


安倍政権に対する強い警告である。」

http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2013/11/post-c570.html

瀬戸際の東アジア-日本こそが問題

2013-11-07 18:26:12 | 政治
 中国、韓国、そしてわが日本。中韓と日本の関係が悪いだけでなく、それぞれの国を支える理念、政治体制に大きな問題を抱えている。戦争か平和的発展か。分水嶺が近付いている。

 中国は習近平指導部のもと、3中全会で政治改革に乗り出しそうだ。日本の最高裁長官に当たる周強は中央委員にすぎないが、習近平指導部は各級の司法官を党員としての拘束、あるいは党指導部の指導から自由にする方針だとされる。これは直接には民衆の不満の高まりへの対応であるが、党の指導体制から自由な領域の創出は、画期的なことだというべきである。

 これ以外にどのような手が打たれるかは不明であるが、巨大で複雑化していく中国社会を、共産党支部を通じた指導だけで統制するのは明らかに困難だと判断したと思われる。その点で中国は求められた改革に乗り出しつつある。

 ただ同時に進む急速な軍拡は不安要因である。専門家集団として発言力を強めつつある軍が、国家の対外政策や国内治安の問題に関して、どのような立場をとるのか、また周辺諸国との紛争にどのように対峙する考えなのかが、焦点となろう。人民解放軍は人民に広く信頼されており、入隊志願者も増えている。現実の武力衝突等があれば、急速な軍国化もありうるかもしれない。

 韓国は朴政権となって国内的に強権化しつつある点が危惧される。左派の弾圧が今後も続くようであれば、政治体制全体の右傾化が進み、かつてのように情報あるいは治安機関が力を持つ時代に逆行しかねない。

 また日本との関係は深刻化する一方である。安倍政権の本質が極端な反動政権度あることをよく理解しているが故の対応と考えられ、その点では彼女は正しいといえる。しかしそのことが万が一の軍事衝突にまで至れば、事態は容易ならざる所に至りかねない。

 最大の懸案ハ日本の自民党安倍政権である。アベノミクスと円安という餌で安く国民を釣り、そのあと公安・軍事官僚が政治を完全支配できる体制に向かって突進している。彼らの頭の中身は戦前を理想化してとらえるという点で、戦前の政治会場に劣化したものだと言える。

 アメリカにどこまでも依存しつつ、役にたちもしない牙を振って見せせる安倍・日本が、東アジア地域最大の問題であろう。

ほんとうに異常な安倍政権-政権メンバーの所属組織・そこから見える頭の中身

2013-11-07 16:20:48 | 政治
「「子どもと教科書ネット」による「第2次安倍晋三内閣の超タカ派の大臣たち」 The Abe Cabinet - An Ideological Breakdown (Update) by Yoshifumi Tawara

「子どもと教科書全国ネット」の俵義文さんによる安倍内閣の大臣、副大臣、政務官、自民党役員の所属団体表の最新のものです。カルト集団ともいえるこのような恐ろしい人たちを選ぶ有権者たち、またオリンピックで日本に足を踏み入れようとしている人たちにぜひしっかり目を見開いて見てもらいたいものです。海外に広めたい人は、安倍第二次政権発足時にカナダ・コンコーディア大学のマシュー・ペニー助教授による The Abe Cabinet - An Ideological Breakdown  (安倍内閣:政治思想の内訳)として各所属団体解説つきの英訳が出ております。『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』より。http://japanfocus.org/events/view/170

【資料】 第2次安倍晋三内閣の超タカ派の大臣たち

2013年10月04日改訂  俵 義文(子どもと教科書全国ネット21)作成



大 臣         氏 名    所属の議員連盟など

総 理         安倍 晋三  歴史、日本(副幹事長)、教科書(顧問)、神道(会長)、靖国、改憲
                   同盟(顧問)創生(会長)、拉致(顧問)、「慰安婦」、親学(会長)

            
副総理・財務・金融   麻生 太郎  日本(特別顧問)、神道(名誉顧問)、靖国、教基法(顧問)、改憲
                   同盟、創生(委員)、拉致(顧問)

総 務         新藤 義孝  教科書、神道、靖国、改憲、創生(副幹事長)、「慰安婦」、拉致

法 務         谷垣 禎一  歴史、日本(相談役)、神道、靖国、同盟(顧問)

外 務         岸田 文雄  歴史、日本、教科書、神道

文部科学        下村 博文  日本(事務局長)、教科書(幹事長)、神道、靖国、教基法(委員長代理)
                   改憲、同盟、創生(副会長)、反日教組、正しい、「慰安婦」
                   親学(事務局長)

厚生労働        田村 憲久  日本、神道、靖国

農林水産        林 芳正   神道、靖国、改憲、同盟(事務局次長)

経済産業        茂木 敏光  日本、神道、靖国、改憲

国土交通        太田 昭宏  改憲(顧問) (公明党)

環境・原発       石原 伸晃  神道、改憲、同盟(副会長)、創生(委員)

防 衛         小野寺五典  日本、靖国、創生(委員)

復 興         根本 匠   日本、教科書、神道、靖国

国家公安・国土強靭化  古屋 圭司  日本(副会長)、教科書(会長)、神道(事務局長)、靖国
            教基法(委員長)、反日教組、改憲、創生(会長代理)、反中国(副会長)
            正しい、米抗議、拉致(副幹事長)、「慰安婦」

経済再生・一体改革沖縄北方・科技 甘利 明   日本、神道、靖国、改憲

沖縄・北方       山本 一太  教科書(事務局次長)、神道、靖国、改憲、同盟、創生(副幹事長)
                   拉致(副幹事長)

行政改革        稲田 朋美  日本(事務局長代行)、教科書、神道、靖国、同盟、創生(事務局長代理)
            正しい(事務局長)、南京、反中国(事務局長)、W・P、「慰安婦」、拉致(幹事)

少子化         森 雅子   神道、反日教組

官房長官        菅 義偉   日本(副会長)、教科書、神道、靖国、改憲、創生(副会長)

首相補佐官

国政の重要課題    衛藤 晟一  歴史、日本(幹事長)、教科書(会長代行)、神道、靖国
            教基法(副委員長)、改憲、同盟、創生(幹事長)、反日教組、正しい、拉致(副会長)
           「慰安婦」

国家安全保障・選挙制度 磯崎 陽輔  神道、靖国、改憲、同盟、創生(委員)

ふるさと        木村 太郎  日本、神道、靖国、改憲、同盟(監事)、創生(委員)

官 房

官房副長官      加藤 勝信   日本(幹事)、神道、靖国、同盟、創生(事務局長)

官房副長官      世耕 弘成   日本、神道、靖国、同盟、創生(副会長)、反日教組、「慰安婦」


副大臣         氏 名    所属の議員連盟など

復 興        谷 公一    神道、同盟

復 興        浜田 昌良(公明党)

内 閣 府      後藤田 正純  神道、靖国、改憲

内 閣 府      西村 康稔   日本、神道、靖国、教基法(委員長)、創生(副幹事長)、拉致(副幹事長)

内閣府兼復興     岡田 広    日本、神道、靖国

総 務        上川 陽子   神道、改憲

総務兼内閣府     関口 昌一   神道、靖国、創生(委員)

法 務        奥野 信亮   日本(幹事)、神道、靖国、改憲、同盟、創生、反日教組

外 務        岸 信夫    日本、神道、靖国、改憲、創生(委員)、「慰安婦」

外 務        三ツ矢 憲生  神道、靖国、改憲、反日教組

財 務        古川 禎久   日本(政審副会長)、神道、靖国、創生(副幹事長)、正しい、W・P

財 務        愛知 治郎   日本、神道、改憲、拉致

文部科学       櫻田 義孝   日本(副幹事長)、教科書、神道、靖国、教基法(副委員長)
                   改憲、同盟、創生

文部科学       西川 京子   日本(副幹事長)、教科書(事務局長)、靖国、教基法(理事)
                   創生、反日教組、中国(会計監事)

