脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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上昇の狼煙 -佐川印刷VS松本山雅-

2010年06月21日 | 脚で語るJFL
 W杯における日本代表の熱戦冷めやらぬ翌日、W杯による中断期間とは無縁のJFL前期第16節が行われ、佐川印刷と松本山雅が太陽が丘で対戦。試合は、終始試合のリズムを掴んだ松本山雅が2-0で快勝。3試合ぶりの勝利を手にした。

 

 昨年12月の地域決勝以来となる松本山雅の試合観戦。全国リーグに昇格した彼らの試合をこの関西で観られることにどことなく不思議な感覚を感じながらも、4位の佐川印刷に立ち向かう15位・松本山雅という構図もシーズン前は予想だにしなかったものだ。ここまでなかなか結果の出せない雷鳥軍団、直近6試合では1勝1分4敗という数字を見ると、この印刷戦及び次節のHonda戦は非常に苦しい戦いになることは間違いない。ところが、この日の太陽が丘で見られた松本山雅は少なくとも「イケイケ山雅」だった。

 
 150人は超えるであろうサポーターが結集。
 一戦必勝という感じがひしひしと伝わる。

 試合前に降った大雨の影響もあって、ピッチは水を多く含んだ厳しいコンディション。しかしながら、前半序盤の印刷の猛攻を振り切ると徐々に松本山雅が試合のペースを握っていく。北村、鐡戸が攻撃の起点になり、守備では斉藤がしっかりと印刷のパスワークをシャットダウンした。14分にはその鐡戸が右サイドを突破して上げたクロスに石田がヘッドで合わせて先制する。慌てず自分たちのサッカーをしていくには良い時間帯で先制点が奪えたことはこの日の松本山雅には大きかっただろう。

 
 水しぶきを上げるピッチコンディション。
 松本山雅は斉藤を中心に集中した守備を見せる。

 
 先制点をアシストした鐡戸。
 豊富な運動量でサイドを席巻した。

 
 14分、思いのほか早かった先制点。
 鐡戸のクロスに石田が頭で合わせて奪取。

 佐川印刷は、先制点を取られた後に櫛田が負傷交代でピッチを早々に後にする。エース塩沢が不在で、中野も出場停止だったことは痛かった。スイッチが入った際の彼らの速攻は驚異的だが、この日は松本山雅の守備の前にあと一歩でゴールを割ることができない。司令塔の大槻が中盤で孤軍奮闘するも先制点を献上したあたりから完全に試合のペースを譲ってしまう展開になった。

 1点リードで後半を迎えた松本山雅は、後半開始から再び印刷の攻勢に苦しむ。ゴールを死守する活躍を見せた石川を中心に耐えしのぐ守備陣。そして、柿本と大西が同時投入され、明らかに追加点を狙うメッセージがピッチの選手たちに送られた。75分に相手陣内でFKのチャンスを得た松本山雅、直接狙うには少し遠すぎる距離だったにも関わらず、これをDF阿部が圧巻のシュートでゴールへ。印刷GK川本も弾ききれずにボールは2点目としてゴールネットを揺らした。

 
 ファインセーブを見せた松本山雅・GK石川。
 FC東京で活躍する石川直の弟でもある。

 
 試合を決定づけた超絶FKを決めて阿部はこのガッツポーズ。
 守備でも非常に健闘。

 
 決定機は決められずも途中出場で健闘した柿本。
 ご覧の通り、ユニフォームもドロドロ。

 全く危ない場面が無かった試合ではなかったが、自分たちのサッカーをゴールに直結させたのは松本山雅。松本から多数詰めかけたサポーターの声援に応える試合運びの結果、ホンダロックの敗戦もあって順位を14位に上げることに成功した。対する佐川印刷はメンバーが整わず6位に後退し、天皇杯のJFLシード権の可能性を失う結果となった。前期は残り1試合。まだまだ折り返し地点のJFL、上昇の狼煙を上げた松本山雅の戦いぶりを見ていると、今後も十分順位の変動はありそうだ。