脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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三洋洲本、入替戦へ -三洋洲本 VS 讃岐-

2010年12月07日 | 脚で語る地域リーグ
 決勝ラウンド3日目の第2試合は、1日目にY.S.C.C.に勝利して勝点3ポイントを掴んでいる三洋電機洲本と、長野、Y.S.C.C.を撃破して勝点では5ポイントのカマタマーレ讃岐との対戦。1点を争う熾烈な展開となった試合は、後半にDF神崎のヘッドで1点をもぎ取った讃岐が1-0で勝利。見事にJFL昇格を決定させた。敗れた三洋洲本は自動昇格ならず。今季JFL17位のアルテ高崎との入替戦に回ることとなった。

 
 四国3番目のJクラブを目指して讃岐が最後の一戦に。
 サポーターもバックスタンドから声援を送る。

 本命・讃岐にどこまで立ち向かえるか。会場に訪れたほとんど観衆が三洋洲本の健闘に注目していたに違いない。1次ラウンドでは強豪と目されていたsizuoka.藤枝MYFCに0-2から5-2へと逆転勝利。決勝ラウンドに進んでからも初戦のY.S.C.C.戦で90分勝利を収めてしっかりと3ポイントを獲得している。2日目には長野に大敗を喫したが、この試合で90分勝利すれば、三洋洲本のJFL自動昇格が決まるのだ。その謎めいた調子の波は読めないところもあり、「もしかしたら彼らが」という部分はあったかもしれない。実際、試合はその三洋洲本が積極的に攻撃を仕掛けていった。

 前半から三洋洲本は飛ばしていった。4分にこの決勝ラウンドではいつも途中出場だったMF沈がシュートを放ってリズムを作る。23分にはCKからのこぼれ球をDF友定が豪快にミドルシュート。試合開始からほとんど前に出られなかった前日の長野戦とは打って変わって積極的。39分には森田のクロスに梅川が打点の高いヘッドで讃岐ゴール脅かすなど、あと少しという場面を幾度も作る。

 
 決勝ラウンドでは初先発となったMF沈。
 三洋洲本の攻撃をサイドから支えた。

 
 三洋洲本はエース梅川に良い形でボールが入る。
 関西リーグ得点王の意地を見せたい。

 
 中盤でゲームを作るのはMF村上。

 しかし、堅守が売りの讃岐を崩すのは至難。それどころか徐々に讃岐がペースを盛り返す。35分にゴール前まで攻め入ったDF相原の横パスにMF飯塚がシュートを狙えば、40分には攻撃的サイドバック下松の折り返しに大西がボレーシュートを放つなど、技術の高さと連携で三洋洲本ゴールに迫った。また、前日のY.S.C.C.戦がそうであったように、流れの中で崩せなくてもセットプレーで点を奪えるのが讃岐の特徴。前半からFKで下松がその巧みなキックでチャンスを作っていく。

 
 CKからチャンスを作る讃岐MF綱田。
 崩せずともセットプレーが讃岐にはある。

 
 守ってはDF太田を中心に讃岐を止める。

 
 下松のFKは讃岐の大きな武器。
 再三、これでゴールを脅かされる三洋洲本。

 梅川の奮起もあったが、積極的な攻撃が実らず、無得点で折り返した三洋洲本。44分には廣瀬のシュートがクロスバーを直撃しており、得点チャンスは存分にあった。できれば前半のうちに先制点を取っておきたかったところだが、ここであと一歩運が寄って来ないもどかしさ。しかしながら、メインスタンドを中心に讃岐サポーターに負けない応援エールが彼らには送られる。

 
 
 讃岐の守備の前にゴールをこじ開けられない。
 残すところは45分。

 後半に入っても序盤は、50分に成瀬のパスを受けた梅川のシュートがサイドネットを強襲するなど、三洋洲本が攻め入るかと思われた。しかし、ここから讃岐が反撃を開始。56分に飯塚の強烈なシュートがバーを直撃し、直後のCKから長身DF波夛野が得意のヘッドでゴールに迫る。瞬時に劣勢を強いられる三洋洲本。すると、遂に讃岐が58分、ペナルティエリア前左手からのFKをDF神崎が頭で合わせて先制点を奪取した。

 
 
 
 先制点を奪ったのは讃岐・DF神崎。
 かつて三洋洲本と同じ関西リーグで戦っていた選手。

 先制された三洋洲本は、直後に沈、廣瀬に代えて、稲垣、徳井を投入。76分にはボールキープに長けた井上を入れてリフレッシュさせるが、最後まで讃岐のゴールは割れない。讃岐もこの1点を何としてでも守り抜くといった気合いに溢れたプレー。アディショナルタイムを迎えたあたりで三洋洲本・GK浅野がCKになったボールを自分でコーナーポストに置きに走った場面は印象的だった。まさに1分1秒が惜しい状況。しかし、最後まで三洋洲本はゴールを割れなかった。

 
 三洋洲本・梅川の突破を神崎と下松が阻む。
 この2人はかつて加古川で共にプレー。

 
 GK家木も再三ハイボールに強さを見せた。

 
 神崎にとっては、加古川時代に何度も挑戦した舞台。
 夢破れたと思ったJFLの舞台まであと少し。

 
 激しさを増す試合は佳境に。

 
 常に相手には厄介な存在。
 無得点だったものの、吉澤は存在感があった。

 
 主将としてチームを支えた下松。
 J経験者ではないが、その経験は大きい。

 結果、1-0という最小得点差で讃岐が逃げ切って、この大会の優勝と共に来季のJFL昇格を決めた。これで讃岐は、四国リーグだけでなく、全社、地域決勝と三冠を達成。名実共に地域リーグカテゴリーを制覇してアマ最高峰のJFLでJリーグ参入を目指す。おそらく、すぐにでもJリーグ準加盟の段取りが進められるのではないだろうか。果たしてその「堅守」はどこまでJFLで通用するのか今から非常に楽しみ。また、ユーモラス溢れる広報のツイッターもこの大会では好評で、今後もチームの取り組みに何かと話題は尽きなさそうだ。
 一方で、入替戦へ回ることとなった三洋洲本。非常に悔しい敗戦となったが、初戦のポイントで掴んだ入替戦は決死の覚悟で臨みたい。相手はJFL17位のアルテ高崎。厳しい戦いになると思うが、チャンスはあるはず。この大会での戦い方が引き続きできれば、必ず昇格の切符を掴めるはずだ。是非、関西リーグの代表として、王者として、立ち向かって欲しい。
 注目の入替戦は、第1戦が12月11日(土)の13:00からアスパ五色で、そして第2戦が12月19日(日)13:00から高崎市浜川競技場で行われる予定。

 
 
 試合終了の瞬間。
 讃岐の選手は万感の思いで笛を聞く。

 
 入替戦は今週末。
 切り替えて、是非ともJFLへの切符を!

 
 カマタマーレ讃岐、JFL昇格おめでとう!