あの月はこれから
満ちていくのかしら
それとも欠けていくのかしら
いつのことだったか
ふと歩みをとめたきみは夜空を見上げ
消え入るような声でつぶやいた
そのやわらかな視線の先には
もぎたてのレモンのような月が
所在なさげに浮かんでいたっけ
蜜色の光に照らされたものうげな横顔
ぼくの心に小石が投げ入れられた瞬間だった
波紋は音もなく緩やかにひろがっていった
・・・・・・・・・
あれからぼくらの関係は
満ちることも欠けることもなく曖昧なまま
たゆたうようにここにある
けれど
これくらいがちょうどいい
たいせつな何かが壊れてしまわないように
このままずっと
満ちることも欠けることもなく
そっと そっと
★picture:Nadia Clake★↓ポチッっとね