じっと耳を澄ませてみても
なにも応えてくださらない
すがるような眼ざしをむけても
その手がさしのべられることはありません
それでも季節は移ろい
生と死は
果てしなく繰り返されているのです
ひとの手のおよばぬところで
たとえば
新緑の薫り
匂いたつ花々
炎天下の草いきれ
熟れた果実の芳香
それは繰り返される生命(いのち)の印し・・・
じっと耳を澄ませてみても
なにも応えてくださらない
すがるような眼ざしをむけても
その手がさしのべられることはありません
それでも
土が
雨が
大気が薫る
それらの匂いは
空と海と大地が息づく証なのです
なにも語りかけてくださらずとも
その御手をさし伸べてくださらずとも
感じることがあるのです
世界の息吹を
たしかに大きな意思の在(お)わしますことを
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