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低いビタミンD血中濃度は死亡リスクに関連あり

2011-11-30 11:32:58 | Medical Papers 紹介
血中ビタミンDの濃度が低い場合にサプリメントで補給すると、

低いままで放置の場合に比べ、いろんな原因での死亡リスクが半減したという

大規模な研究が公表された。


1万人以上の患者のデータ分析から70%がビタミンD不足で、

彼らは種々の心臓病に罹るリスクが有意に高いこと

カンサス大学の研究者らは見出した。


また、ビタミンD不足は「死ぬ可能性」を2.64倍にするが、

サプリメントで補うとリスクは60%まで低下。


「心臓病とビタミンDには関係があると予想していました。

 けれど、これほど凄いとは驚きでした。

 いやぁ、予想以上に奥が深いですよ、これは。」

とは、カンサス大学病院医療センターの心臓病学教授

Dr. James L. Vacekの言葉。


ビタミンD不足はさまざまな疾患に関連してきたが、

その反対-つまりサプリメントが結果を好転させる-

ということはあまり実証されてこなかった。


Dr.Vacekのチームはカンサス大学病院で血清ビタミンD濃度を調べた

10899人のデータを再検討したところ、

多くの専門家良好な健康状態に必要と考える30ng/ml以下しかない人が

70%以上を占めることが判明した。


患者の病歴や服用薬やその他の因子を考慮したうえで、

ビタミンD不足の人は、不足のない人と比べると

 2倍以上、糖尿病になりやすく

 1.4倍、高血圧になりやすく

 1.3倍、心筋症-心臓の筋肉の病気-になりやすい

ということが判明した。


全体として、ビタミンDが不足している人は足りている人と比べると

さまざまな原因で「死ぬ可能性」が2.64倍も高いことがわかりました。

しかも、ビタミンDをサプリメントで補った人達は、

そうしなかった人達に比べると、さまざまな原因で「死ぬ可能性」は

60%低くなっていたことがわかりました。

ただし、ビタミンD補給の効果が最も高かったのは

検査の時点でビタミンDが不足していた人達でした。


もちろん、これらの効果はビタミンDだけが原因かは不明です。

つまり、他の因子たとえば病気そのものが

健康状態の違いとビタミンD濃度の違いに影響するかも知れません。


しかし、これまでに行われた研究が示してきたのは、

多くの米国人がビタミンD不足だということでした。

最新の米国民健康栄養調査では成人の25~57%がビタミンD不足で、

他の研究では70%が不足しているといいます。


これほども多くの人々にビタミンDが不足している原因は

我々の身体ではビタミンDの約90%が日光から作られ

食物からは約10%だけしか得られないからだとDr.Vacekは言います。

すでにご存知のとおり、皮膚を日光に当てることでビタミンDが作られます。


ある種の食品、たとえば脂に富む魚や卵や強化牛乳はビタミンDの供給源です。

暖かい季節の毎日最低20分の全身日光浴が、充分量のビタミンD生成には

必要だけれど、ほとんどの人は十分戸外にいないねぇ、とDr.Vacek。


北米とカナダでは、たとえ長時間肌を曝せるほどの気温であっても

冬の間は日差しが強くないと、専門家は言います。


「もし血液中のビタミンDが十分なら、

 ビタミンDは寿命を長くする魔法の薬ではないですよ。

 あくまで、不足している人は補給するのがいいのです。

 サプリメントによる補充療法をして2~3ヵ月後に

 血液検査で濃度が上がってきたことを調べるのは有意義です。

 一般的には、1000~2000IUを毎日摂取するのがお勧めです。」

とDr.Vacek。


ちなみに1000~2000IU は 25~50μgになります。


この研究は米国心臓病学会誌に発表されています。

Abstractはクリックでどうぞ。
         ↓
The American Journal of Cardiology, online November 7, 2011.

Vitamin D Deficiency and Supplementation and Relation to Cardiovascular Health.



わが国では、どうなのでしょうねぇ。


平成21年度の国民健康栄養調査によると

20歳以上の1日あたりの摂取量は

女性7.3μg、男性8.5μgだと公表されています。

これは2010年版「日本人の食事摂取基準」では

ビタミンD目安量(男性18~29歳)が5.5μgなのからすると

そこそこ摂取できていることになるのでしょうか。
 
 平成21年度国民健康栄養調査
 第1章食生活・運動に関する状況
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000xtwq-img/2r9852000000xu2r.pdf




でも、ほんとは一度くらいは血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を

測定してみるのが望ましいのかも知れませんね。

もちろん、その際は、くれぐれも自費でお願いします


そして、美容のために一方的に紫外線を悪者呼ばわりする風潮にも

再考が必要ではないかと思われるのです。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
サプリで予防した方がいいですかね (看護師haru)
2011-11-30 22:15:23
「死ぬ可能性」って言うと、ちょっとぎょっとしますね。
ビタミンDは、食事ではあまりとれないのでしょうか。
油の多い魚類に多く含まれるんですね。
日本人は、魚を多く食べていたはずなのに、加齢とともに骨粗鬆症が多いというのは、効率よく摂取できていないのか、食事の全体量が減って、低栄養になるのか・・・

必要量を意識することがロコモの予防にもなるのでしょうね。
女性にとっては、人ごとではないですね。


日照時間が減る事で、冬期うつ病の発症も多くなりますよね。
私の住む札幌では、多いんです。雪で運動も制限されるし。

健康に関しては多くの情報があるにもかかわらず、仕事上(ケアマネですが)、あまり予防的意識の方はまだ多くない気がします。
高齢者ではなく、同業者で、ということですが・・・(泣)

*追記:スタチン系は、血糖値を上昇させると読みました。
危険ですね!
エパディ-ル服用っていうことは、中性脂肪がお高いのでしょうか?
私は、TGは正常値です。でも、血糖値を上げないのなら、エパディ-ルの方がよいのかしら?
作用機序を見ても、よく理解できませんでした。
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EPA (タムラ@アンチエイジング外科医)
2011-12-01 14:10:14
看護師haruさん、こんにちは。

ビタミンDに関して、
以前、渡邊昌先生が理事長をしていらっしゃった
国立健康・栄養研究所のビタミンD解説の頁を
貼り付けておきます。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail221.html

確か、ロコモの予防にもDは有効と抗加齢医学会で発表されていました。

分子整合栄養学で有名な溝口徹先生が以前セミナーで
Dの効能を力説されていました。
エパデールも推奨されておりましたので、
昨年、糖質制限を始めたあたりから服用しています。
中性脂肪は高いわけではありません。
さきほどアップの記事をご覧下さい。
あとは、B群は通常処方量の3倍摂取です。

とにかく予防がなによりです。
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