厚生労働       佐藤 茂樹(公明党)

厚生労働       土屋 品子   神道、靖国、改憲

農林水産       江藤 拓    日本(幹事)、神道、靖国、同盟、創生(副幹事長)、拉致(副幹事長)
                   正しい、W・P

農林水産       吉川 貴盛   日本、神道、靖国、反日教組

経済産業       松島 みどり  神道、改憲

経済産業兼内閣    赤羽 一嘉(公明党)

国土交通       高木 毅    神道、靖国、創生(副幹事長)、拉致

国土交通       野上 浩太郎  神道、靖国

環 境        北川 知克   神道

環境兼復興      井上 信治   日本、神道、靖国、改憲、創生(委員)、反日教組、親学、拉致

防 衛        武田 良太   日本、靖国、創生、正しい


・・・以下略・・・

   *大臣19人、首相補佐官3人、官房副長官2人、副大臣25人、政務官27人 計76人
投稿者 Peace Philosopher 時刻: 2:44 pm No comments: この投稿へのリンク」

http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/10/the-abe-cabinet-ideological-breakdown.html

秘密保護法反対の社説 10月29日

2013-10-29 17:46:53 | 政治
1 沖縄タイムス 社説

「社説[特定秘密保護法案]市民の権利への脅威だ
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2013年10月28日 09時13分
(32時間33分前に更新)
 衆参の「ねじれ」が解消し、当分、国政選挙もない。やれることは、今のうちに、どんどんやってしまおう。おそらく、そんなところだろう。

 政府は特定秘密保護法案を閣議決定し、衆院に提出した。公明党に配慮し、国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」への配慮を条文に付け加えたが、どうやってそれを保証するのか、肝心な点は法案に明記されていない。

 防衛省はイラク戦争の際、航空自衛隊をイラクに派遣し、空輸活動に当たらせた。市民グループが空輸内容を明らかにするよう情報公開を請求したところ、政府は非開示を決め、黒塗りの書面を提示した。

 再三にわたる請求の末に、ようやく開示が認められた。政権交代が実現したからだ。

 復帰にからむ沖縄密約についても、米国が公文書を開示し、当時の日本側担当者が密約の存在を証言したにもかかわらず、自民党政権は「密約はない」と言い張ってきた。

 そんな性分を持つ政府・官僚機構が、国会などのチェックも受けずに、何が機密情報にあたるかを自分たちだけで決め、情報漏えいに対する罰則を大幅に強化し、情報を得ようとした市民に対しても罰則を適用する、というのである。

 戦前の軍機保護法がそうであったように、この法案がひとたび成立すれば、状況に応じて対象範囲が拡大され、モンスター(怪物)化する恐れがある。民主主義という壊れやすい器は、小さな部分から決壊し始めることを心に留めておきたい。

    ■    ■

 特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化相は、処罰対象になる事例として、沖縄密約問題で逮捕された西山太吉氏(当時、毎日新聞記者)の事件を挙げた。西山氏は、外務省の女性職員に漏えいを働きかけ極秘電文を入手したとして国家公務員法違反容疑で逮捕され、有罪判決を受けたことで知られている。

 この大臣発言には多くの問題点がある。第1に、具体例を挙げることによって法案成立後の取材活動を萎縮させること。第2に、密約を交わしながら、それを否定し続けてきたことの隠蔽(いんぺい)責任を一切不問にしていることである。

 重要な情報は今でも官僚機構に集中している。官僚は情報の出し方を操作することによって自己の利益を達成しようとする。特定秘密保護法案が成立すれば、官僚は集中する情報のコントロール権を一層強め、政治家も国民も重要情報から遮断されることになりかねない。

    ■    ■

 政府は、特定秘密保護法案と日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法案をセットと位置づけ、今国会での成立を目指している。憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使容認に踏み切ることも、その延長で考えられている。

 特定秘密保護法案は、日米の軍事一体化をさらに強め、共同で対処していくための体制整備という性格をあわせ持っている。

 これほど問題の多い法案を国民的な議論もないまま、数の力で押し切ることは許されない。廃案にすべきだ。」

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-10-28_55866


2 琉球新報社説

「秘密保護法案 廃案にすべき「悪法」だ 暗黒社会を招きかねない
2013年10月26日


 あまりに問題の多すぎる法案だ。政府は特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。だがこれは国民を目隠しし、国民主権を根底から壊しかねない。成立させてはならず、廃案にすべきだ。

 問題は、何が特定秘密に当たるか、閣僚など「行政機関の長」が恣意(しい)的に決められる点だ。

 確かに、法案の別表は「外国との交渉内容のうち国民の生命、領域保全その他の安全保障に関する重要なもの」などと対象を列挙する。だが何が「重要」か、なぜ「重要」なのか、国民には点検のしようがない。これでは恣意的運用を排除したとは到底言えない。

単なる努力義務

 有識者会議で統一的な運用基準を作ると政府は強調する。だが有識者を選ぶ段階で批判的な識者は排除されるだろう。恣意的指定に歯止めがかかるとは思えない。

 併せて審議される情報公開法改正案で、秘密指定が適切かどうか裁判所が内々に見て判定する「インカメラ審理」を規定するから、透明性は確保したと政府は主張する。だが裁判所は、「統治行為論」の名の下に政府決定の追認を繰り返してきた。全権委任の対象になり得るのか。

 政府はまた、法案に「知る権利」や「報道・取材の自由」の記述を追加したと強調する。だがそれは単なる努力義務にすぎない。

 報道機関の行為が「不当でない限り正当な業務」とするというが、何が「不当」か決めるのは政府だ。恣意的運用はいくらでも可能である。事実、森雅子担当相は、沖縄返還密約を暴いた時のような行為は処罰対象と公言した。恣意性を告白したようなものだ。

 従来の国家公務員法の守秘義務規定は罰則が最大懲役1年だ。法案はそれが10年となる。行政内部の善意の告発者に対する萎縮効果は計り知れない。

 「不当でない限り」という条件は「違法性阻却事由」である。無罪の要件になるというだけであり、逮捕も家宅捜索もありうる。報道機関を家宅捜索すれば告発者の身元を示す資料が国の手に渡る可能性がある。内部告発者を萎縮させるには十分であろう。

 何しろ日本は密約の「実績」にはこと欠かない。隠蔽(いんぺい)圧力が強まる秘密保護法ができれば、時の政権や官僚に不都合な事実が今以上に隠蔽されるのは間違いない。

 そもそも政府は公僕の集合体であり、政府の情報は国民の共有財産であるはずだ。情報がなければ正しい判断もできない。秘密保護法は国民主権の基盤も壊すのだ。


市民社会への威嚇

 さらに問題なのは、市民社会への威嚇になっている点である。
 空証文にせよ「報道の自由」は法案に記されたが、NPOや市民団体が行政情報に接近する行為は何ら保護されていない。

 例えば、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間基地配備計画について、17年前に政府は知っていながら米側に隠すよう求め続けた。それを示す「高見沢文書」は、市民団体が米国の公文書から見つけ出したが、そのような行為すら「秘密保護法違反」に問われかねない。その意味でこの法案はまさに「政府保護法案」であり、「国民監視法案」なのである。

 情報が闇から闇に葬られかねないのも問題だ。今も防衛秘密は、秘密解除した例が制度創設以来1件しかなく、秘密のままの廃棄は直近5年間で約3万4千件に上る。期限が来れば自動的に文書を公開する仕組みがないからだ。秘密保護法案も同様なのである。

 そもそも法案が必要なのか。政府が事例として挙げた過去の情報漏えい事件は、いずれも現行の法体系で防止できた。日弁連の提言する通り、むしろ情報管理システムの適正化を急ぐべきであろう。

