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其礼成心中

2020-08-17 01:14:22 | 舞台
パルコ劇場で「其礼成心中」を見てきました。

ずっと見たいと思っていた演目なのですが、なかなかタイミングが合わず・・・今回、やっと行くことができました。コロナ禍の影響で、当日飛び込みで行ってもけっこうな良席。文楽は前方の席で見ないときついので、ありがたいといえばありがたいのですが、後ろ半分、空席の目立つ会場はやはり切ない・・・。

前説ではマスク姿の三谷君人形が登場・・・文楽は、今一番、安全と言っていました。たしかに黒衣の皆さん、頭巾姿ですもんね。それにしても、この三谷君人形、笑っちゃうぐらいご本人にそっくり・・・(笑)。

楽日までまだ日があるし、これからも再演されそうな演目なのでネタバレになりませんように・・・もう2時間ひたすら笑いっぱなしでした。そして、文楽の素晴らしさにあらためて眼を見開かされました。不肖わたくし、最後に文楽を見たのがいつだったか思い出せないくらいなのですが、ひさびさに見ると、文楽の人形ってこんなに綺麗だったんだ、としみじみしてしまいました。本当に人形が生き物みたいに見えます・・・。何人もの役を声だけで演じ分ける太夫さんも凄い。台詞はほぼ現代の関西弁なので、問題なく聞き取れました。ストーリーはいかにも三谷さんなドタバタ劇ですが、文楽本来のゆったりめのテンポと現代劇の早めのテンポとの入り混じり具合が絶妙です。ドリフみたいな小ネタもあったし、お人形さんも時々、古典ではありえない動きとかしてましたね(笑)。かと思うと、文楽の名作が劇中劇で演じられたりもします。劇に登場する近松門左衛門はどことなく三谷さんご本人を彷彿とさせるのですが、主人公の半兵衛とのやり取りは半ば演劇論のようでもあり・・・泣き笑いありの文楽って、ある意味、画期的なのかもしれませんよね・・・。

そんなわけで、夢のような時間を楽しんでまいりました。そう、生で芝居を見るということが、まるで夢の中の出来事のようになってしまいました・・・日常から離れた場所で、2時間何も考えずに笑っていられるというのがどれだけありがたいことだったか、今さらながら思い知らされます。最後にカーテンコールがありましたが、人形遣いさんたちに抱えられて出てきた人形たちはだらんと生気を失って、ただのお人形に戻っていました。その時初めて、自分が見ていたのは本当に人形だったんだ、愕然としました。文楽の魔法、おそるべし・・・。諸々落ち着いたら、また、古典作品の方も見に行きたいものです。

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