べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

balance

2009年06月21日 13時56分13秒 | 掌のものがたり

あの月はこれから
満ちていくのかしら
それとも欠けていくのかしら

いつのことだったか
ふと歩みをとめたきみは夜空を見上げ
消え入るような声でつぶやいた

そのやわらかな視線の先には
もぎたてのレモンのような月が
所在なさげに浮かんでいたっけ

蜜色の光に照らされたものうげな横顔
ぼくの心に小石が投げ入れられた瞬間だった
波紋は音もなく緩やかにひろがっていった

・・・・・・・・・

あれからぼくらの関係は
満ちることも欠けることもなく曖昧なまま
たゆたうようにここにある

けれど
これくらいがちょうどいい
たいせつな何かが壊れてしまわないように

このままずっと
満ちることも欠けることもなく
そっと そっと




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コメント
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