読書と映画をめぐるプロムナード

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黒沢清監督・役所広司コンビが仕掛けるサスペンス・ホラー、「叫」(2006年)

2007-09-23 13:21:34 | 映画;邦画
原作:林功「叫(さけび)」
監督、脚本:黒沢清
主題歌:中村中「風になる」
音楽:島邦明
撮影:芦澤明子
出演:役所広司、小西真奈美、伊原剛志、葉月里緒奈、オダギリジョー、加瀬亮

「東京の埋め立て地で女が殺される。捜査に当たる刑事の吉岡(役所)は現場に自分の痕跡を見つけ困惑し、同僚の宮地(伊原)からも疑いの目を向けられる。時を同じくして姿を現すようになった赤い服の女が発する耳をつんざく叫び声。彼女は何者で何を訴えているのか?曖昧な記憶に脅かされ、過去の闇に取り憑かれたように憔悴してゆく吉岡の周りで、次々に殺人事件が起きる。死因のすべては海水による溺死だった。いったい自分は何をしたのか…」。

「たとえ思い出したくない嫌なものでも、なかったことにはできない。地震によって緩んだ地面にじわりと染み出るのは切り捨てられた過去の怨念か。黒沢清監督が『リング』の一瀬隆重プロデューサーと初めて組んだ最新作は、そんな不気味で不穏な埋め立て地で起きた殺人事件を端に発するサスペンス・ホラーだ」。

「ここで描かれるのは、自分の中に潜む得体の知れないものこそ恐怖であるということ。不確かな自分自身に脅え狂気を帯びてゆく主人公・吉岡を演じる黒沢組常連の役所広司もいつになく暴力的で怖い。魅入られたら闇の底に吸い込まれそうなほど鬼気迫る赤い服をまとった葉月里緒菜には、この世ならぬものの美しさと哀しさがある」。(goo映画)

特別招待作品として公開された第63回ヴェネチア国際映画祭で絶賛されたという本作ですが、ストーリー、葉月里緒奈さんの演出が今ひとつといった印象です。しかし、飛び降り、殺人などの演出には黒沢清監督流のリアリティが光ります。これまで「CURE」(1997)、「カリスマ」(1999)、「ドッペルゲンガー」(2003)という作品を観ていますが、リアリティであるが故の恐怖感の演出が上手いですね。


黒沢清(1955年7月19日-)は、「兵庫県神戸市出身の映画監督、脚本家。六甲高校を経て立教大学社会学部卒業。故・黒澤明とは血縁関係は無い。立教大学在学中に兼任講師として映画論講座を受け持っていた蓮實重彦の薫陶を受ける。同ゼミに当時東大の学生だった宮台真司(現:首都大学東京准教授)が出入りしており、当時から親交があった」。

「立教大学在籍中に8ミリの『白い肌に狂う牙』を監督。また万田邦敏らと映画制作集団パロディアス・ユニティーを結成し、伝説的な自主映画『School Days』や『しがらみ学園』を撮った。1980年、『しがらみ学園』がぴあフィルムフェスティバルに入賞し注目される。大学四年時に、長谷川和彦の『太陽を盗んだ男』に制作進行として、1981年には、相米慎二『セーラー服と機関銃』に助監督として映画を学び、その流れからディレクターズカンパニー制作のピンク映画『神田川淫乱戦争』1983年で商業映画デビュー」。

「続く『女子大生恥ずかしゼミナール』は、配給元からにっかつロマンポルノとしては公開拒否の憂き目にあうも、後に一部追加撮影・再編集され『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985年)として晴れて一般公開された。この作品の出演を通じ交流を持った伊丹十三の制作・主演でプロ三作目の『スウィートホーム』(1989年)を監督したが、演出方針やビデオ化報酬などで伊丹側と対立、訴訟沙汰にまでいたるほど悪化し、以降両者は関係を絶っている」。

「1992年、オリジナル脚本『カリスマ』がサンダンス・インスティチュートのスカラシップを獲得し渡米(その様子はビデオ作品『2001映画と旅』に散見できる)。帰国後、低予算、早撮りの環境下で才能の真価を発揮、『復讐』、『勝手にしやがれ』シリーズ、『蛇の道』、『蜘蛛の瞳』など哀川翔主演の連作を手がけた。2005年、北野武とともに東京芸術大学大学院教授に就任した。小説家としては自作のノヴェライズ小説『CURE』、『回路』(いずれも徳間書店刊)がある」。(ウィキペディア)

最近は、テレビ東京系列で放送中の「日経スペシャル ガイアの夜明け」を良く観ます。進行役を務めているのが役所さん。「タンポポ」(1985)、「Shall we ダンス?」(1996)、「うなぎ」(1997)、「金融腐食列島 呪縛」(1999)、「笑の大学」(2004)、「THE 有頂天ホテル」(2006)などの作品を観ていますが、個人的には「どら平太」(2000)が好きです。


役所広司(1956年1月1日-)とは、「長崎県諫早市出身の俳優。本名は橋本広司。現代の日本映画を代表する俳優である。ワイ・ケイ事務所所属。身長179センチ。俳優・仲代達矢主催の無名塾出身」。

「長崎県大村市の長崎県立大村工業高等学校卒業後、上京して千代田区役所土木工事課に勤務。友人に連れられて観劇した仲代達矢主演の舞台公演『どん底』に感銘を受け俳優への道を志す。200倍の難関である仲代主催の劇団「無名塾」の試験を通過し入団。この年の合格者は役所だけであった。芸名は、役所の前職からヒントを得たことに加え『役どころが広くなる』ことを祈念して仲代が命名」。(同上)

さて、本作で主題歌を歌う中村中さんに注目します。彼女(彼?)の「友達の詩」を聴いて、鳥肌が立ちました。まさに魂の歌だと思います。

<役所広司- Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%B9%E6%89%80%E5%BA%83%E5%8F%B8



中村中(あたる、本名同じ、1985年6月28日-)は、「シンガーソングライター、作家、俳優。東京都足立区出身。avex trax・P-PRO Entertainment所属。10代初めより独学でピアノをマスター。千葉県成田市に住んでいた時、中学の音楽の先生からも音楽を習う。15歳の頃より作詞作曲を始める。中学3年生の頃より路上ライブを行い、ストリートミュージシャンとして活動するようになる。後に高校を中退し、本格的に音楽活動を始める。性同一性障害を抱えており、外見は女性であるが戸籍上の性別は男性である。ただし、本人は『男という自覚も、女としての実感もない』といった感覚である事が窺える」。(同上)


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