われは草なり
高見 順
われは草なり
伸びんとす
伸びられるとき
伸びんとす
伸びられぬ日は
伸びぬなり
伸びられる日は
伸びるなり
われは草なり
緑なり
全身すべて
緑なり
毎年かわらず
緑なり
緑のおのれに
あきぬなり
われは草なり
緑なり
緑の深きを
願うなり
ああ生きる日の
美しき
ああ生きる日の
楽しさよ
われは草なり
生きんとす
草のいのちを
生きんとす
生きる強さとたくましさを感じる詩です。日々伸びようとする草。その意志が在る限り,伸びられる時は伸びようとし,伸びられる日はさらに高く強く伸びようとしているのでしょうか。伸びられぬ日は,ゆっくりと休み英気を養っているのでしょうか。張りつめ過ぎず,伸びる時に伸びのびられぬ時は伸びない。しなやかな竹のような強さも感じます。
緑は,個性と言えるのでしょうか。自ら緑であることを認め,その色に飽きず,その色で在ることを誇りに思うのも,強い個性と言えるような気がします。その緑の深きを願うところに,個性の輝きが見えるような気がします。同じ緑であっても,人それぞれ緑の色合いも明るさも深さも異なる存在と言えます。大切なのは今の緑に落ち着いたり,満足するのではなく,自分自身をより深い自分らしい緑に染め上げていくことなのかもしれません。
草のいのちを生きんとす……いい言葉ですね。
自らを春の日を浴びて伸びる草とし,四季を通してその緑の色合いを深めながら,生きる日の美しさや楽しさを実感できる充実した日々としたいものです。
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