あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

半沢直樹から学ぶこと

2013-11-12 22:15:44 | インポート

テレビでも高視聴率を獲得したということで話題になった  半沢直樹が登場する池井戸潤の著書を読んでみました。

「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「ロスジュネの逆襲」と 3作とも、読み応えがあり、夢中になって読みました。銀行という特殊な世界が舞台になっているものの、会社組織の論理にとらわれず、個人としての正義感と行動力を通して、組織の腐敗やゆがみを正していく 主人公:半沢直樹の姿に 深い共感と爽快感とを覚えました。原作のもつ面白さがドラマにも生かされ、人気を博したものと思います。それだけ 現実社会の中で組織の論理に縛られ、個人としての自由度を何かと制約されながら生きざるを得ない人々は、半沢直樹の活躍から胸のすくような思いを感じたのではないでしょうか。

人間は社会的存在であるが故に、何らかの組織なり周りの人々とのかかわりの中で生きています。そういった中で、個人としての志や哲学を貫き通しながら生きていく主人公の姿に、組織を超えた個人としての生き方を見てしまいます。シリーズの第3作目となる「ロスジュネの逆襲」には、その生きる哲学が明確に描かれています。

物語の後半に、バブル時代に入行した半沢直樹が、ロスジュネ世代〈バブル崩壊後の不景気の時代(就職氷河期に世の中に出た若者たちの世代をロスト・ジェネレーション世代と某全国紙マスコミが名付けた) の部下の一人に語る言葉があります。

以下 本文より抜粋

「あと10年もすれば、お前たちは社会の担い手になる。そのとき、世の中の在り方に疑問を抱いてきたお前たちだからこそ、できる改革があると思う。そのときこそ、お前たちロスジュネ世代が、社会や組織に自分たちの真の存在意義を認めさせるときだと思うね。オレたちバブル世代は既存の仕組みに乗っかる形で社会に出た。好景気だったが故に、世の中に対する疑問や不信感というものがまるでなかった。…… 」

「だが、お前たちは違う。お前たちには、社会に対する疑問や反感という、我々の世代にはないフィルターがあり根強い問題意識があるはずだ。…… だが、世の中に受け入れられるためには批判だけじゃだめだ。誰もが納得する答えがいる。」

「批判はもう十分だ。お前たちのビジョンを示してほしい。なぜ、団塊の世代が間違ったのか、なぜバブル世代がダメなのか。果たしてどんな世の中にすれば、みんなが納得して幸せになれるのか?会社の組織も含め、お前たちはそういう仕組みがつくれるはずだ。」

部下に、半沢の持つ信念について問われ、次のように答えます。

「簡単なことさ。正しいことを正しいといえること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただ、それだけのことだ。ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される。そんな当たり前のことさえ、今の組織はできていない。だからダメなんだ。」

その原因を、部下に問われ、半沢は答えます。

「自分のために仕事をしているからだ。」

「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のために仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。…… 」

こういった信念と誇りをもって仕事をする半沢直樹だからこそ、真に組織と向き合い戦うことができるのだと思います。誰のために仕事をするのか。仕事の中身によって、その対象は異なってくるのでしょうが、仕事に生きがいを見出す人は、自分以外の誰かのために働いているのだ という実感があるのではないでしょうか。

個と組織という関係では、組織があって個があるのではなく、個があって組織が成り立つものだということが前提になるのだと思います。そうして個の主体性や存在が大切にされることによって、組織が活性化され変革されていく流れがつくられていくのかもしれません。

個を否定するような組織であり、それが組織の論理であるならば、個として戦わなければなlりません。

半沢は、部下に「 戦え 」 と言い、

「そして、オレも戦う。誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか」

と、語ります。

組織の中の 社会の中の 国の中の 一人として、正しいことを正しいと言える自分であり、その道に沿った生き方を貫ける自分であったらと思います。

半沢直樹のような強さは 身につけていないのですが……学ぶところ 大です。


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