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「腹八分目」や「運動」は
AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ ) や
SIRT1(長寿遺伝子:ヒストン脱アセチル化酵素)
を活性化します。
その結果、最終的には
ミトコンドリア核内で遺伝子の
転写を制御するPGC-1αという
(PPARγコアクチベーター)
PPARγ活性化補助因子が活性化される。
この補助因子によってPPARγが活性化されると
脂肪細胞の分化をが促進され小細胞化し、
善玉ホルモンであるアディポネクチンが増加します。
さらにMCP-1、TNF-α、レジスチン、
遊離脂肪酸(FFA)などを減少させ、
主に骨格筋のインスリン抵抗性を改善します。
逆に肥満になると、アディポネクチンとその受容体の働きは
ともに低下してしまい、糖・脂質の代謝異常や
ミトコンドリアの減少や機能低下、運動耐容能の低下に
つながってしまいます。
やはり 「腹八分目」や「運動」は
糖尿病から遠ざかるための「王道」なのです。
しかし、だれにでも簡単にできるものでは・・・。
そんなところに良い知らせが!
まずは、アディポネクチンの最新研究から。
今年4月のNature誌に発表された論文によると
Adiponectin and AdipoR1 regulate PGC-1α and mitochondria
by Ca2+ and AMPK/SIRT1
アディポネクチンは、その1型受容体(AdipoR1)を介して、
1.糖・脂質代謝改善に重要なAMPキナーゼと
長寿遺伝子SIRT1 を活性化して
2.細胞内カルシウム濃度を上昇させることが判りました。
この2つの経路によって
PGC-1αおよびミトコンドリアの活性と量を
両方とも改善させることも判りました。
これらの活性化の経路は、最初に述べたように
「腹八分目」や「運動」によって活性化されるものでした。
ということは、
アディポネクチン1型受容体(AdipoR1)を活性化する薬ができれば、
身体を動かさなくても運動の効果を得られることが可能になるわけです。
しかし、この研究は始まったばかり。
アディポネクチンとその受容体を活性化する
新しい糖尿病治療薬が陽の目を見るまでは、
肥満になりそうな人も、すでに肥満の人も、
「腹八分目」や「運動」でPPARγを活性化しましょうね!
「食べて直ぐ横になると牛になる」が、
重要な警句であることは、また、次回に。
つづく 敵を知り、己を知れば、百戦危うからず 8
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