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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

ネクストレベルへ行け ~NIKE史上屈指の秀逸CM~

2008年05月26日 | 脚で語るサッカーギア
 
 毎回、その工夫の凝らされた内容にに驚いてしまうNIKEのCM。カントナがMCを務めた「Joga TV」シリーズから現在受け継がれているのが、「TAKE IT TO THE NEXT LEVEL」のCM。日本では“ネクストレベルへ行け。”というキャッチコピーで、すっかり到る所でお馴染みとなっているだろう。その今回のTVCMがNIKE史上屈指の面白さに富んでいる。

 錚々たる欧州のNIKE契約選手が出演しているのだが、主役はあくまで“自分”。まず視点が、自分があたかも劇中の主役になっているような感覚にさせてくれるのだ。90分バージョンでは、マイナーカテゴリーで自分がFKを決め、たまたま現場に居合わせたアーセナルのベンゲル監督に熱視線を送られるところから始まる。次の瞬間にはロッカールームでユニフォームを渡され、あれよあれよという間にプレミアデビューを果たすのだ。ピッチサイドでギャラスとハイタッチして交代出場した瞬間から、自分にはマンUの容赦ない洗礼が。ルーニーとC・ロナウドに突破を許し、ゴール後軽く挑発されピッチを拳で叩く。その後トレーニングに没頭し、次のシーンではセスクの折り返しに自分がゴールを奪い(どうやら背番号は45番らしい)、一躍ヒーローに。一流選手の仲間入りを果たし、寄り添ってくる美女を片手にサインに対応する自分。そして次はCLの舞台だろうか、インテルのマテラッツィとピッチで競り合っている。ここでもイブラヒモビッチにゴールを決められ、試合後のシャワーでは自分の歯がポロリと抜け落ちる。プレッシャーとトレーニングで吐くシーンも出てくるCMは最後のシーンで、ついにオランダVSポルトガルの国際試合(どうやらオランダ人らしい)の舞台へ。自ら得たFKをチームメイトのファンニステルローイやスナイデルの見守る中、自ら決めるという展開だ。何ともファンタジーに満ちた屈指の出来で、我々をその高いレベルの世界へ誘ってくれる。おそらく世界中の子供が、そしてサッカーファンがこのCMの虜になっているだろう。

 以前、当ブログのエントリーでも、NIKE VS adidasという構図について触れることがあったが、近年TVCMにおいてはNIKEの勝ちといった印象だ。一般の概念を覆すような一流選手のテクニックを焦点にし、あたかも我々の日常の中でそれを見せてくれるといった内容のものが多い。98年W杯時にセンセーショナルを巻き起こしたブラジル代表の“空港でサッカーに興じてしまう”あの作品がこの流れの源流になっているのだろう。そして個人的にはNIKEのCMが“フリースタイルサッカー”の火を着けたのは間違いないかなとも思う。
 あの作品では警備員を再三からかいながら、時には外に出てまで、ボールを繋いでいくセレソンの美技にウットリしてしまうのだが(途中搭乗客役でカントナがカメオ出演)、最後の最後にロナウドが搭乗口にシュートを打ち込むというところで、ポールに当ててしまい、傍観者の子供たちと共に頭を抱えてしまうロナウドの姿が実に茶目っけに溢れていた。ファンタジーの世界から一気に“現実”に引き戻されるあの一瞬が何とも心地良いではないか。個人的にはいつもそこがツボだと思っている。

 近年、映画俳優顔負けの存在感を見せる進行役のカントナ(シークレットトーナメントの作品が最初か)を中心に時には映画のような演出で魅せてくれる作品が多いが、今回の“TAKE IT TO THE NEXT LEVEL”も、我々がどこか憧れているファンタジーの世界にドップリと引き込んでくれる傍ら、言わば“努力が己を大成させる全て”というメッセージをこれ以上ない形で見せてくれている。そして“向こうの世界とこちらの世界の垣根”をNIKEのCMは取っ払ってくれる。このイメージ戦略は功を奏する以上に、CM以上の価値をそこに感じずにはいられない。“映画”つまり、ショートムービーに近いその作品の数々は宣伝を超えた効果が存在するのだ。

 マーキュリアルヴェイパーのCMで、C・ロナウドがブガッティのヴェイロン(1001馬力を誇る世界一のスーパーカー)と競争するという作品が少し前にあったばかりだが、いつでもその“遊び心”に富んだ発想を見せてくれるNIKEのCMに我々ファンは、映画の最新作を心待ちにしているのような思いを募らせる。これら全てのエッセンスを押さえているNIKEのCMはやはり秀逸とした言いようがないわけだ。

