脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

社会人代表枠獲得 -vsAtletico-

2011年06月17日 | 脚で語る奈良クラブ
 6月も中旬に入り、各都道府県では天皇杯出場を懸けた都道府県予選が始まっている。奈良県も例外ではなく、12日に社会人代表の2枠を決める代表決定戦が行われ、奈良クラブが3-1でAtletico(奈良県1部)を下して社会人代表としての奈良県予選進出を決めた。もう一方の枠はディアブロッサ高田(関西Div2)がアスペガスFC(奈良県1部)を延長戦の末に3-2と下して獲得している。

 

 本来ならば5月29日にボスコヴィラで行われる予定だったが、台風のために2週間の順延。奈良産業大学信貴山グラウンドに会場を移して行われたが、奇しくも2年前の天皇杯予選、同じ会場で行われた一条高戦を思い出す“格下に苦戦”といえる内容だったかもしれない。

 思えば、奈良クラブの今季の戦いはここまで基本的には苦戦の連続。リーグの前期日程はいずれの試合もシュート数で相手を上回った試合は皆無である。そこを「GK日野優」という屈強な守護神と、前線から中盤の選手たちの「高い決定力」で乗り越えて来ている。それを考えればこの試合も通常運転だったのかもしれないが、やはり2つもカテゴリーが下の相手であったことを考えれば、少し不満は残る。何より日頃見られないミスが多かった。自分たちのミスで相手ボールの機会を増やしてしまっていた。元京都紫光クラブの三重野、元奈良クラブの上西を中心にAtleticoがボールを持つ時間も前半は多かった。それでもなんとか三本菅の先制点で前半を1-0で折り返した。

 後半開始から李が出場。4日の加古川戦は出場停止だったため、鴻ノ池以来、実に2週間のインターバルを挟んでの出場。昨季まで奈良クラブでプレーしていた松野正(残念ながらこの日は県リーグでの退場で出場停止だった)は「ソンホが最初から出ていたらヤバかったかも」と試合後話していたが、その通り、かなりテンポが上がり、チーム全体にエンジンがかかってくる。檜山が後半開始直後に追加点を彼には珍しいヘッドで奪って2-0とするが、なかなかゲームのテンポアップに比例して得点は付いてこない。ほとんど10人ないし11人で守りに徹するAtleticoの分厚い壁をなかなか陥落できない。

 合わせて負傷離脱していた辻村隆も李と同じく3週間ぶりに出場。同じ時間に途中出場の浜岡のパスを受けてシュートを決め、久々となる得点で3点目を追加。しかし、このまま3-0で終われず、追加点を奪うどころか、完全に守備陣を左サイドから崩されて失点を喫してしまった。ここまでリーグでは3試合連続無失点だったチームだったが、少し油断が出てしまったようだ。

 

 結局、3-1で試合は勝利。さすがに午前練習にシフトして、プロの監督による統一されたトレーニングが導入されただけに、内容的にも簡単にここで負けるチームではなくなった。しかし、7月は全社関西予選、8月に天皇杯県予選と一発勝負の戦いは続く。2つカテゴリー下の相手にこの点差では、もう少し取れるところで得点をとっておかないと・・・という思いが巡ったのは正直なところだ。勝てば問題ないのが、内容にはもう少し拘っていきたい。

 目を見張ったのは、Atleticoの出来だった。奈良クラブが奈良県リーグ時代からポルベニルカシハラやJSTと肩を並べる強豪チームだったが、前述の三重野を中心に良いサッカーをしている。なにしろ奈良県リーグではここまで3試合で18得点をいう暴れっぷりで、この日は出場停止だったが、エースの松野(7得点)と三重野(4得点)の2人で11得点も叩き出しているのだ。確実に優勝候補といえるだろう。関西リーグのDiv2でもそこそこ戦える気がする。この日の試合でも「奈良クラブに一泡吹かせてやろう」という気概が伝わって来た。松野正によれば「奈良クラブ戦を一つのモチベーションにしてリーグもやってきた」とのこと。春先のTMの際には「奈良クラブの一番バテている時が俺たちのトップペースの状態ぐらい」と言って、なかなか練習ができないことを嘆いていたが、このペースで行けば、冬前には関西府県決勝大会に進んでいるだろう。それまでに何度か試合を覗きに行ければと思った。

 そして、奈良クラブは昨季まで徳島セカンドでプレーしていたGK星野が新たに加入。少しずつ選手層を厚くして、リーグ制覇に向けて25日(土)に再開される後期日程に向けて準備だ。