 法成立後は、例えばテロ対策が名目の公共事業は、税金の使途として妥当か検証できなくなる。原発事故も秘密にされかねない。そんな暗黒社会を招来しそうな法はやはり「悪法」と呼ぶほかない。」

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-214360-storytopic-11.html


3 信濃毎日新聞

「秘密保護法 情報公開と相いれない
10月29日(火)
 特定秘密保護法と情報公開法をセットにして制定、改正しようという動きが与野党の一部にある。

 民主党は情報公開法改正案を衆院に提出した。公文書が非公開になったとき、裁判所が文書を実際に見て非公開の是非を判断する仕組みを盛り込んでいる。

 公明党は先日のNHK番組で、情報公開法を改正して特定秘密を適用対象にする考えを打ち出した。こうした改正には自民党幹部も含みのある発言をしている。

 情報公開法を手直しすれば、特定秘密保護の仕組みはいくらかでも透明度が増すだろうか。答えは「ノー」だ。

 秘密法の在り方について検討した有識者会議の報告書に、こんな意味のくだりがある。2年前の夏に発表されたものである。

 秘密法は国民の知る権利を害するものではない。なぜなら、秘密法によって保全される秘密はそもそも、情報公開法による開示の対象にならないからだ―。

 積み上げられてきた情報開示の流れを否定する法案であることが、よくわかる言い方だ。成立すれば情報公開法の精神は吹き飛ばされてしまうだろう。

 憲法が国民に保障する「知る権利」は情報公開法だけが担っているわけではない。内部告発した人を不当な扱いから守る公益通報者保護制度や、メディアが日々の努力で守っている「報道の自由」は、中でも大事なものだ。

 法案が成立すれば、秘密を外に漏らした公務員らは最高10年の懲役になる。内部告発を威嚇する効果は大きい。公益通報保護の仕組みは空洞化する。

 報道機関の取材について法案は「著しく不当な方法によるもの」でない限り罰しないとうたっている。一方で、沖縄返還密約を暴露した毎日新聞記者の取材について、担当大臣は処罰の対象になるとの見方を示している。

 政府がある情報を特定秘密に指定しても、その中身は公表されない。ジャーナリストや研究者には何が秘密か分からない。そんな状態で政府高官に接し情報を聞き出そうとすると、漏えいの「教唆、扇動」と見なされて最高5年の懲役になる可能性がある。

 秘密法は取材や研究活動も大きく制約する。「知る権利」を支える仕組みは掘り崩される。

 政府が自分の勝手な判断で情報を秘密指定し、厳罰を科して国民の手の届かない場所で運用するのが特定秘密保護法の本質だ。廃案にするほかない。」

http://www.shinmai.co.jp/news/20131029/KT131028ETI090003000.php


4 新潟日報

「秘密保護法案 修正でも懸念は消えない

 特定秘密保護法案の修正が政府と公明党の間で合意した。政府は22日にも閣議決定し今国会での成立を目指す構えだ。

 政府の秘密を漏らす行為に対する罰則強化などを内容とし、国家による情報隠し、国民の知る権利の侵害などが懸念されている法案だ。

 部分的に修正がなされたとはいえ、法案の基本的問題点が解消されたとは言えない。

 国による過度な情報規制は民主主義の根幹も揺るがしかねない。法の乱用をどう防ぐのか。国会での論議を通じ、明確かつ厳しい運用のルールが確立されることが必要だ。与党の絶対多数で、成立を急ぐことがあってはならない。

 秘密保護法案は、防衛や外交、テロ活動防止に関する事項を「特定秘密」に指定し、それらを漏らす行為や不正に秘密を取得する行為に対し、最長で懲役10年の罰則を科すことなどが主な内容だ。

 現行の自衛隊法や国家公務員法による罰則より重く、秘密を扱う公務員や取材活動を委縮させ、適切な情報公開の原則に逆行しかねないとの懸念も指摘されていた。

 今回の修正は、法案成立を急ぐ政府が、こうした懸念に基づく公明党の要求に譲歩する形で行われた。

 国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」を明記、「著しく不当な方法」でない限り罰則の対象としないことなどが盛り込まれた。

 だが、「国の安全保障に著しい影響を与える」という特定秘密の基準があいまいで、広範な情報が秘密指定されかねないという問題は残されたままだ。

 修正案では秘密指定の運用基準策定に当たって「有識者の意見を聴かなければならない」と定めている。だが、どのような「有識者」がどのように意見を述べるのかは不明だ。また、その意見が「聴くだけ」に終わる恐れもある。

 政府による恣意(しい)的運用を避けるためには、裁判所など、公的機関による秘密指定の判断が必要だろう。

 また、国会や裁判所などへの秘密の提供についても「できる」という表現にとどまり、義務とはされていない。将来の秘密解除についても、秘密指定の延長は内閣の判断に任されている。歴史の検証を妨げるものと言わざるを得ない。

 知る権利への配慮も「努力目標」の性格が強い。正当な取材とは見なされない「著しく不当な方法」がどのような行為か明確でなく、拡大解釈される危険もある。

 また、罰則からの除外が出版・報道業務に限られているため、市民運動やフリーのジャーナリストの活動に制約を与える可能性も強い。

 修正は小手先にすぎず「知らしむべからず、寄らしむべし」を図る意図は変わっていない。

 法案は、米軍との共同活動を念頭に置いた日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設や集団的自衛権行使の検討と深く関連している。

 国家機密を強調し、国民の目を情報から遠ざけようという行為の危うさを見極めなければならない。

2013/10/19」

http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20131019073569.html

5 神奈川新聞

「特定秘密保護法

2013年10月26日
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行政の恣意に懸念残る
 政府は25日、安全保障上の機密漏えいに対する規制を盛り込んだ特定秘密保護法案を国会に提出した。成立した場合、罰則は最長懲役10年にまで強化されることになる。

 安全保障分野では一定の情報管理が必要になることがあり得る。多国間協力が求められ、機密情報を共有しなければならないケースが生じることも否定できない。

 安倍首相は同日の衆院本会議で、外国との情報共有は秘密保全が前提と述べ、政府の進める国家安全保障会議(NSC)の観点からも必要性を強調した。

 それでも、この法案では何が「特定秘密」に当たるのかという判断の裁量を、行政機関に広く認めている点は問題と言うしかない。

 例えば別表で特定秘密とされた情報のうち、外交関連では「国民の生命および身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」と定義される。「その他」の言葉で対象が非常に幅広くなっている。定義には曖昧さが残る。

 特定秘密指定の有効期間は5年ごとに更新が可能だ。指定に関する行政の恣意(しい)性は30年後に内閣の承認を要することでチェックするとされているものの、これも承認されれば30年以後も指定の延長はできることになっている。指定や解除には有識者を関与させて統一基準を定めるとしたが、個別情報の指定をめぐる当否の判断そのものに外部の目が行き届くわけではない。

 与党の合意案では、公明党の主張に配慮して国民の知る権利を保障する「報道・取材の自由」への配慮をうたうことになった。

 だが、国民の知る権利を尊重するのは憲法上、当然のことである。取材行為を「著しく不当な方法」でないかどうかの公正な判断が、運用面だけで担保できるか。取材を受ける側の公務員を必要以上に萎縮させる懸念はないか。

 民主党は知る権利を担保する情報公開法改正案を提出した。公文書非公開時に裁判所が是非を判断する「インカメラ審理」や、首相が公開を勧告できる制度の導入が柱だ。

 一時的な機密扱いの必要性があったとしても、外交・安全保障政策は最後には国民の評価を受けてこそ磨かれ、支持されていくものだ。他国との関係づくりの基礎となった情報を半永久的に国民から遠ざけるような行為は許されない。」

