脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

カイザー、前期首位ターン確定 -関西大vs同大-

2011年06月18日 | 脚で語る大学サッカー
 関西選手権を終えて先週から再開された関西学生リーグ。1部は前期日程はまもなく折り返し地点となる第10節。高槻市立スポーツセンターでは、首位を堅持する関西大とそれを勝ち点1ポイント差で追走する同大が直接対決。勝てば首位となる同大だったが、試合は終始危なげない展開で関西選手権の不調を跳ね除けた関西大が3-0で快勝した。

 

 関西大は関西選手権でまさかの4位に終わり、総理大臣杯出場を果たせず。しかも、総理大臣杯に出場する関西選手権の上位3チームは、阪南大、大体大、桃山大と大阪府勢で全てが占められており、例えどこか1チームが総理大臣杯で優勝して、天皇杯へ大学枠で出場できたとしても、関西大には大学勢が2枠ある天皇杯大阪府予選に回ることすら許されない。チームとして全国の舞台を狙っていただけに、これでタイトルは、リーグ優勝とインカレ連覇に絞られたことになった。
 対する同大は、昨年度王者として臨んだ関西選手権は準々決勝で桃山大に敗れたものの、リーグではすこぶる好調。第6節の姫獨大戦を皮切りに大産大、阪南大、立命大を撃破して4連勝。なんと開幕戦のびわこ大戦を落として以来負けなし。ここで関西大に勝利すれば間違いなくその強さは本物だ。雨の高槻市立スポーツセンターは1試合目から激戦が予想された。

 関西大は、ユニバーシアード代表強化を見越した全日本大学選抜のイタリア遠征にGK金谷(2年)、MF和田(1年)がメンバーとして渡欧。この2人を欠けた状況で、GKには志村(2年)、中盤には1年生でG大阪ユース出身の水野を抜擢。岡崎(3年)、田中(3年)のG大阪ユースの先輩と共に攻撃の組み立てを担った。
 対する同大は前節、エースの辻(4年)が2得点と好調をアピール。関西屈指のクレバーさで守備を統一する早坂(4年)を中心に、立命大を3-0と一蹴したメンバーを布陣を変えることなく関西大に挑んだ。

 
 大抜擢の水野。このまま一気にトップ定着を狙いたい。

 試合は序盤から同大が前線からのハードなプレッシャーで関西大にペースを握らせまいとする。しかし、関西大は岡崎、田中を起点にこのプレスをかわして徐々に試合を作っていった。

 
 最後尾には今季リーグでは初出場となる志村が鎮座。
 金谷の不在を補う。

 
 奥田(2年)が果敢にボールに食いつく。
 関西大は本当に彼を筆頭とした2年生の層が厚い。

 縦パスが良く入り、中島(2年)や奥田(2年)らサイドの選手が躍動する関西大は、20分にエリア手前でボールを持った片岡(2年)が多少強引ながらもドリブルからシュート。これがバーを直撃すると、跳ね返りを中島が胸トラップから落ち着いてゴールに沈め、関西大が先制する。

 
 この片岡のシュートから・・・

 
 
 
 
 跳ね返りを中島が上手くコントロールしてシュートを決める。

 同大も前半のうちに追いつきたかったが、サイドがしっかりとブロックされ、中央にボールを集めさせられる展開になかなか崩せない。辻がコンビを組む松田(4年)、そして二列目から矢野(2年)や東矢(4年)が仕掛けるが、ゴールは遠い。43分には松田とのコンビネーションで左サイドを突破した東矢がシュートするも、わずかにサイドネット。前半は関西大が1-0とリードして折り返すこととなった。

 
 同大で注目選手は奈良市立一条高出身の中城(2年)。
 早坂とコンビを組み最終ラインを統率する将来のリーダー候補。

 
 同大はGK安井(4年)も前半1対1の場面をストップするなど奮闘。

 後半に入ると、関西大が更に猛チャージ。49分に相手ラインの裏に抜け出した奥田がシュートを決めて後半早々に関西大が追加点。試合を完全に優位に運ぶ。

 
 
 
 奥田のシュートが決まって、ほぼ勝負は関西大に傾いた。

 57分には櫻内(4年)の折り返しを岡崎が決めて3点目。完全に同大のモチベーションを崩すに十分な追加点だった。この直後に関西大はその岡崎に代えて安藤(3年)、稲森(3年)、1年生の山田を投入するなど、メンバーの新陳代謝を図りながら、最後まで同大に隙を与えなかった。
 同大も75分に辻を諦めて杉山(3年)を投入するなど、最後までチャンスを作ろうとするもほとんど良い形で前線に入らない。75分に関西大・水野が退場処分となり、数的優位な状況に立ったものの最後まで沈黙することになってしまった。

 
 積極的に前を向いて攻撃のリズムを作った関西大・片岡。

 
 同大・三浦(4年)はサイドから時折鋭いシュートを見せた。

 
 同大の中心選手であるDF早坂。進路が注目。
 Hondaから鳥栖へと活躍の場を移した早坂良太の弟でもある。

 
 先日、特別指定選手として神戸入りが決まった関西大・寺岡(2年)。
 この試合でも安定した守備を披露。

 
 G大阪ユース出身の水野に続いて、山田も出場。
 1年生にも期待がかかる。

 この勝利で前期日程の首位ターンが決定した関西大。前期日程の最終戦は昨季の王者であり、今季の関西選手権王者・阪南大。しかし、現時点では9位とかなり不調に喘いでいる。第2試合で立命大と戦った阪南大の試合を関西大のメンバーはいかなる思いで見ていたのだろうか。どうにもこの“ねじれ構造”が良く表れている。
 


最新の画像もっと見る