<個人的に選ぶNIKE FOOTBALL CM BEST 5>
① マテラッツィのトレーニング
おそらくイタリアを中心に放送されていた作品。サッカーボールを胸トラップするだけでなく、ボウリングの球から、アメフト選手、クラッシュレース用の4×4を次々と胸で受け止めていく。最後は、クレーンに吊るされた鉄球なのだが・・・さすがにこれは・・・

② マーキュリアルヴェイパー C・ロナウドVSヴェイロン
度肝を抜かれた発想と、スーパーカーに勝ってしまうC・ロナウドに圧巻。クルマ好きの筆者のスーパーカー概念を覆す作品。

③ ブラジル代表 “空港でのサッカー”
98年W杯時の作品で、ロマーリオやデニウソンなど懐かしいメンバーが出演。延々と続くボール回しに関わらず最後に決められないロナウドのラストシーンは秀逸。ロビーニョとロナウジーニョ、アドリアーノらが出演する控え室のCMも後に作られた。

④ システムVSフィーゴ&アンリ&中田
“退屈なサッカーをしよう”というシステムのに支配された子供たちを3人にの選手が救うNIKE史上最もSF映画に近い作品。世界で認知された中田全盛の頃。

⑤ ロナウジーニョin日本の高校生
よく放映されていただけに御存じの方もおられるだろう。これは面白かった。日本限定。って当り前か。

 ここで書ける以上に、そしてサッカー以外でも秀逸なCMはたくさんあるので、是非NIKEにはこのCM集をDVD化してもらいたいのだが・・・


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6 コメント

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Unknown (おやかた)
2008-05-27 11:29:46
NIKEの新しいCM、いいですね。

「えっ、俺がアーセナルの一員!?」と錯覚するようなバーチャル感覚が楽しめるCM。

僕が一番好きなのは、98年ブラジル代表編。
ボサノヴァの名曲「マシュケナダ」に乗ってデニウソンが空港でドリブルして、最後は係員にボールを取り上げられたシーンでデニウソンの表情がなんともおかしかった。

ほんとDVD発売とかして欲しいですね。 
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Unknown (おやじ)
2008-05-27 14:06:45
ご無沙汰しています。

NIKEはアメリカのメーカーらしく、メディアの使い方やユーザーに使わせる方法など画期的なアイディアがいつも満載されています。

携帯サイトも、登録するとウザいメールが連発されるちんけなメーカーと違い、サッカー小僧のハートをくすぐる内容でついついハマってしまいます。

そんな目で見ると、アディダスがトラディショナルに見えてしまうのは私だけでしょうか?

YANAGI FIELDもいよいよですね。
こんどの日曜日にでもガキたちを連れて遊びに言ってこようと思ってます。

奈良クラブも調子がよさそうですね。
また応援に行きます。
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Unknown ()
2008-05-27 22:09:41
>おやかたさん
コメントありがとうございます。

やはりあの空港バージョンは見ていて楽しい作品でしたね。

おそらくまだたくさんの名作があるんですが、やはり総集編は出して頂きたい限りです。

今回の作品も世界共通で虜にさせてくれるNIKEらしいものでした。
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Unknown ()
2008-05-27 22:18:28
>おやじさん
コメントありがとうございます。

NIKEのCMは確かに遊び心が散りばめられていて、大人も子供も楽しめます。
確かにNIKE FOOTBALLのモバイルコンテンツにおける展開もそのコンセプトに沿った上手い手段です。

どうでしょう?
やはり日頃子供たちを見られる立場としてはNIKEのイメージの方がウケは良いんじゃないでしょうか?

おっしゃる通り、adidasのCMは少し伝統を重んじる傾向がありますね。
少し前のCMで、子供たちが自在に世界の選手たちを操る作品で、ベッケンバウアーが出てきたのは面白かったですが。

またYANAGI FIELDを通して子供たちが奈良クラブの選手とも触れ合える機会があればとも思います。
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相互リンク御礼 (伊藤です)
2008-05-30 00:36:49
このたびは相互リンクありがとうございます。

脚さんにせめて更新頻度くらいは負けないよう、
頑張って書きますのでこれからもよろしく。

早速ですがNIKEのCM初めて見ました。

最高ですね!

クリスチアーノ・ロナウドやロナウジーニョのプレーを間近で見れて、
なおかつ同じピッチで戦っている…。
夢のようなCMです。

そして脚さん仰るとおり、
最大のメッセージ、
「夢は叶う」

ジーンと来るものがありました。

奈良クラブも、
僕達も、
きっと
「夢は叶う」
信じて頑張りましょう!!

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Unknown ()
2008-05-30 15:12:58
>伊藤さん
コメントありがとうございます。

今回のCM、監督は「スナッチ」のガイ・リッチー監督(マドンナの旦那さん)ですからね。
あの作品に繋がる作り方で大変傑作だと思います。

奈良の地でも皆の夢を叶えましょう!
遂に明日、YANAGI FIELDオープンですね!
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