脚と角

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金沢、初年度の航海を9位でフィニッシュ -SAGAWA VS 金沢-

2010年11月28日 | 脚で語るJFL
 JFLは遂に最終節の後期第17節を迎えて、今季の全日程を終了。佐川守山陸上競技場では、今季JFL初参戦となった9位・ツエーゲン金沢が2位・SAGAWA SHIGA FCに挑み、試合を先行されながらも2-2で引き分けて最初のJFLを一桁順位の9位で終えた。また、SAGAWA SHIGAは鳥取の優勝に次ぐ2位で全日程をフィニッシュ。チームから27得点で御給が自身2度目の得点王を獲得することとなった。この結果、18位の流通経済大FCが関東リーグへ降格、そして17位のアルテ高崎が地域決勝決勝ラウンド3位のチームとの入替戦に回ることが確実となった。

 

 昨年の高知・春野での1次ラウンド、そしてアルウィンでの決勝ラウンド、その末の津幡、刈谷での入替戦を戦い抜けてJFLの舞台へと昇格した金沢。あれから1年が経とうとしている現在、春野、そしてアルウィンと6試合を見届けた者としては、未だに今季の金沢をお目にかかる機会が無かったことが個人的に今年の心残りだった。数少ない関西でのアウェイ戦を補足したと思いきや、既にシーズン最終戦。加えて、一番のお目当てでもあった元日本代表FW久保は出場停止と残念だったが、そこには立派にJFLで戦っている金沢の選手たちとサポーターの姿があった。
 ここまで5連勝と絶好調の金沢。この試合で勝利すれば、他会場の結果によっては大きく順位のステップアップも狙えるところ。前期のSAGAWAとの試合は開幕早々に2-2という内容ということだけに、ここは何としてでも6連勝で終わりたい。チームを応援しようと遠く金沢から守山に駆けつけたサポーターの皆さんがメインスタンドの半分を大挙して手拍子と声を送る。明らかにチームの認知度と人気が高まっていることを示しているように思えた。

 試合は、前半からSAGAWAが先制点を果敢に狙いに来る。どこからでもチャンスメイクできる層の厚いタレント陣は金沢にとって脅威。特に奈良輪と濱田が組む右サイドと旗手と大沢が組む左サイド、どちらからでも繰り出されるサイド突破に金沢は前半劣勢を強いられた。そして12分には左サイドの大沢の豪快なサイドチェンジを右サイドで受けた奈良輪がそのままエリア右手から強烈なシュートを叩き込んでSAGAWAが先制点を奪い取る。

 
 SAGAWAは12分にこの大沢のサイドチェンジから…

 
 
 攻め上がっていた奈良輪がズドンと先制シュートをお見舞い。
 DFでルーキーながら今季3得点目。

 先制したSAGAWAの攻勢は緩まない。16分には旗手のFKから中村が絶妙のヘディングシュート。しかしわずかに決まらない。金沢はまずはこのSAAGWAの攻撃をしっかりブロックして、MF曽我部を中心に相手のDFラインの裏が手薄になるのを狙っていた。25分に、その曽我部が絶妙のスルーパスを出すと、古部が走り込んでシュートを決める。劣勢の中でもしっかり自分たちのチャンスをモノにする力を感じさせた場面だった。

 
 
 
 
 
 
 前がかりになったSAGAWAの最終ラインを曽我部と古部が狙っていた。
 渾身の同点弾で金沢、反撃開始。

 しかし、その金沢が昇りつめたJFLの厳しい戦いで、この4シーズン中2度も王者に輝いているSAGAWAはやはり一枚上手だった。全く失点のダメージを感じさせず、引き続き金沢ゴールを脅かす。27分には御給のヘッドをゴールラインギリギリで金沢の斉藤雄がクリアするなど、何とか金沢も集中した守りを披露し続ける。30分、SAGAWAは得点ランキングで一歩リードする御給が右サイドからの奈良輪のクロスに頭で合わせて追加点を奪ったのだった。