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-214360-storytopic-11.html

6 京都新聞

「秘密保護法案  懸念はぬぐえていない

 政府は、機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を今国会に提出する。

 法案は、公明党の修正要求を入れて、国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」への配慮を明記し、取材活動は原則として罰則の対象外とした。

 だが、知る権利などへの配慮はあくまで努力規定にとどまる。情報の国家統制が強まる懸念がある以上、法案には賛成できない。

 法案は、漏えいが国の安全保障に著しく支障を与える情報を行政機関の長が特定秘密に指定し、流出させた公務員らに最高10年の懲役刑を科す内容だ。

 特定秘密の対象は防衛、外交、安全脅威活動、テロの4分野としているが、中身があいまいで、恣意(しい)的に決められたり、政府に不都合な情報が秘匿されかねない。

 指定の妥当性をチェックし、一定期間が過ぎれば、指定を自動的に解除して検証できる仕組みもない。秘密の指定や解除は、有識者会議で統一的な運用基準を定めるとするが、個別の情報をチェックするわけではない。

 秘密は5年ごとに更新でき、30年目で内閣の承認があれば、さらに延長できる。外交文書など重要な情報を開示せずに葬り去ることも可能だ。国会議員も処罰の対象で、特定秘密を知れば、問題があっても国会で追及できない。

 取材の自由についても「著しく不当な方法によるものでない限り」との条件が付き、「不当」の範囲は不明確だ。公務員らへの厳罰化で、取材される側が萎縮する可能性も強い。それは国民の知る権利の侵害につながる。

 政府が法案成立を急ぐのは、国家安全保障会議(日本版NSC)の年内発足に向け、米国と情報を共有し、管理を徹底する必要があると考えるからだ。

 国家間で共有する機密性の高い情報があるのは言うまでもない。だが、防衛秘密は日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法や自衛隊法で守られている。国家公務員法や地方公務員法も罰則付きで守秘義務を定めている。機密保全はそれらで十分対応できるはずだ。

 政府は情報統制を強めるのではなく、まず先進諸国に比べて遅れが目立つ情報公開こそ進めるべきだ。

 民主党は、行政機関が開示できないとした情報に関し、公開できるかどうかを裁判所が判断する仕組みを作ることを盛り込んだ情報公開法改正案を国会に提出する。だが、これを条件に特定秘密保護法案を受け入れるなら筋違いだ。
 知る権利は憲法の表現の自由を裏打ちする権利である。民主政治の根幹を揺るがしてはならない。

[京都新聞 2013年10月24日掲載]」

http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20131024_2.html


中東政治の大転換/田中宇氏のブログより

2013-10-03 15:05:18 | 政治
「中東政治の大転換

2013年9月30日   田中 宇

 1989年の米ソ和解(冷戦終結。レーガン・ゴルバチョフ会談)や、1972年の米中和解(ニクソン訪中)など、これまで米国が国際政治の基本的な構図を大転換し「世界的な敵」だった勢力と和解する時はいずれも、転換に関する明確な理由や、戦略的意味づけが欠如したまま、人々がなかば放心状態で見守る中、米欧(日)にとって、先月まで仇敵(悪)だった勢力が、いつの間にか味方になっている。

 ロシアも中国も、冷戦終結や米中国交正常化の後、米国にとって「同盟国」でないが、もはや敵ではなく、国際政治を動かすために必要不可欠な大国と認知されている。学校で習う「正史」だと、冷戦終結はソ連が経済崩壊とともに米国敵視をやめたから起きたとされているが、実のところ、冷戦の恒久化を画策していたのは米英の方であり、ソ連は50年代から冷戦を終わらせたがっていた。問われるべきは、米国がソ連敵視の冷戦を終わらせた理由の方だが、「正史」には、その問いすら書いていない。

 70年代の米中国交正常化も、米国のベトナム敗戦で中ソが結束するのを防ぐためとされているが、中国は、米国と関係が悪いままだったとしても、すでに経済崩壊しつつあったソ連との関係改善を望まなかっただろう。米国の上層部の一部は第二次大戦後、米中関係の改善を画策していたが朝鮮戦争の勃発によって阻まれた過去があり、米中国交正常化は、ベトナム敗戦を機に、その画策を20年ぶりに再開したものと考えるのが自然だ。もちろんそんなことも「正史」には書いていない。 (世界多極化:ニクソン戦略の完成)

 私の戦後世界史の読み方は、米国の上層部に、英国から引き継いだ(もしくは英国のエージェントたる)戦略としての「ユーラシア包囲網による単独覇権戦略」の方向性と、第一次大戦前からの米国本来の戦略としての「多極化戦略」(各大陸、各地域ごとに覇権国があり、国連などで談合して世界を運営する)の方向性があり、これらの相克や葛藤により、米国が一見不可解な動きを繰り返すというものだ。 (歴史を繰り返させる人々)

 単独覇権型だと、世界の発展地域がユーラシア周縁部などに限定され(日本はそれで満足だが)、封じ込められた中国など途上諸国の経済がいつまでも成長せず、世界規模で経済成長を最大化・永続化したい米国の資本家層は、隠れ多極主義を重視したと考えられる。戦後、英国主導で単独覇権戦略の具現化として冷戦が起こり、米政界は圧倒的に冷戦派(軍産複合体など)に席巻されたため、多極化戦略は地下に潜ったようなかたちになった。そのため、多極化戦略である米中和解や米ソ和解は、謀略的な「隠れ多極化」の策として行われた。だから、これらの和解には正当な説明がないままになっていると私は考えている。 (多極化の本質を考える)

 世界では今、1989年の米ソ和解や72年の米中和解に匹敵する、地政学的な戦略の大転換が、米国とイランの和解によって起きている。今回の米イラン和解は、米ソ和解や米中和解と同様、敵対から和解への大転換に関する「正史」的な説明がないまま、人々がなかば放心状態で見守る中、進行している。不自然なシリア空爆騒動を契機に、多極型世界体制の重鎮であるロシアの台頭が誘発され、さらに、米国の覇権を崩したがっているイランが、米国によって、国際社会の敵から味方へと転換されつつある。今起きている一連の動きは、オバマ政権による、隠れ多極主義の戦略であるという考えが成り立つ。 (多極的協調の時代へ)

 露中に比べてイランは小国だと思うかもしれないが、それは間違いだ。イランはイスラム世界のシーア派の雄で、中東の4大国(イラン、トルコ、サウジアラビア、エジプト)の一つであり、中央アジア、コーカサス南部、ペルシャ湾岸、イラク、アフガニスタン西部、シリア、レバノン、ガザなどに影響力を持っている。イランが裏で画策していると思われるバーレーンのシーア派民衆の民主化運動が成就して、バーレーンのスンニ派王政が倒れると、すぐとなりのサウジアラビア東部(シーア派が多数派)が混乱に陥る。 (ユーラシアの逆転)

 ここ10年以上、米国の世界戦略は中東が中心であるだけに、すでに現状で、国際政治におけるイランの影響力は(対米従属中毒で自閉傾向が増している)日本より、かなり大きい。日本は従来の米国覇権体制の永続を祈願するだけなので何もしないが、イランは覇権体制を自国にとって有利な多極型に転換したいので活発に動く。日本よりイランの国際影響力が大きいのは当然だ。イランが制裁を解かれ、国際政界で自由に活動できるようになると、米国の単独覇権体制を崩し、覇権の多極化が加速する。 (イラン危機が多極化を加速する)

 これまでのところ、米イランの和解は、9月17日からニューヨークの国連本部で開かれた国連総会を舞台に起きている。国連総会に出席したイランのロハニ大統領やザリフ外相は、これまでイランを敵視してきた米欧などの諸国の首脳や高官と相次いで会った。その多くが、1979年のイスラム革命以来のことだ。イランの核問題を協議する会議が初めて外相級で開かれ、10月15日の次回ジュネーブ会議で、さらに具体的なことを話すことになった。オバマはロハニと会わなかったが、帰国する直前のロハニに電話をかけ、外相級の話し合いで協調を深めていくことで合意した。米イラン首脳の電話会談は1979年以来だ。 (Rouhani, Obama speak on phone) (◆イランを再受容した国際社会)

