脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

窮地の女子、敗退の男子

2008年08月11日 | 脚で語る日本代表
 共に2戦目は敗戦となった北京五輪サッカー競技の男女。溜め録りしておいた録画で試合を一気に観たが、そこには「世界との距離」が確かにあった。

 なでしこジャパンは、アメリカ相手に善戦したと思う。しかし今回の北京五輪ではなかなか大野と永里の2トップが仕事をさせてもらえない。永里はポストプレーで、大野は度々DFラインの裏のスペースを狙って突破を試みたが、五輪3大会連続出場を誇るランポーンを軸とする屈強なCB陣を破れなかった。
 13分に大野のポストプレーから近賀が、21分には永里の落としから澤が、61分に永里がゴールを強襲する惜しいシュートを放ったが、わずかにゴールの枠から逸れたその距離が「世界との距離」だったのかなと感じる。特に近賀はNZ戦のミスを払拭しようと立ち上がりにオライリーのシュートをかろうじてクリアするなど好プレーを見せたが、失点シーンでは、その近賀のサイドをコックスに破られ、最後は中央からロイドの強烈なシュートを見舞われた。このシーンのアメリカの攻撃力はさすがに驚異的だった。

 これでグループリーグ突破の最低ノルマが次戦ノルウェー戦での絶対勝利となったが、今回敗れたアメリカ同様ノルウェーも遙かに格上の相手。しっかり前半から点を奪いにいかないと勝算は低い。昨年のキプロス遠征時に勝利した試合のイメージで入ってもらいたいものだ。是非、グループリーグを突破して欲しい。

 一方でナイジェリアに破れ、2連敗でグループリーグ敗退の決まってしまった男子。前半は善戦したが、58分に巧みな連携で中央を突破されてオビンナの先制点を許すと、74分にはイングランドでも活躍するアニチェベに決められた。特にトラップミスかなと思いきやGK西川の飛び出しをモノともせずシュートを放ったアニチェベの能力には舌を巻かざるを得ないし、この状況をカウンターで招いてしまった日本は、自分たちが目指すべき攻撃の形をまんまとナイジェリアにされてしまった。先制点のオビンナの強烈なシュートも然り、そしてこのシーンも神が日本に与え続ける試練のように感じた。

 反町監督の挑戦はその前途を絶たれた。最後までチームの軸は固まらなかった印象だ。守備陣は奮闘したかもしれないが、攻撃陣は及第点以下。OA枠の必要性もそうだが、それ以前にこのチームに絶対的な“エース”が不在だったことは大きな敗戦の要因でもあろう。豊田のゴールシーンをアシストした場面も含め、ナイジェリア戦でも最も決定機を演出したのはMFの谷口だった。

 次戦は強敵オランダ。上に進む望みは絶たれたが、是非精一杯日本のサッカーを見せて欲しい。これまでの2試合以上にゴールへと向かって“結果”を出すために死力を尽くして欲しい。例えそれが消化試合であってもだ。

 彼らの挑戦は北京で終わりではない。それは2年後の南アフリカに必ず繋がっているはずだ。