あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

映画「蜩ノ記」を見て

2014-10-22 21:20:04 | インポート

かって、映画「壬生義士伝」を見て深い感動を覚えたのを思い出しながら、映画を見ました。原作のイメージをさらに具体化する映像にふれることを期待しての鑑賞でした。

しかし、今回映画を見ての実感は、やや期待はずれでした。私が抱いた原作のイメージとはどこか重なり合うものが欠けていたように感じたからです。

映画が、登場人物のセリフによって進行する説明的な印象を受けたせいでしょうか。原作に忠実であろうとすれば、セリフはかなり重要な要素なのですが、視覚的な映像としての表現(セリフで表現できない部分)が、どこか説明的な印象を受けました。

映像としての動的な要素が生かされず一枚の写真のような印象があったからなのでしょうか。セリフのない部分での登場人物の表情や姿に込められた思い、景色の変化は時の経過を表すだけで、その中に投影された登場人物の心情を感じ取ることがあまりできませんでした。

原作を表現するのに、映画にはさまざまな制約があります。どのセリフや場面を切り取り、組み合わせながら、主題に沿った物語を映像化していくか、それが監督と台本家の腕の見せ所なのでしょう。

映画「壬生義士伝」で感じたのは、原作の感動と映画の感動とが共鳴したような印象でした。原作も、映画も、どちらも同様に心に残る作品だったと思います。

「蜩ノ記」のエンディングの場面では、死地に(自刃の場に)赴く主人公の後ろ姿を映し続けていました。

私のイメージでは、そこから切腹の場に場面が切り替わり、一斉に鳴く蜩の声に耳を傾け、青い空と木々の緑とそよぐ風を心地よく感じながら、自刃しようとする 主人公の納得した顔がアップで映し出されます。そこでカメラが切り替わり、山の稜線と青空が映し出され、蜩が一斉に鳴く中で終わるという映像が浮かびます。

映画そのものは、それなりに良質な作品だと思うのですが、原作と同質な感動を得るには何かひとつ、共感し感動できるもののピースが欠けているような印象がありました。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
先生お久しぶりです。 (芳賀)
2014-10-31 11:49:57
先生お久しぶりです。
とりあえずメールしておきましたのでご確認いただければ幸いです。
返信する
確認済みです。 (青空人)
2014-11-04 17:45:45
確認済みです。
お世話役、ご苦労様です。
再会を楽しみにしています。
返信する

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