 イラン核問題は、核の平和利用を続けるイランに「核兵器開発」の濡れ衣をかけ、NPT加盟のすべての国に許されるはずの核の平和利用をイランに許さず、イランを怒らせて交渉不能な事態を長期化する米イスラエル主導の策略だった。今回、イランと米欧外相らとの会談の中で、米欧側はイランの核の平和利用権を認めており、すでに問題の一部が解決されている。 (歪曲続くイラン核問題)

 米国がイランと和解する気になった背景には、オバマ政権のシリア空爆策の失敗がある。オバマは、国連の現地調査が終わる前なのに、化学兵器を使ったのはシリア政府軍だと決めつけ、すぐにでもシリアを空爆すると決めた。この過剰に無謀な策は、当然ながら世界の反発に遭い、米国に追従しようとした英国政府は議会で戦略を画期的に否決され、米国の議会も大統領の戦争戦略を否決しようとする前代未聞の動きに出た。 (◆シリア空爆策の崩壊)

 行き詰まったオバマ政権はロシアに頼り、ロシア(露米)主導でシリアに化学兵器を廃棄させ、シリア空爆の必要性を消すことで、米国の威信を保つことにした。シリア政府は、化学兵器放棄の見返りに、国際社会に受け入れられることになり、内戦を終わらせる和平会議が開かれることになった。そして、シリア安定のために国際社会が協力を要請せねばならない国の一つとして、シリア政府が頼ってきたイランが注目され、米国や国際社会がイランと和解することになった。 (プーチンが米国とイランを和解させる?)

 このように書くとスムーズな展開に見えるが、米国の威信を保つためシリア空爆の必要性を消す策だけなら、米国がイランと和解するところまでやらねばならないのは不可解だ。そもそも、国連の調査が終わらないうちに、シリア政府が化学兵器使用の犯人だと決めつけて空爆する策は、最初から失敗が見えていた。もしオバマが、最初から失敗するつもりで過激な空爆策に取りかかり、案の定失敗するや、万策尽きたと言ってロシアに頼ったのであれば、シリア政府を許す流れに乗ってイランまで許し、イランを敵から味方に大転換させる策を、隠れた戦略として、意図的に展開したと考えられる。 (◆米英覇権を自滅させるシリア空爆騒動)

 マスコミのプロパガンダを信じて「国連は結局、シリア政府の化学兵器使用を示唆する報告書を出しましたよ。犯人はシリア政府なので、オバマの空爆策は正しかった」と言う人がいるかもしれない。しかし、国連の報告書を精査した分析者によると、化学兵器が使われたとされる2つの地域の一方で、攻撃を受けたとされる市民の毛髪などからは、サリンの痕跡が見つかっているものの、国連が採取した土壌に化学兵器(サリン)の痕跡がまったく見つからず、同地域を支配する反政府勢力が、政府軍の仕業に仕立てるため、他の地域の被害者を連れてきて国連にサンプル採取させた疑いがあるという。反政府勢力は今年3月などに化学兵器を使った過去があるうえ、内戦で反政府勢力の支配地域が動いており、反政府勢力が使った化学兵器の被害者を、反政府勢力自身が連れてきて国連に見せることが起こりうる。 (Questions Plague UN Report on Syria) (無実のシリアを空爆する)

 米国がシリア敵視をやめて、ロシア主導でアサド政権が許される方向に転換した直後、アサドと内戦をしていたシリア反政府派が仲間割れで急速に崩壊し始めた。シリア反政府派は、上層部のシリア国民評議会(SNC)がトルコなどに亡命中の米国傀儡勢力である半面、シリア国内で戦っている勢力の大半は、米国をも敵視するアルカイダなどイスラム主義武装勢力だ。武装勢力の中の最有力な3派を含む13派は最近、米国とSNCを見限り、アルカイダの仲間になって別の統一戦線を組むと宣言した。 (Syrian Rebels Spurn Coalition, Call for Islamist Leadership)

 反政府諸派が自分らをアルカイダ系であると宣言したのは、米国のケリー国務長官が議会で「シリア反政府派は世俗系(非イスラム)勢力が大半なので、米国が支持するに値する」と証言した直後で、ケリーのウソがばれることになった。シリア反政府派の大半はイスラム主義系である。米政界では「反政府派の主力がアルカイダだとわかった以上、支持するのをやめるべきだ」との主張が広がっている。 (US Syria plans face setback as key rebels break from coalition)

 今後開催予定のシリア和平会議で、米政府は「世俗派」であるはずのシリア反政府派を支持し、アサド大統領を辞任させて選挙を行い、反政府派を勝たせる方向に持っていくつもりだった。しかし、反政府派がアルカイダであることが鮮明になるにつれ、米国は、シリア和平会議で支持する勢力がいなくなり、シリアの和平自体への関与が希薄になり、アサド政権を支持するロシアやイランにとって好都合な結果になりそうだ。 (Syria opposition group shaken by rebel rejection)

 シリア反政府派の主力がアルカイダなど反米のイスラム勢力であることは、以前から良く知られていた。アルカイダの生みの親であるCIAを擁する米政府が知らなかったはずがない。米政界の好戦派(単独覇権主義者、軍産複合体、英イスラエルのエージェント)の好きなようにさせるふりをしてそれを過激に、過剰にやって失敗に導き、最後の段階で、好戦派の仇敵で隠れ多極主義者がこっそり支持するロシアや中国、イランなどの台頭を誘発する。それは、イラクやアフガニスタンへの侵攻の結果としても起きたことだ。 (シリア虐殺の嘘) (シリアに化学兵器の濡れ衣をかけて侵攻する?)

 イランのロハニ大統領は、国連総会の演説で、イランが核兵器開発をしていないことをあらためて宣言し、返す刀で、世界中のすべての国が核兵器を放棄すべきだと、世界的核廃絶を提唱した。イランは、先代のアハマディネジャド大統領の時代から世界核廃絶を提唱し、広島長崎の教訓から世界核廃絶を提唱してきた日本に共闘を呼びかけたこともある(対米従属の日本政府は、米国の仇敵イランの接近をもちろん無視した)。世界核廃絶は、オバマがノーベル賞をもらったテーマでもある。オバマがやろうとして国内の好戦派に阻止され、日本が無視する世界核廃絶を、国際社会に再受容されたイランが、世界に呼びかけている。オバマとイランは、いつの間にか「同志」になっている。 (善悪が逆転するイラン核問題)

 ロハニは国連演説で、特にイスラエルに対して核廃絶を求めた。米欧日の新聞ではイランの核武装ばかりが問題にされてきたが、実のところ、中東で唯一の核兵器保有国はイスラエルである。ロハニがイスラエルに核廃絶を求めるのと同期して、奇妙なことに、米国のマスコミが、イスラエルに核廃絶をうながす論調を流し始めた。ニューヨークタイムスは9月19日、イスラエルに核廃棄をうながす社説を掲載した。しかも米政界のイスラエル系傀儡勢力に気兼ねしてか、米国内で配られる紙の新聞には載せず、世界に流布するネット版にのみ、この社説を掲載した。 (NYTimes Op-Ed Never Appeared in US Edition)

「イスラエル人の多くが、ロハニと同様、自国の核について明らかにすべきだと思っている」「世界中がイスラエルの核保有を知っているのに曖昧にしておくのは非現実的だ」「イランがイスラエル国家の存続を認めるなら、イスラエルは核兵器を放棄しても良いのでないか」といった主張も、米国のシンクタンクから出てきた。 (It's Not Just Rouhani. Many Israelis Want to Come Clean About Their Nukes, Too)

