読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

ヒトラーの「壁」に挑んで散った男たちの「ワルキューレ」(アメリカ/2008年)

2009-08-21 07:22:26 | 映画;洋画
~第二次世界大戦下のドイツ。戦地で左目を負傷した将校・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、祖国の平和のためにヒトラー暗殺計画を思いつく。過去に40回以上の暗殺計画をくぐり抜けてきたヒトラー(デヴィッド・バンバー)とその護衛たちを前に、大佐たちの計画は成功できるのか……。(シネマトゥデイ)~

原題:Valkyrie
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー、ネイサン・アレクサンダー
音楽:ジョン・オットマン
撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
出演:
クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐:トム・クルーズ
ニーナ・フォン・シュタウフェンベルク:カリス・ファン・ハウテン

<ヒトラー暗殺計画ワルキューレ作戦加担者>
ヴェルナー・フォン・ヘフテン中尉:ジェイミー・パーカー
アルブレヒト・メルツ・フォン・クイルンハイム大佐:クリスチャン・ベルケル
ヘニング・フォン・トレスコウ少将:ケネス・ブラナー
フリードリヒ・オルブリヒト大将:ビル・ナイ
エーリッヒ・フェルギーベル大将:エディ・イザード
フリードリヒ・フロム上級大将:トム・ウィルキンソン
エルヴィン・フォン・ヴィッツレーベン元帥:デヴィッド・スコフィールド
ルートヴィヒ・ベック:テレンス・スタンプ
カール・ゲルデラー:ケヴィン・R・マクナリー

アドルフ・ヒトラー:デヴィッド・バンバー
オットー・エルンスト・レーマー少佐:トーマス・クレッチマン
ハインツ・ブラント大佐:トム・ホランダー


去る16日、100mで9秒58、そして20日、200mで19秒30の世界記録を樹立した、今日で23歳になるウサイン・ボルト(ジャマイカ)の活躍に沸き立つ第12回世界選手権「世界陸上」。その開催地は、ドイツ連邦共和国の首都ベルリン。

この地に打ち立てられた「ベルリンの壁」が崩壊したのはちょうど20年前。それからさらに遡ること45年前にこの地で繰り広げられたのが本作で描かれるエピソード。

ヒトラー暗殺計画が、単独犯及び組織的なものを含めて少なくとも43回も企てられていたことに驚きます。この暗殺計画の最後となるのが、本作が描く「ワルキューレ作戦」。1944年7月20日に企てられたこの暗殺未遂時、反乱側が内乱鎮圧計画「ヴァルキューレ」を利用して権力掌握を計ったもので、暗殺計画自体の名称ではないそうです。

原題の「Valkyrie」の語義は、「valr」(戦場で横たわる死体)と 「kjόsa(選ぶ)」を合わせたもので「戦死者を選ぶ者」という意味で、この「ヴァルキューレ」は、北欧神話に登場する複数の半神だとされています。


ヒトラーの時代、それは「第三帝国」(1933-1945)と呼ばれる国家社会主義ドイツ労働者党ドイツが自称した国でありました。ヒトラーは、一千年も存続し続ける第三帝国の首都としてベルリンを後に世界首都「ゲルマニア」と改称するつもりであったといいます。

<ゲルマニア計画 – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2%E8%A8%88%E7%94%BB

本作の舞台となるこの時代のドイツ軍の登場人物の階級は次のようになっています。


この階級を踏まえ、本作に登場する主な実在の軍人たちを見ておきましょう。

まずは、トム・クルーズが演じたシュタウフェンベルク大佐。

<クラウス・フォン・シュタウフェンベルク – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF

そして、ヒトラー暗殺をシュタウフェンベルク大佐に引継いだケネス・ブラナー演じるヘニング・フォン・トレスコウ少将。

<ヘニング・フォン・トレスコウ – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%82%A6


次に、シュタウフェンベルク大佐の上司にあたるビル・ナイが演じたフリードリヒ・オルブリヒト大将。

<フリードリヒ・オルブリヒト– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%88


続いて、そのフリードリヒ・オルブリヒト大将の上司にあたるのがトム・ウィルキンソン演じるフリードリヒ・フロム上級大将。

<フリードリヒ・フロム– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%A0


最後は、元陸軍参謀総長で1938年からヒトラーに対するクーデターを計画していたルートヴィヒ・ベック。

<ルートヴィヒ・ベック– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF


さて、監督のブライアン・シンガー。あの名作「ユージュアル・サスペクツ」(1995)を撮り、「X-MEN」シリーズ、「スーパーマン・リターンズ」(2006)とコミックものを経て、シリアスな作品に戻ってきたというところでしょうか。彼については下記の記事で取り上げました。

<米国サスペンス映画の金字塔「ユージュアル・サスペクツ」を撮った男>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/b23de03c7b0b4f6ab317739fd0ad4fd4


トム・クルーズについては下記の記事で。
<レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズが企てる、「大いなる陰謀」(米/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/7b6c89a5df9088f569fa8e4ec91a3798


シュタウフェンベルク大佐の妻を演じたカリス・ファン・ハウテン。彼女については下記の記事で取り上げました。
<オランダの「マタ・ハリ」のレジスタンス、「ブラックブック」(オランダ他/2006年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/7275f31c8e2a592e298367bbda440b21


ヘニング・フォン・トレスコウ少将を演じたケネス・ブラナーについては下記の記事で。
<英国生まれの米国育ち、名優が演じる二人芝居のミステリー「スルース」(米/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/ae5ca6e42ee497b9519854ba68578a61


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