早生者日記 by K.MITSUNAGA

早生者(わさもん)=
熊本弁で「新しいものが好きな人」という意味
毎週月曜更新(2009年12月開始)

良縁/「深夜特急」by 沢木耕太郎

2010年06月10日 | 良縁

バックパッカーのバイブル「深夜特急」。
新潮文庫の6冊シリーズの紀行文です。
著者の沢木耕太郎氏が体験した
デリーからロンドンまで路線バスで走破するという
とてつもない体験談を基にしています。
今でこそ交通網が発達しましたがこれは1970年代のお話です。
旅の途中に遭遇する様々なチン事件。
実話が基なだけに臨場感たっぷりで興奮します。

この本のくだりで私が感動したのは「お茶」の話。

世界中の人々が様々な形で飲んでいるお茶の呼び方は
日本のcha、タイのchaa、インドのchai・・・
東側のお茶はほとんど「C」から始まります。

一方、英国のtea、ドイツのtee,スペインのteと
西側のお茶は「T」から始まるのです。(一部例外はありますが)
                           
アジアを出てからずっとCから始まるお茶を飲んでいたのに
トルコを過ぎてギリシャに入った途端にTのお茶が始まります。
主人公はそこが東西の境なんだろうと考えます。

ところが・・・
ユーラシア大陸の一番西の端
ポルトガルのサグレスを訪ねた時
地元の暖かいもてなしで出てきたお茶は「cha」。
Cから始まるお茶だったのです。(実際には「シャ」と発音)

Cから始まった旅はCで終わりました。
ただの紀行文なのに感動的です。
それは、言葉は違ってもお茶を愛する心を通して
世界はつながっているのだということを
改めて感じさせられるからでしょう。
                             
もっとも後日談で種を明かせば
お茶のルーツは中国。
広東語の「チャCha」と福建省の「テーTe」が存在しました。
「Cha」は陸路を使ってじっくり世界に広がったのですが
大航海時代にオランダが船で福建省のアモイから「T」を運んで
そちらがヨーロッパに先に広まりました。
ところがポルトガルもマカオから船でお茶を運んだので  
ポルトガルにだけ「C」があるというわけです。
歴史っておもしろいですよね。


写真上ははカイロの紅茶売りのおじちゃん。
ちなみにアラビア語のお茶は数少ない例外の「hay(チャーイ)
使い終わったコップはバケツの水の中でさっとくぐらせるだけ。
確か50円くらいだった・・・甘くておいしい。

写真下はいつも立ち寄る台北の「沁園」のおやじさん。
お上手な日本語でうんちくを語りながらお茶をご馳走してくれます。
この店は良心的な上、凍頂烏龍茶は質が高い。
もちろん台湾のお茶は日本と同じ「(チャ)」。
 


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2 コメント

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Unknown ()
2010-06-11 00:00:06
淹れ方で随分違うものになっちゃうけど
インドのお土産に頂いた紅茶の美味しさに驚いたり
サントリーが作った烏龍茶(笑)が こんなに美味しいんだって驚いたり(笑)

ん~ カイロに行く機会があったら、マイカップ必需品ですね(笑)
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Unknown ()
2010-06-11 08:12:34
これが「文化」なんですね。
発祥は同じでも所変わればその地の文化になる…。
それぞれのお茶はみな美味しいですよ。
この本、少年の心を持つ人にはオススメ。
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