飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの進化の歴史 14

2012-07-05 19:33:20 | ハング(hangglider)

フォイルで採用されていた、メインバテンとアンダーバテンをつなげるベルクロ‥。

これはいったいどのような効果があるのか、今回はご説明します。

002 以前、マライヤという初めてのダブルサーフェース機をご紹介して、そのグライダーはアンダーバテンを使用していなかったがために、ピッチ安定が無くなり墜落事故が続発したことをご紹介しました。

そしてマライヤは、アンダーバテンを入れることによって、グライダーがピッチ不安定に陥った時に生じるアンダーセールの膨らみを防止し、安定を保つことが出来るようになりました。

つまり、ハンググライダーにとって、アンダーセールが膨らむということはとても危険なことなのです。

アンダーバテンが開発されて以降、長い間ずっとアンダーセールが膨らむ現象を防止するには、アンダーバテンだけに頼っていました。

しかし、アルミのアンダーバテンとて、十二分な剛性を持っているわけではありません。

やはり、ピッチの安定が無くなり、急激な加速が生じると、アルミのアンダーバテンも少なからず変形してしまうのです。

そして、そのわずかな変形でも、ハンググライダーを不安定にしていたのです。

このアンダーバテンの変形を押さえて、更にピッチ安定を良くするために考え出されたのが、メインバテンとアンダーバテンをつなぐベルクロだったのです。

メインバテンは湾曲していて、剛性もしっかりしていますから、これにアンダーバテンをベルクロでつなげれば、アンダーバテンの変形も抑えられ、ピッチ安定がしっかりしてくるのです。

フォイルで採用されたこのベルクロは、瞬く間に各メーカーのグライダーに浸透し、ハンググライダーはより高性能で安全なものへと変わりました。

今のハンググライダーは、必ずと言っていいほど、アンダーバテンとメインバテンがベルクロでつなぎとめられています。

しかし、このベルクロも、その長さが適正に設定されていないと、その効果が期待できません。

適正なベルクロの長さは、飛行時に、張らず弛まずの状態です。

弛み過ぎれば、当然アンダーバテンの変形を押さえられないので、ピッチが不安定になります。

逆に張りすぎたときは、翼の自由な動きを束縛するため、コントロールが重くなります。

皆さん、注意してあげてくださいね!

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