脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

ACLマッチデー5を終えて

2008年05月09日 | 脚で語る欧州・海外

 バンコクに出発前のエントリーにも書いたように、少し以前から他グループの結果にも気を配っているACL。要はノックアウトステージでG大阪がどこと対峙するかの分析を勝手にやってしまっている訳だが、今回のマッチデー5を終えて、ノックアウトステージに進出するチームが決まってきた。そのチームを各グループごとに見ていきたいと思う。

 まず、グループAは昨日行われた2試合の結果、ウズベキスタンのクルフチが見事に準々決勝(ノックアウトステージ)進出を決めた。このクルフチの首位確定の裏側には昨年浦和と共にアジアを席巻したセパハン(イラン)の敗退があった。17時より行われたクルフチとアル・イテハド・ジェッダ(サウジアラビア)の試合は2-0とホームのクルフチが勝利し、勝ち点が拮抗している2位以下の争いにおいて、過去2度ACLを制覇しているサウジアラビアの強豪をグループリーグの戦いから葬った。この結果を受けて、この後行われるアル・イテハド・アレッポ(シリア)とセパハンの試合により、勝ち点差1以上つけばクルフチの準々決勝進出が決まるのだが、結果は昨年のACL準優勝のセパハンが1-2で逆転負けを喫し、思わぬ形でクルフチの勝ち抜けを“アシスト”。クルフチ以外のチームの勝ち点が拮抗していたことで、90分間試合を支配しながらも、負けてはいけない試合をセパハンは落としてしまった。

 グループBは、サイパ(イラン)が一歩リードしながら、まだそれを追走するアル・クワ・アル・ジャウィヤ(イラク)とアル・クウェート・スポーツクラブ(クウェート)にも勝ち抜けのチャンスがありながらも、サイパが準々決勝進出を決めた。そのサイパと対峙したアル・クウェート・スポーツクラブ。勝ち点ではこのマッチデー5の直接試合に勝利すれば首位に躍り出る可能性もあっただけに、0-1という僅差でこの試合に負けてしまったのは大きい。結果的に現状グループ最下位に転落してしまう。この勝利でアル・クワ・アル・ジャウィヤが裏の試合でUAEのアル・ワスル・スポーツクラブと戦う試合結果を待たずにサイパの勝ち抜けは決まってしまった。アル・クワ・アル・ジャウィヤは勝ち点で追い付ける可能性はあっただけに意地を見せたいところだったが、サイパとの直接対決をホームで0-1と落としていただけに彼らには準々決勝進出は夢となった。サイパを率いるのはかつてのイランの英雄アリ・ダエイ監督。このチームは堅い守備を主体にここまで無敗で走っている侮れないチームだ。

 前回のエントリーでもアル・カラマー(シリア)の勝ち抜けが有力と書いたグループCだったが、そのアル・カラマーが2位アル・ワーダ(UAE)との直接対決に敗れてしまう。得失点差を考えても引き分け以上でほぼ“確定”だっただけにこの敗戦は悔やまれるところだ。決着は最終節に持ち込まれた。最下位に沈むアル・アーリ(サウジアラビア)との試合で勝利すれば文句無し。2位アル・ワーダは絶対勝利が義務付けられ、かつアル・カラマーの敗戦があって初めて準々決勝進出となる。

 グループDもまだ決着は付かず面白い展開になっている。首位アル・カドシャ(クウェート)と2位パクタコール(ウズベキスタン)の争いだ。このマッチデー5での直接対決は両者譲らず2-2のドロー。最終戦で、アル・カドシャは引き分け以上ですっきり決められるが、パクタコールは首都タシケントの名門チーム。グループAで勝ち抜けを決めたクルフチと共にウズベキスタンを盛り上げたいところだ。ちなみにこのグループで戦う元G大阪の点取り屋アラウージョを擁するアル・ガラファ(カタール)は3連敗と全く良いところなく今だ未勝利で最下位に沈んでいる。

 首位のアデレード・ユナイテッド(オーストラリア)と長春ヤタイ(中国)が2強を形成して無敗でデッドヒートするグループEは、最終節の直接対決に持ち込まれた。2節の直接対決も0-0と引き分けている両チーム。最終節をホームで戦える長春が若干有利か。ブラジル人左SBカッシオをケガで欠き、この最終節には点取り屋のディエゴ・ワルシュが出場停止。“負け”だけは許されないアデレードが正念場を迎えている。

 鹿島アントラーズ(日本)と北京国安(中国)の一騎打ちとなっているグループFは鹿島がマッチデー5のクルンタイバンク戦で8-1と圧勝し、得失点差で北京に対して絶対的な優位を確保している。共に灼熱の東南アジアで最終節を迎える2チーム。“取りこぼし”た方がゲームオーバーとなる。しかし、北京はあやうく没収試合になるかという今節のナムディン戦のレフェリー用ビザ未取得事件をよくリカバーしたものだ。日本に負けたくない中国の“プライド”がそうさせたのか。とにかく何から何まで事の顛末がいい加減で“中国らしい”ドタバタ劇となった。

 グループGは言うまでもなくガンバ大阪(日本)が準々決勝進出を決めた。しかし、最大のハイライトはチョンブリFC(タイ)の健闘ぶりだろう。アウェイとなる日本でG大阪相手に1-1のドローを演じ、ホームでメルボルンビクトリー(オーストラリア)を3-1と粉砕した。一時は最下位に沈んでいた全南戦に1分1敗しているのが響いたが、最終節は敵地メルボルンでメルボルンビクトリーと対戦。タイのサッカーが明らかに向上していることをアピールする最終戦となりそうだ。

 ここまでを整理すると、ノックアウトステージに駒を進めるのは、クルフチ(ウズベキスタン)、サイパ(イラン)、ガンバ大阪(日本)と昨年の覇者浦和レッズ(日本)の4チームのみ。アリ・ダエイ率いるサイパの進出により、我々G大阪も文化的にも絶対的なアウェイであるイランでの試合を睨まなければいけなくなった。とにかく最終節で全てのチームが出揃うACL。どこが出てきてもレベルの高さに変わりはないだろう。