 ロハニが国連演説でイスラエルに核廃絶を求めたのは、米国のケリーがイランのザリフ外相と会談する数時間前だった。従来の米国なら、イスラエルに気兼ねして、ケリーとザリフの外相会談を取りやめただろうが、今回はそんなこともしなかった。むしろオバマは国連演説で、パレスチナ問題(イスラエルによる占領問題)とイラン核問題を並列にして語り、イスラエルとイランを同格の「問題」として扱った。 (Hours before Iran FM meets Kerry || Rohani calls on Israel to sign Nuclear NPT)

 イスラエルのハアレツ紙によると、オバマの国連演説が意味するところは、イランが核兵器開発を放棄したら、イスラエルは西岸のユダヤ人入植地を放棄してパレスチナ国家の創設を実現し、アラブやイランはイスラエルをユダヤ人国家として認め(イスラエルを潰してアラブ人の国を作る目標を棄て)、イスラエルとイスラム諸国が和解して中東の安定化を実現するという構想だという。 (Obama's package deal: Nuke-free Iran for Palestinian state)

 シリアが化学兵器を廃棄し、イランが国際社会に再受容されてイラン核問題が解決する(濡れ衣が解かれる)と、次に問題になるのが、イスラエルによる核兵器と化学兵器の保有と、西岸入植地の問題だろう。イスラエルが大量破壊兵器と西岸の違法入植地を放棄すれば、アラブやイランと和解して国家存続できる。だが逆に、従来のように、大量破壊兵器と違法入植地に固執すると、イスラム世界からの敵視が続き、多極化する世界の地域覇権国であるBRICSなどから敵視されるだけでなく、米国から見放され、最後はヒズボラやハマスから消耗戦を仕掛けられて滅亡しかねない。 (Senior Israeli minister criticizes Israeli boycott of Iranian leader's speech at UN) (イランとイスラエルを戦争させる)

 このような二者択一は、イスラエル政界を牛耳って入植地を拡大させてきたイスラエル右派を屈服させ、パレスチナ和平を進めて中東を安定化するために描かれた「書き割り」「舞台背景」とも言える。イスラエルのネタニヤフ政権は以前から、パレスチナ和平をしてイスラム世界と和解することで国家存続しようと考えてきた。だが国内や米国の政界を牛耳る好戦派(右派)が入植地の撤去を拒否し、むしろ入植地を拡大させたのでパレスチナ国家を創設できず、イスラエルを亡国の方に追い込んでいた。 (Good news and bad news for Israel in the new 'Obama Doctrine' for the Mideast)

 オバマのシリア騒動策により米国とイランと和解したことで、右派に入植地を撤退させる圧力が一気に強まり、イスラエルは国家存続の可能性が急に増している。米政府は9月25日、イスラエルとパレスチナが集中して交渉することになったと発表した。これまでの実務者協議に加え、新たにネタニヤフとアッバースが定期的にトップ会談することになった。これは実のところ、以前からネタニヤフが望んでいたことだ。イランの台頭はイスラエルの亡国だと報じられてきたが、実は逆だった。 (Kerry: Agreement to Intensify Israel-Palestinian Talks) (シリア空爆騒動とイスラエル)

 イスラエル右派の政治組織AIPACは、これまで米政界を牛耳ってきたが、シリア空爆騒動を機に牙を抜かれた。空爆騒動の当初、AIPACは静観の構えだった。米国がシリア政府軍を空爆してアルカイダを応援することがイスラエルの国益に反するからだった。しかし米議会でシリア空爆への反発が強まり、オバマが窮した9月2日、ホワイトハウスがAIPACに米議会への加圧を要請し、翌日からAIPACの250人の要員が議員に面会し、シリア空爆を支持しろと求めた。しかし、有権者の強い反対を背にした議会の多くは動かず、逆に「やはりシリア空爆策の黒幕はイスラエルなのだ」という見方だけが米国の政界や言論界に広がり、AIPACは悪者にされて終わった。これまでイスラエル右派に苦労させられてきたオバマは、AIPACを引っかけて一矢報いたことになる。 (AIPAC makes big push on Syria military action) (ユダヤロビーの敗北)」

http://www.tanakanews.com/130930iran.htm

麻生副総理の、ナチスに倣え発言について

2013-10-01 21:21:25 | 政治
「【 麻生副総理のナチス発言、対する世界の反応 】

近隣諸国と人権問題の活動家などから、猛烈な抗議

AFP通信 / フランス24 8月1日

日本の麻生太郎財務大臣は、日本は第二次世界大戦前、ナチス・ドイツが憲法を国民が気づかないように変更してしまった、その手法を真似るべきであると発言したことが、大きな反響を呼んだため、8月1日、その発言を撤回しました。
この発言に対しては近隣諸国と人権問題の活動家などから、猛烈な抗議が寄せられました。

麻生外務大臣の発言は、第二次世界大戦以前にナチスが国民が気づかぬよう密かに憲法を変えてしまった手法を学ぶべきであると発言した以前にも、日本の政治家は論議の的にされないよう、靖国神社への参拝は秘密裏に行うべきであると発言し、批判を浴びていました。

1日の記者会見の席で、麻生外相は自分が誤解されていると語り、第二次世界大戦後に制定された現憲法の改正論議が「喧騒にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例」とならないように、というのが自分の真意だと語りました。
「ナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である。」と、語り、「意見を撤回したい。」と語りました。

副総理も勤める麻生財務大臣がナチス・ドイツに関わるこの発言を行ったのは、1日月曜日、超保守派の政治家によって組織される国家基本問題研究所月例研究会の席上においてでした。

自衛隊
現在政権の座にある自民党に対し批判的な立場の人々は、戦後アメリカの影響を受けて制定された現在の憲法を改定し、強力な軍隊を持つことを可能にしようとしている自民党の姿勢に懸念を深めています。

第二次世界大戦中、日本がアジアの広大な地域を、そしてドイツがヨーロッパの広大な地域を占領下においたタイミングで、両国は軍事同盟を結びました。
そして1945年、この戦争が彼らの敗北に終わるまでに、ドイツ人種至上主義者のナチス・ドイツは約600万人ものユダヤ人の虐殺を行ったのです。

1910年に朝鮮半島を植民地化して以降、アジア各地で日本が行った軍事行動の数々が、現在この国の憲法が軍事力の保持を制限する理由になっています。

朝日新聞の英語版に掲載された発言記録を見ると、かつて麻生副総理は、自民党が提案内容について『静かに、広範な』議論を行ったにもかかわらず、年配の日本人の間で平和憲法改定への支持が少ないことを批判したこともありました。

「私は、憲法改正が喧騒にまぎれて、十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまう事を望みません。」
公表された正式のコメントの中で、麻生氏はこう述べています。

憲法改定は国民の間から広範な抵抗を呼びかねず、である以上「ナチス・ドイツはある日、誰にも気づかれないうちにワイマール共和国憲法をナチス憲法に書き換えてしまった。こうした戦術を我々も参考にすべきではないのか?」

安倍政権の菅官房長官は、この問題について以下のように語りました。
「安倍晋三内閣としてナチス政権を肯定的にとらえるようなことは断じてない。日本は戦後、一貫して平和と人権を徹底的に擁護する社会を築き上げた。」
「この方針に変更は無く、尚も前進させていきます。」
菅幹事長はこう付け加えました。

麻生氏はこれまでにも放言が多く、そのたびごとに物議を醸してきました。
以下はその不用意な発言の数々です。

高齢者は日本社会のお荷物だと語り、謝罪したこともあります。
アルツハイマー患者を冗談の種にし(2008)、「独断と偏見かもしれないが、私は金持ちのユダヤ人が住みたくなる国が一番いい国だと思っている」と発言(2008)、また対立する民主党をナチスに例える発言(2008)を行ったこともあります。

