フォイルで採用されていた、メインバテンとアンダーバテンをつなげるベルクロ‥。
これはいったいどのような効果があるのか、今回はご説明します。
以前、マライヤという初めてのダブルサーフェース機をご紹介して、そのグライダーはアンダーバテンを使用していなかったがために、ピッチ安定が無くなり墜落事故が続発したことをご紹介しました。
そしてマライヤは、アンダーバテンを入れることによって、グライダーがピッチ不安定に陥った時に生じるアンダーセールの膨らみを防止し、安定を保つことが出来るようになりました。
つまり、ハンググライダーにとって、アンダーセールが膨らむということはとても危険なことなのです。
アンダーバテンが開発されて以降、長い間ずっとアンダーセールが膨らむ現象を防止するには、アンダーバテンだけに頼っていました。
しかし、アルミのアンダーバテンとて、十二分な剛性を持っているわけではありません。
やはり、ピッチの安定が無くなり、急激な加速が生じると、アルミのアンダーバテンも少なからず変形してしまうのです。
そして、そのわずかな変形でも、ハンググライダーを不安定にしていたのです。
このアンダーバテンの変形を押さえて、更にピッチ安定を良くするために考え出されたのが、メインバテンとアンダーバテンをつなぐベルクロだったのです。
メインバテンは湾曲していて、剛性もしっかりしていますから、これにアンダーバテンをベルクロでつなげれば、アンダーバテンの変形も抑えられ、ピッチ安定がしっかりしてくるのです。
フォイルで採用されたこのベルクロは、瞬く間に各メーカーのグライダーに浸透し、ハンググライダーはより高性能で安全なものへと変わりました。
今のハンググライダーは、必ずと言っていいほど、アンダーバテンとメインバテンがベルクロでつなぎとめられています。
しかし、このベルクロも、その長さが適正に設定されていないと、その効果が期待できません。
適正なベルクロの長さは、飛行時に、張らず弛まずの状態です。
弛み過ぎれば、当然アンダーバテンの変形を押さえられないので、ピッチが不安定になります。
逆に張りすぎたときは、翼の自由な動きを束縛するため、コントロールが重くなります。
皆さん、注意してあげてくださいね!