あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

小説「物語のおわり」

2018-03-09 11:20:43 | 日記
いくつかの短編によって紡がれた 湊かなえさんの物語です。

最初の物語には結末が書かれていません。
この物語の原稿が、バトンのように 次の物語に登場する人物に次々と受け継がれていきます。

登場する人物は、いずれも人生の岐路に立っており、自分のこれまでの人生を振り返り、これから
の進むべく道を見いだすための旅に出た人々です。

北海道の美しい自然を背景に、登場人物が旅先で出会い、おわりのない物語を読む機会を得ること
になります。

自分だったらどんな結末を望むのか、自分の人生と重ね合わせながら読むことで 登場人物たちが
これから進むべき道を見いだしていく といったストーリーになっています。

そういった展開の面白さ、登場人物それぞれの人間的な魅力、背景となる北海道の絵画的な描写、
それらが一体となって、物語の世界に引き込まれてしまいます。

結末のない初めの物語も、最後にその結末が明らかになります。

人は誰でも何度か人生の岐路に立ち、思い悩みながら、進むべき道を選び 新たな一歩を踏み出して
いくのでしょう。
目には見えない、その人自身が主役となって描く人生の軌跡。
その軌跡の中に込められた 生きることの意味や尊さを 改めて感じることができたような気がします。

人の数だけ 人生があり、それぞれが その人しか描けない かけがえのない人生であるということ。
今という時間を それぞれが懸命に生きているのだということ。

読み終えた後に感じた思いです。

北海道への旅にも出かけたくなりました。


コメント
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