 
 やはり、この男「御給匠」を止めないと勝利は無い。
 金沢は諸江が密着マーク。

 
 しかしながら、いとも簡単に御給が頭で決める。
 今季の得点王を決定づける27得点目。

 41分に曽我部の直接FKがわずかにゴールのバーに当たって同点のチャンスを逸した金沢。1点のビハインドを背負って折り返した後半、林に代えてベテランの木村を投入。盛り返しにかかる。すると、徐々に試合は金沢ペースへ。山道と山根の守備的MFコンビがボールをハーフライン付近で奪えるようになってきた金沢は長谷部のドリブルを起点にシュートの機会が増えていく。58分には長谷部のクロス斎藤陽が頭で合わせてシュートするもSAGAWAのGK森田がかろうじてセーブ。その5分後には左サイドから攻め上がった長谷部が持ち込んでシュートを狙うものの、わずかにゴールポストに当たって決まらない。あとわずかで試合を振り出しに戻せるほどに金沢は好守が噛み合って、SAGAWAを凌ぎつつあった。

 
 攻守の起点になっていた金沢・MF長谷部。
 効果的なドリブルで相手もファウルで止めざるを得なかった。
  
 
 山道が中盤でしっかりと守備タスクを実践。
 ロングボール以外では最終ラインを楽にさせたのでは。

 
 攻撃時には得意のロングスローも見せる込山。
 昨季通しての諸江とのコンビは健在。

 サポーターの絶えることのない応援チャントを背に果敢に攻め続けた金沢。遂に流れを掴んで同点に持ち込む。80分に曽我部の右CKから斎藤陽が頭で合わせてゴールネットを揺らした。

 
 
 
 
 これが5連勝中の金沢の粘り強さか。
 思いを乗せたシュートはゴールへ。斎藤陽、歓喜の咆哮。

 一気に金沢へムードは傾いた。6連勝でJFL初年度を終えればそれは及第点以上。あと1点が奪えそうな流れだった。82分にGK大橋がSAGAWA中村のシュートをファインセーブで防いで最後尾からもチームを鼓舞。ラスト10分はスリリングな展開となった。
 85分には曽我部のFKからゴール前の混戦を込山が押し込んだと思いきや、ノーゴールの判定。最後まで走り切った両チーム、結局試合は2-2の引き分けに終わった。

 
 GK大橋もファインセーブを披露。
 金沢の追い上げに拍車をかけたが…

 
 2アシストの金沢・MF曽我部。
 チャンスはいつも彼から作り出されており、印象的だった。

 正直、このJFLへ上がるまでの金沢の道のりは苦しいものだった。初年度のJFL34試合を戦い終えた金沢にとっては、いささか遥か昔の話に思えるが、北信越リーグで結果が出せずに全社(準優勝)枠経由での地域決勝出場。春野での三洋洲本とのPK戦までもつれた激闘。そしてアルウィンでのPK戦・2試合勝利でなんとか掴んだ入替戦への切符。個人的には苦戦するだろうと思っていたが、予想外の健闘ぶりで、この試合でも堂々たる戦いぶりを披露。確実に昨季の苦戦の連続が今のチームの糧になっていることを実感した。初年度ながら一桁順位でのフィニッシュは大きな成果だろう。
 対して、SAGWAも今季は3試合を観戦したが、本当に毎年実力のある新卒選手を補強するなと感心させられる。特にこの試合躍動していた奈良輪、そして昨季の関西リーグDiv2で得点王に輝いた濱田など定位置を確保している若手の活躍は印象的。そして御給の帰還。不思議と外に出ると活躍できず、SAGAWAでは「キング」のように活躍できる彼の存在が際立っていた。優勝ならずとも、町田に競り勝って2位という順位は、序盤の13試合無敗ということを考えれば至極当然かもしれない。

 
 1年ぶりに見たツエーゲン金沢。
 順調にサポーターも増えている様子で、今後も注目。
 


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2 コメント

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Unknown (ファン)
2010-12-01 10:37:52
今日、読売新聞に脚さんの記事のってましたね^^
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Unknown (yoshi:D5)
2010-12-03 22:04:23
>ファンさん

コメントありがとうございます。

これはお恥ずかしい。
わざわざありがとうございます。
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