1日木曜日麻生副総理は「十分な国民的理解や議論のないまま進んでしまった悪しき例として」ナチス政権を引き合いに出したのだと主張しました。

発言の経緯を詳しく見てみれば「ナチスやワイマール憲法の経緯を極めて否定的にとらえていることは発言全体からでは明らかである。」とも語りました。

「日本国憲法は国民全員のためのものであり、その改正論議を喧騒にまぎれて行うべきではないと考えている。」

Nazi01
1929年に始まった世界恐慌によってドイツ経済は破滅の瀬戸際に追い詰められ、ワイマール憲法は一時的に停止され、それを利用してヒトラーのナチス・ドイツは1930年代初頭、政権の基礎固めを一気に進めていったのです。

※ヒトラー内閣成立後間もない2月22日、国会議事堂放火事件が発生した。ヒトラーはヒンデンブルクに迫って民族と国家防衛のための大統領令とドイツ国民への裏切りと反逆的策動に対する大統領令の二つの大統領令(ドイツ国会火災規則)を発出させた。これにより、ヴァイマル憲法が規定していた基本的人権に関する条項、114、115、117、118、123、124、153の各条項は停止された。

ヒトラーとナチ党はこの大統領令を利用し、反対派政党議員の逮捕、そして他党への強迫材料とした。また地方政府をクーデターで倒し、各州政府はナチ党の手に落ちていった。〈ウィキペディア〉

そして1933年、アドルフ・ヒットラーは首相として、国家の全権を掌握してしまったのです。
この時は憲法を改定した訳では無く、諸制度を悪用したというべきでしょう。

野党各党の指導者は、麻生副総理の発言が正しい歴史認識を書き、国際社会における国家の利益を損なったとして批判しました。
麻生副総理の辞任を求める声もあります。

野党民主党の大畠章宏幹事長は麻生発言について
「ナチス政権の行為を賞賛しているとしか受け取れず、全く理解できません。」

社民党の又市征治党首代行は、次のように批判しました。
「麻生氏の史実に対する無知が明らかです。」
「ヨーロッパ各国においては、ナチス政権を賞賛すること自体が、犯罪にあたることを教えてやりたい思いでいます。」

ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を歴史にとどめ置くためのサイモン・ヴィーゼンタール・センターは、麻生氏に対し、ただちに発言の真意を明らかにするように迫りました。

「いったいどんなテクニックについて、ナチスに学ぶべき点があるというのか?民主主義を密かに破壊するためか?」
サイモン・ヴィーゼンタール・センターの副代表を務める、アブラハム・クーパー牧師(ユダヤ教のラビ)は、声明の中で怒りをあらわにしました。

「麻生副首相は、ナスス・ドイツの力への信奉が、第二次世界大戦当時の世界をたちまちに言葉には出来ない程の恐ろしい闇の中へと引きずり込み、あらゆる場所で人間性を破壊していったことを、もう忘れてしまったのでしょうか?」

韓国外務省のスポークスマンは、麻生発言が
「世界中の人々を傷つけてしまったことは明らかだ。」とコメントしました。
「日本の意政治指導者は、その発言と行動について、もっと慎重であるべきだと考えます。」

同じく第二次世界大戦前から日本帝国の軍隊による侵略と占領を受けた歴史を持つ中国の、外務省のスポークスマンは麻生発言が
「日本の成長と発展が、いったいどこに向かっているのか」
アジアの近隣諸国と世界各国が、日本に対する警戒レベルを上げる必要がある事を伝えるものだと語りました。

同スポークスマンは、戦争犯罪者として有罪判決を受けた14人の太平洋戦争を推進した指導者も含め、230万人の日本人戦没者を祀る靖国神社参拝に関する麻生発言についても批判しました。

麻生氏は日本の国会議員たちに国際問題にならないよう、世界がその訪問を注視している8月15日前後を避けて、靖国神社を参拝するよう訴えました。

中国外務省のスポークスマンは最後にこう語りました。
「我々は日本が過去に行った歴史認識に対する約束事を守り、もっと真摯な態度で過去の歴史に向き合うよう要求します。そしてアジアの近隣諸国と国際社会の信頼を得られるよう、具体的措置を採るよう求めます。」

http://www.france24.com/en/20130801-japanese-minister-retracts-nazi-example-constitution-taro-aso

http://kobajun.chips.jp/?p=13097

今の日本の政治とは…

2013-09-28 23:07:45 | 政治
 「副総理兼財務大臣である麻生太郎は先ごろの講演で、「ナチスの手口」に学んで憲法を改定しようと語った。聴衆席の政治家や財界人たちはゲラゲラと笑ってこの発言を迎えた。この野卑さと軽薄さこそが耐えがたい。これこそがファシズムの温床である。だが、日本社会で麻生発言を追及する声は弱々しい。

 「きっと、こうだったのだろうな」と私は思う。白バラの学生たちが生きた時代、彼らを「きわみない孤独」へと追いやった空気も、きっとこうだったのだろう。」
(徐京植)

以上は http://japan.hani.co.kr/arti/culture/15669.html より。

 日本にも反戦反軍活動した人たちはいたのに。今の日本は彼らを顧みようともしない。外地で殺戮し、敗戦後はアメリカにおもねり傀儡になる。そんな人間が支配者となっているのが今の日本。

 そんな連中の歴史認識や政治意識が「日本」の歴史認識とされ、政治理念とされる。それを傀儡の雇い主アメリカが活用する。

 当然そのような歴史認識が中国や韓国の懸念を呼び起こさないわけがないので、深刻な外交問題となる。 私たちは恥じるべきだ。

 そういえば日本の歴史教科書に、戦時中言論の自由を求めた横浜事件や、中国の反戦兵士のことなど1行も出てこない。日本人の、日本の歴史なのに。

 要領のいい人間。傀儡に簡単になれる人間。道徳性を書いた人間。金と権力以外に判断基準のない人間。こういう人たちが戦後政治を担ってきた。

 の最悪の後継者が、安倍、麻生だ。そうもう一つ付け加えるべきことは、彼らが知的能力に欠けるということ。だから官僚に自分の頭脳になってもらう必要がある。かくして官僚-政権の安定して関係が生まれ、財界に支えられて、かつての黄金のトライアングルが再現される。

 そこから生まれる経済政策は、既得権益層へのばらまき以外の何物でもないことは明白。付け加わったものは、TPP参加。傀儡らしい政策ですね。

[書斎の中の古典] ‘白バラ’を記憶したその多くの日本人はどこへ行ったか

2013-09-28 22:16:54 | 政治
 徐京植(ソ・ギョンシク)東京経済大教授のコラムです。大切なことが書かれているように思います。

「数日前からミュンヘンに来ている。ヤン・ヘギュさんの招請により、9月13日に当地のハウス・デア・クンスト(芸術の家)で講演するためだ。ハウス・デア・クンストは1933年に政権をとったヒトラーの指示によって建設された、代表的なナチス様式の建築物である。定礎式はヒトラー列席のもと、1933年10月15日に行われた。ここで、1937年、第一回「大ドイツ芸術展」が開催された。つまりこの美術館はナチス・ドイツの芸術的国威発揚の象徴だった。その美術館で、私が「ディアスポラの生」というテーマで、プリーモ・レーヴィ、エドワード・サイード、そして在日朝鮮人について語るわけである。聴衆はどんな反応を見せるだろうか?

