脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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リーグ終了、試練の秋へ -vsバンディオンセ加古川-

2011年09月26日 | 脚で語る奈良クラブ
 関西リーグはいよいよ2011年シーズンの最終節を迎え、和歌山の桃源郷運動公園陸上競技場では、Div1優勝を決めている奈良クラブが2位・バンディオンセ加古川と対戦。撃ち合いの末に2-3で敗れた。奈良クラブは今季リーグ戦初黒星。対するバンディオンセ加古川はリーグ3連勝で有終の美を飾り、10月15日から開幕する全社に繋ぐ勝利となった。ちなみにこの後に行われた第2試合では、Div2の1位と2位が激突。既に来季のDiv1昇格を決めていたディアブロッサ高田に2-2で引き分けたアルテリーヴォ和歌山が来季のDiv1昇格を決めた。

 

 初のリーグ戦敗戦。前節のメンバーから出場停止の辻村剛に代えて李を中盤に加え、試合に臨んだ奈良クラブ。しかしながら、ここまで攻撃を抑えられるとは思わなかった。前半から効果的な攻撃は影を潜め、決定機もほとんど作れず。前半唯一といっていい見せ場は蜂須賀のミドルシュートの場面ぐらいで、攻めあぐねた末に両サイドを揺さぶられて先制点を献上するという悪い流れで前半を終えることとなった。前節のTOJITSU滋賀戦と同じく、前期の戦いを踏まえて研究され尽くしたという加古川の戦いぶりは強かで、守備ラインを上げすぎることなくしっかり引いてまずは守りに徹してきた。

 後半、いつも通りのパスワークでリズムを掴みつつあったが、スピードが武器である嶋の投入で一気に縦への推進力は上がった。69分に左サイドのFKから橋垣戸が合わせて同点に追いつく。完全に流れは奈良に傾いた。84分には、嶋のスルーパスに走り込んだ途中出場の浜岡が冷静にGKとの1対1を決めて逆転。残り時間が5分ほどいう場面で勝利をグッと手繰り寄せたかに見えた。
 しかし、ここからが魔の時間帯だった。加古川も交代出場で余力を残していた宮本が89分に左サイドから折り返すと、これを西口が決めて同点に。そしてアディショナルタイムの3分には、最終ラインでボールを持った眞野が相手をかわそうとした際にボールを奪われ、GK日野が上がっていたところを突かれて豪快なループシュートでそのまま決められた。前期の淡路佐野では4-0という完勝を演じることができたが、この日は攻めきれず、ペースこそ作りながらも試合巧者になれず惜敗となってしまった。

 結果的に順位は決まっていたが、しっかり勝って無敗でリーグを終えたかったのは本音。優勝祝勝会のこの試合の後に控え、なんとも寂しい負け方にはなってしまった。しかし、前向きにとらえるしかない。リーグ再開後は交代出場の選手が結果を出したり、良い動きを見せることで明らかにチームを鼓舞できていることは確か。特に3試合で2得点を演じた浜岡というベテラン選手の存在はチームに大きなものであることを改めてプレーで示してくれた。無論、シーズンを通して回顧すれば、11勝2分1敗、総得点42、総失点13というこの戦績は選手層のことを考えても評価されてもちろんだが、得点を生み出した選手たちが12人に上ることを考えると、まさに全員サッカー、全員攻撃を体現できたのではないだろうか。対照的に守護神・日野に頼るところが大きい守備陣の奮起はまだまだ必要。被シュート数が多かったことからも分かるように、まずはシュートを打たせない守備面の建て直しは今後の課題になる。それにしても、昨季の10月、KSLカップでの空中分解したような無様な負けっぷりが嘘のようで、今季の開幕前には「Div1残留」が今季の最大目標にもなりかねないと頭を過っていたことを思えば、昨夜のような盛大な祝勝会を迎えられたことは最大の喜びだろう。
 また、この試合で橋垣戸の得点をFKでアシストした吉田がアシスト王を決定づける今季7アシスト目。昨季の畑中(昨季限りで退団)に続き、2年連続でアシスト王の輩出となった。シーズンを通してそのスピードと段違いの正確なクロスで得点を量産してくれた。彼自身も町田、福島Uで満足に活躍できなかった鬱憤を晴らすかのようなパフォーマンスだった。
 残念だったのは、トップに1点差で牧が得点王を逃してしまったこと。これは悔しい。祝勝会でも本人が相当悔しがっていた。今季は6節から11節まで6試合連続で得点を叩き出してくれるなど驚異的なペースでゴールを量産したが、再開後はまさかの無得点と失速。檜山とのコンビは相変わらず観る者を魅了するコンビネーションだったが、周囲を引き立てる脇役に終始してしまった。その分も是非とも地域決勝の舞台で暴れて欲しい。

 シーズンを勝利で締め括ることはできなかったが、優勝というかけがえのない経験を手にした。果たして関西リーグの卒業試験、そしてJFLへの入試となる地域リーグ決勝大会で、この集大成を見せられるか。この秋、より一層のリファインを経て、次の公式戦であるKSLカップを迎えられるようにして欲しい。まだ奈良クラブのシーズンはここからが正念場だ。


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2 コメント

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レギュラーシーズン (王寺サポ)
2011-09-27 09:57:44
チームの取材お疲れ様でした、本当に去年の今頃を思えばたくましくなったチームを見れてうれしく思います。祝勝会の時に聞きましたが、10月はガンバとの練習試合をあちら様から声をかけてくださったとのこと、関西最強チームから声をかけてくださるようになった事も心底うれしい話です、と同時にその成果を決勝大会に繋げてもらえたら尚更嬉しいですが…。
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Unknown (yoshi:D5)
2011-09-27 12:56:15
>王寺サポさん
コメントありがとうございます。

本当に昨季のことを考えれば大躍進です。でも元来このチームに在籍していた選手は監督の統率の下、きちんとしたトレーニングを積めばもっともっと上手くなる、強くなるとは思っていました。そういう意味ではこのメンバーであれば至極当然の成績なのかもしれません。Jクラブのスパーリング相手としても認められるということですから、きっちり揉まれて更に経験値を上積みしたいですね。11月に向けて非常に楽しみです。
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