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アートネタなど日々のあれこれ

空想旅行案内人

2024-09-28 23:59:31 | 美術
東京ステーションギャラリーで「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」を見てきました(展示は既に終了しています)。

ジャン=ミッシェル・フォロンの日本で30年ぶりとなる大回顧展です。あの独特の淡く美しい色彩を生で見てみたい…と思い、行ってきました。展覧会ではフォロンの初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、晩年の立体作品まで展示しています。ちなみにこの展覧会のタイトルはフォロンが自分で作って使っていた「フォロン:空想旅行エージェンシー」という名刺からとられたのだそうです。

今回の展示は展覧会を旅に見立てたような構成になっていました。プロローグは「旅のはじまり」。ドローイングや彫刻などでフォロンの世界を概観できます。初期のドローイングの線の鋭さ確かさ、センシティブな感覚が印象的でした。帽子をかぶった謎の人物、リトル・ハットマンも登場…フォロンの分身のようなリトル・ハットマンは初期から晩年に至る重要なモチーフとなりました。第1章は「あっち・こっち・どっち」。フォロンは矢印に取りつかれたかのように、あちこちを指し示す矢印を描いた作品を残しました。その矢印は人を惑わすようでもあり、進む道は一つに限らないことを示すようでもあり…。第2章は「なにが聴こえる?」。フォロンはファンタジックなタッチで社会問題や環境問題をテーマにした作品も数多く描いています。淡く美しい色彩で世界の現実をシニカルに描く…「耳を澄ませば、世界が動いている音が聴こえてきます」と語っていたフォロンには世界の不穏な響きが聴こえていたのでしょうか…。第3章は「なにを話そう?」。フォロンは企業や公共団体からの依頼でポスターも数多く手がけました。「グリーンピース 深い深い問題」は一見、美しい海を描いた作品のようですが、色とりどりの魚に見えたものは…。「世界人権宣言」の挿絵も手がけていますが、そこには美しい未来と恐ろしい現実が描かれています。「HIROSHIMA 太田川の七つの流れ」のポスターも。当時、この作品を見に行きました…フォロンのポスターだったのですね。エピローグは「つぎはどこへ行こう」です。旅、出帆、道、夜明け…果てなき旅を思わせるタイトルの作品が続きます。その旅は現世にとどまらないのかもしれません。「私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです」と語っていたフォロンの魂は今も自由に旅を続けているのでしょうか…。

さて、アートといえば美味しいもの…ということで、この日は東京駅近くにある「電光石火」に寄ってきました。見たことのないようなドーム型のオムレツ風お好み焼き。牡蠣入りのお好み焼きをいただきましたが、プリプリの牡蠣が美味しゅうございました…。
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