脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

更に負けられない夏 -vsラランジャ京都-

2011年06月26日 | 脚で語る奈良クラブ
 関西リーグは後期日程がスタート。首位を走る奈良クラブはリーグ戦では1ヶ月ぶりとなる県内でのホームゲームをAS.ラランジャ京都と対戦。開始早々に守備陣を崩されて失点を食らうものの、後半一気に逆転。辻村隆、牧の得点で2-1と勝利した。3試合連続無失点記録こそ止まったが、リーグ戦連勝記録は「4」に加速。今節では2位・バンディオンセ加古川は最下位・阪南大クラブに快勝。そして3位・アイン食品は5位・TOJITSU滋賀FCに引き分け、4位・アミティエSCが6位・三洋電機洲本に圧勝して3位に浮上した。

 

 まだ暑いとはいえ、どこか爽やかな暑さだった今月4日の淡路佐野での加古川戦に比べると、一気に暑さが増し、日差しも厳しく35度は超えていようかいう天気となった土曜日。皮肉にも五條上野公園多目的グラウンドの背景に見える吉野の山々と空に流れる雲のコントラストが映えに映えていた。
 陽炎の見えるグラウンドに選手が並ぶ。奈良クラブは、先発メンバーに辻村隆と李が復帰。特に辻村隆は先々週の天皇杯県予選社会人代表決定戦でも途中出場で得点を決めており、調子は良さげ。そしてベンチには新加入のGK星野が入り、選手層の面で安定したスタートとなった。

 ところが、開始早々の2分にL京都に守備陣を崩されると、左からの折り返しを決められて失点。リーグ戦では4試合ぶりに食らう先制点、再開初戦としては悪い入り方となってしまった。逆にどういうプランで試合運びができるか気になったが、この試合では相手の高いライン設定にFW陣がオフサイドを連発。なかなかシュートを打たせてもらえない。
 しかし、相手の得点機を日野を中心とした守りで凌ぐと、0-1で前半を終了する。

 

 ピッチ上はおそらく40度を超える熱気だろう。運動量勝負というのは言うまでもないが、やはりここまでチームの勝利を手繰り寄せてきたのはベテラン勢の献身的かつ先を読んだプレー。この試合も後半の10分を過ぎてから矢部がピッチに入ると、ワイドにボールが動くようになり、前半以上にスペースが生まれるようになった。三本菅、李もボールに噛みつくように奪いに行く。特に李は今季は前線に顔を出す場面も多く、決定機にも良く絡む。そして、相手の足が止まり始めた頃に辻村隆、牧のシュートで2点を加えて逆転に成功した。

 試合後、牧がこんなことを話してくれた。「夏場の人工芝のグラウンドはゴムチップが熱を吸収、拡散してパフォーマンスが落ちる」とのこと。どうもやはり、選手たちにとって天然芝と人工芝ではパフォーマンスに大きな影響を及ぼすようだ。特にこの試合はきつかったはず。夜間の練習がメインのL京都の選手たちは後半みるみるその暑さに運動量を落としていった。今季から奈良は人工芝グラウンドで充実したトレーニングができているが、だからこそ選手たちには敏感に感じられるのかもしれない。ただ、逆を言えば、実はこの先人工芝の会場は13節・TOJITSU滋賀戦の1試合のみ。「天然芝ならパフォーマンスは間違いなく上がる」という牧の言葉に期待したい。もちろんあとい数試合、この無敗ペースを続けば確実に優勝は近づく。その言葉に間違いなく優勝できる確信を持って選手たちもやってくれていることを感じた。

 チームは夏の連戦に挑まなければならない。リーグは17日(日)の11節・アイン食品戦まで毎週続く。それが終われば全社関西予選、そして天皇杯奈良県予選が間髪入れずに始まってくる。いくらリーグで無敗を続けていても、この両大会は一度でも負けると、優勝という目標を失う大会。更に負けられない夏のプレッシャーも暑さと同時に加速していく。