日々の出来事

当院の出来事を紹介します

iPad

2010-06-11 19:36:44 | Weblog
アップルのiPadは、一代センセーションになっていますね。
私もすごく欲しいですが、今すぐ所持したい派ではないので、供給が安定したら入手したいと考えています。

先日テレビで、外科手術中にCT画像をiPadに映し出して、血管を確認しながら腫瘍の摘出をやっていました。無菌処置用のフィルムを巻いていたので、スマートな感じはしませんが、十分実用的だと感じました。肝臓の腫瘍摘出など、重大な血管が絡む疾患では、血管などの脈管の走行は手術の都合上、極めて重要な情報です。開けてみてから考えよう、という時代は終わったわけですね。

iPadの洗練されたデザインと機能は常識を変えてしまうかもしれません。
周辺のマック・フリークの方の中には、ノートもiPhoneも捨ててしまえ!と言い出している人もいます。
それは極端として、充電がもう少し増えないと不安な気がします。
本ではなく、電子書籍が普及する起爆剤になりそうな予感です。
医療の現場も激変しそうに感じています。

どこまでするか・・・その2

2010-06-11 00:07:16 | Weblog
またまた似たようなケースが来てしまいました。
不思議と同じような病気が続いて来ることがあるのです。
こういう事態を、業界用語で「流行病(はやりやまい)」と言います。

先日、初診で来て入院していた19歳の老猫ちゃん、腎臓が悪かったり肝機能障害があったりしました。
当初出ていた、ふらつく・涎(よだれ)が出る・食欲がないなどの症状は、肝性脳症や腎不全に関連したものかと考えていました。退院後に薬だけ取りに来られました。患者である猫が不在です。しかし、お話を伺えば、首が曲がってしまう斜頚という症状と、回旋、けいれん発作があったようでした。これは十分に脳の異常を疑う症状なんですね・・・。

鼓室包という部位の前庭障害という神経症状が明らかなように思えました。
本来なら、MRIを撮影して中耳炎や腫瘍を確認したいところです。
しかし、この飼い主さんは、猫が19歳と高齢であり、予算も限られているそうで、高度な医療は望まれない様子でした。
どこまでできるかと、どこまですべきか、どこまでしたいか、はオーナーさんによって差があります。
その要望に対し、話を合わせて可能な限りの医療を行うのが、動物病院の使命だと考えています。

獣医師としては、きちんと原因を追求して、可能な限りの手を尽くしてあげたい、しかしオーナーさんには都合や考え方がある・・・。とはいえ全てを年齢のせいにされてしまい、かわいそうだから・・・という奇麗な言葉で面倒くさい検査や費用がかかる検査から逃げて欲しくはないのです。でもどんな検査も多少のリスクはありますからね、強制はできないですね。

十分な時間をとって説明し、お互いの落としどころを探り、双方が納得してから医療を行う(あるいはしない)ことが大切なように考えています。なかなか難しい問題であり、ケース・バイ・ケースである点が悩ましいですね。