新聞の論壇時評の中で、高橋源一郎氏が取り上げていた 朴 裕河(パク・ユハ)さんの言葉が印象的でした。日本と韓国との対立を和解に導くためのメッセージでもあります。
「過去をもとに現在を考えるのではなく、未来に向けて現在を作っていかねばならない。」
朴さんは、日・韓の間には、「教科書」「慰安婦」「独島(竹島)」「靖国」の四つの問題があり、これらの問題について、双方の主張に徹底的に耳を傾けた上で、どちらにも理があり、理がないことを指摘しています。
ただ、慰安婦問題については、東郷和彦さんが述べているように、
「日本国内では、それが強制的であったかどうかが問われているが、世界の大勢はその議論自体が無意味とされている。狭義の強制がなくとも、国や社会が結果として弱い立場にいる女性に性的な奉仕を強いたなら、それは 『人道に反する罪』なのである。」 という考えに同感です。
慰安婦という立場に立たされた女性をつくりだした日本の側の方に、非があるのは当然のことだと思えるのです。その非(罪)を認めることから、対話の糸口は見いだせるのではないかと思うのです。
朴さんは、その先を見据えて、未来志向の中で、日韓の和解とよりよい関係の構築を願っているのだと思います。
中国との関係においても、歴史問題が関わってきます。戦中の日本軍の犯した非を自虐史観という視点で一方的に認めないという立場をとるのではなく、戦争という状況の中で人間が犯した非を認め、二度とおろかな争い(戦争)を起こさないという立場や考え方を持つことの方が大切だと思うのです。過去の歴史を振り返るのは、今という時間をよりよく生きるために必要なことなのですから…。
その上で、未来に向けて どんな現在を作っていかねばならないかということが、見えてくるような気がするのです。
相手の立場に立って考えることは、一般の人間関係においても大切にすべき点です。国と国との絆も、そういった国民一人一人の考え方をベースにしてつくられていくのではないでしょうか。
隣人である韓国や中国の人々と、どんな未来の関係を築いていきたいのか、そのことを視野に入れながら、現在の関わり方を考えてみたいものです。
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