ミュンヘン到着の翌日、私はまず、ミュンヘン大学に向かった。

 この都市には今までも何回か訪れたが、最初は1984年だった。30年近く前のことだ。この都市にあるアルテ・ピナコテーク(古典絵画館)でデューラーやクラナッハの名作を見ること、レーエンバッハ美術館でカンディンスキーを見ることが大きな目的だった。この都市近郊のダッハウにはナチスが最初に建設した強制収容所が博物館として保存されていることは意識していたが、正直に告白すると、その時の私は、そんな場所には行きたくなかった。韓国は光州5・18の記憶も生々しいまま依然として軍政の支配下にあったし、私の兄二人は釈放の見込みもないまま獄中にあった。その息苦しい現実から束の間でも外界の空気を吸いたくてはるばるやって来たのに、わざわざ強制収容所を見に行くなんて…。

 美しく整頓されたミュンヘンの市街を散歩していて、大学らしい建物の前を通りがかった。道路標識を見ると、「Geschwister-Scholl-Platz」とあった。「ショル兄妹広場」という意味である。すぐに、それが白バラ抵抗運動の中心メンバーであったハンスとゾフィーのことだと気づいた。その記憶を長くとどめるために、かれらが学んだミュンヘン大学前の広場をそう名付けたのである。「忘れるな、眼をそむけるな」…行きずりの旅人である私にもそう語りかけているようだった。その夜、ミュンヘン中央駅近くの安ホテルで眠れないまま過ごした私は、翌朝、何かに無理やり引きずられるようにしてダッハウに向かったのである。その後の10数年間で私はアウシュヴィッツをはじめ数々の強制収容所跡を訪ね歩いたが、この時がその始まりだった。

 30年前のその記憶をなぞるように、私はまた、今回のミュンヘン滞在をショル兄妹広場から始めることにしたのである。

 白バラ事件はナチス支配下における事件である。白バラに参加した学生はフランス侵攻や東部戦線に従軍したドイツ陸軍の帰還兵であった。彼らはポーランドのユダヤ人居住地区の状況や東部戦線における惨状を目撃して反戦の決意を固め、スターリングラードにおけるドイツ軍敗退によりドイツの敗北を予感した。彼らは1942年から1943年にかけて6種類のビラを作成し、ひそかに配布した。最初のビラはこう書き出されている。

 「何よりも文化民族にふさわしくないことは、抵抗することもなく、無責任で盲目的な衝動に駆りたてられた専制の徒に「統治」を委ねることである。現状はまさに、誠実なドイツ人はみなみずからの政府を恥じているのではないか?」

 最後のものとなったビラは1943年2月14日と16日夜にミュンヘン市内でまかれたが、まだかなり残っていた。そこで、2月18日午前、ショル兄妹は大学へ行き、まだ閉まっている講義室の前と廊下にビラを置き、最後に残ったビラを持って3階に行き、ゾフィーが吹き抜けにばらまいた。この時彼女はナチス党員である大学用務員に発見され拘束された。兄妹はあらかじめ逮捕を覚悟していたように、すこしも騒がず、その場で静かに拘束された。その後白バラのメンバーはゲシュタポに逮捕され、ショル兄妹のほか、クリストフ・プロープスト、ヴィリー・グラーフ、アレクサンダー・シュモレルの3人の学生、およびクルト・フーバー教授ら5名が処刑された。

最後のビラがまかれた広いホールに入ってみると、そこでは生物学関係の国際学会が開かれていて、学生や若い研究者が活発に行き交っていた。その場所のどこかにゾフィー・ショルを記念する彫刻があるはずなのだが、すぐにはその位置がわからなかった。通りがかった人の良さそうな人物に尋ねると、彼は「自分にはわからない」と申し訳なさそうに英語で答えた。「自分はイギリスから来たから」と。それから数分後、その好人物は人混みを掻き分けて戻って来て、「あっちだ、あっちだ」とわざわざ教えてくれた。彼の指差した一角の壁にゾフィー・ショルの胸像があり、その角を曲がった裏には展示室もあった。彼らはまだ、「忘れるな、眼をそむけるな」と語りかけ続けている。

 『白バラは散らず』は、戦後まで生き延びたショル兄妹の姉インゲが綴った回想記である。ドイツ文学者の内垣啓一(うちがきけいいち)が1953年、偶然ドイツで原書を手にし、帰国後すすんで翻訳したものである。1955年に初版が、1964年に改訂版が刊行された。白バラ抵抗運動について日本では今日まで数多くの文献が刊行されたが、本書がその最初のものである。戦後に日本において、民主主義と平和を志向する若者たちの必読書となった。

 私の手もとにあるのは改訂版第9刷で、1971年刊である。それは私が大学3年生になった年、兄たちが韓国で逮捕・投獄された年だ。当時、私は祖国の獄中にある兄たちやその他無数の政治犯たちを反ナチ抵抗運動に参与して犠牲となったドイツの学生たちに重ねて想像していた。

ショル兄妹とプロープストはローラント・フライスラーが裁判長を務める民族裁判所で裁かれた。それをあえて「裁き」と呼ぶならば。

 ゾフィーは取り調べの後もぐっすり眠り、民族裁判所では参審員に向かって「私たちの頭はきょう落ちますが、あなたがたのも後から続いて落ちますよ」と言った。兄ハンスは傍聴に駆けつけた弟の肩に手を置いて「しっかりしろ、一歩も譲らなかったぞ」と語りかけた。彼らの父は反ヒトラー的な言動を職場の女事務員に密告されて懲役4か月を宣告された人物である。その父は傍聴席から叫んだ。「まだ別の正義があるぞ!」

 ショル兄妹とプロープストに死刑判決が下された。「被告はビラの中で、戦時において武器生産のサボタージュを呼びかけ、わが民族の国家社会主義的生活を打倒し、敗北主義を宣伝し、われらの総統を口汚く罵り、国家の敵に利する行いをし、我々の防衛力を弱めんとした。それゆえに死刑に処せられる。」

3人は即日、斬首された。処刑を前にしてゾフィーは同房の女性にこう語った。

「私は死ぬことなんてなんでもないわ。私たちの行動が何千人もの心を揺すぶり覚ますんですもの。きっと学生の間で反乱が起こるわ。」

 同房の女性は続けてこう回想している。「おおゾフィー、あなたはまだ知らないのだ。人間がどれほど臆病な家畜であるかを。」事実、学生の反乱は起こらなかった。それどころか、3人の処刑3日後、大学講堂に集まった学生中隊は「白バラ」を罵倒する学生指導者の演説に歓声をあげ、ショル兄妹をゲシュタポに引き渡した用務員を賞賛したのである。

日本の自民党は現在、憲法の改定を進めようとしている。その草案骨子は自衛隊を国防軍に改め、国民の基本的人権を抑圧し、外国人の人権を明確に否定する内容である。現行憲法の「拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」という条文から「絶対に」を削除していることが、この改憲案の本質を露骨に物語っている。


 副総理兼財務大臣である麻生太郎は先ごろの講演で、「ナチスの手口」に学んで憲法を改定しようと語った。聴衆席の政治家や財界人たちはゲラゲラと笑ってこの発言を迎えた。この野卑さと軽薄さこそが耐えがたい。これこそがファシズムの温床である。だが、日本社会で麻生発言を追及する声は弱々しい。「きっと、こうだったのだろうな」と私は思う。白バラの学生たちが生きた時代、彼らを「きわみない孤独」へと追いやった空気も、きっとこうだったのだろう。

「いつになったら、いったいいつ国家は、その最高の務めがただ何百万という無名の人たちのわずかな幸福にあることを認めるのであろう? そしていつ国家は、平和へのぜんぜん目立たないが苦労の多い歩みこそ、個人にとってもまた諸民族にとっても戦場での大勝利よりもはるかに偉大であることを見抜くのだろう?」『白バラは散らず』の一節である。ほんとうに、いったいいつ?

韓国語原文入力:2013/09/22 19:23
http://www.hani.co.kr/arti/culture/book/604090.html (3723字)」

http://japan.hani.co.kr/arti/culture/15669.html